カルテ番号 つ・9（5）
８年前の津山雅仁は４７歳。
母の病床で自分の人生を考えていた。
高校卒業と同時に逃げるように離婚した母と自分。
大学進学を諦め、苦労した母を楽にさせたくて一所懸命仕事をした。
そして、その目的を果たせぬままの母との別れ。
自分の人生を見なおそうと思っていた矢先の異変だった。
会社は伸び盛りの最中だが、吹けば飛ぶような小さな会社だ。
自分一人で起こした会社だ。
儲け優先の商売という意識で作った会社だ。
自分と母が裕福に暮らせる為の目的だった。
それが、儲けの目的が急に無くなった。
そして、この異変。
これは、自分の人生を変えろという何かの印ではないだろうか。
津山雅仁は信心深いわけではない。
故郷から逃げだしたのだから、先祖など意識もしなかった。
それでも、亡くなった母からのメッセージのような気がした。
気力体力も充実している今なら、変えられるかもしれない。
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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