カルテ番号 つ・9(1)
津山雅仁の変わり目は8年前だった。
母親が他界した。
頑張り屋だったが無理が重なったのだろう。
最後は心臓が持たなかった。70歳の手前だった。
毎日弱っていく母親を見ながら、奇跡が起こるのを祈っていた。
細くなった手を握り、自分の生命が母に流れ込めばいいと思っていた。
暴力を振るう父親と離婚したのは、津山雅仁が高校卒業と同時だった。
そこまで我慢していたのだろう。
一人っ子の雅仁と相談して、逃げるように他県に引っ越した。
雅仁は東京に就職した。
時々は母のアパートに顔を出すが、以来、父親には会おうともしなかった。
父親は雅仁にも暴力を振るうような人だったからだ。
後年になり、父親のようなタイプは家庭を持ってはいけないと解る。
自分も家庭を不幸にする父親の血が半分流れている。
そのこだわりから結婚をする踏ん切りがつかなかった。
若い頃、恋人と結婚を意識すると怖気づいて破綻になる。
その分仕事に熱中し、やがて独立して、小さいながらも会社を経営している。
郊外だが家も建て、一人頑張っていた母親を呼び寄せた矢先の出来事だった。
母が入院して、これまで恩返しをしていない事に気がついた。
家庭が不幸だったから、母親孝行は常に意識していたが、実際には何もしなかった。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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