水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」
カルテ番号 む・2(15)
普段、仕事以外に運転はしない村木だった。
ドライブするのが好きという人もいる。
村木には、その気持ちがわからなかった。
運転していて、何が楽しいのか。
運転は事故を起こさないように、気を使う。
仕事なら仕方ないが、プライベートで気を使う気持ちがわからない。
それが、今回は違う。
何よりも、景色が違う。
違うというより、景色が見える。
景色に気がつく。
今までなら、景色など意識になかった。
運転することだけに気を使っていたのだ。
景色に気づくと、運転が気にならない。
それどころか、変わっていく景色が愉しい。
ドライブが好き、というのは、こういうことか。
すでに村木は自分が変わってきていることを自覚し始めた。
そんな自分を冷静に見ている、もう一人の自分がいる。
とりとめもなく、幾つも発見がある。
目がいきなり、広く、明るく見えるようになった。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 む・2(14)
よし。
連絡してみよう。
どうなるか、わからないが、会ってみよう。
そう決断して、早速電話をかけてみた。
全体的に調子が悪いので、診てもらいたいと伝えた。
そして3日後に予約を入れた。
当日、会社には有給扱いで休んだ。
最近は、特に村木がいなくても困ることは無い。
会社は、誰が急にいなくなっても、本当に困ることは少ない。
誰かが代われる仕組みだ。
重要だと思い込んでいるのは、本人だけなのだ。
個人経営ではないのだ。
会社は個人ではなく、名刺の肩書きで成り立っている。
村木は電話して予約してから、何だか気分が上向きだった。
何だかわからない相手に会う。
そう思うとワクワクする。
久しぶりだ。
不明な道を歩くのが楽しいと感じるのは。
不安ではなく、楽しみなのだ。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 む・2(13)
会社での先が見えた。
これ以上の出世はない。
そう思ってからは、変わらない事が生き方となった。
無難に過ごす。
新たなチャレンジはしない。
今までのモノを守るのが、生き方。
以前なら、迷う前に決断した。
迷っても、変化する方に決断した。
今は、迷ったら動かない。
何もしない方に決断する。
それは、仕事以外でも同じようになった。
新たな道が見えても、踏み込まない。
面白そうでも、手を出さない。
だから・・・か。
この、毎日のつまらなさ。
じわじわとした、衰退感。
それと同時におこる、焦燥感。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 む・2(12)
「その治療院の連絡先、教えてくれますか?」
「いいですよ」
宮司は携帯電話を取り出すと、番号を教えてくれた。
そして、場所も教えてくれた。
お礼を言い、村木は神社から帰った。
実際に連絡するかどうかは、まだ迷っている。
一人、部屋で考えていた。
いつからだろう。
こんなことくらいで迷うなんて。
決断が早いのが、村木の持ち味だったはず。
それで会社で出世してきたのに。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 む・2(11)
「それは、どういう方ですか?」
村木は自分でも変だと思う。
そんな事を訊いて、本当に会いに行くつもりか?と。
もう一人の醒めている自分がいた。
宮司は答えた。
「もっと北にあります、治療院の先生です。
治療院といっても、少し変わっています」
村木は神道関係の偉い人だと想像していた。
治療院の先生?
そんな人が何故?
「治療院というと、整体とかですか?」
宮司は少し苦笑いをした。
「気功の治療院なのです。
とはいえ、特に身体が悪くなくても診てくれますよ」
村木は考えた。
どうして、急に、この宮司に話しかけたのだろう。
そして、上向きになる方法を教えて欲しいと勝手に口にした。
特に病気があるわけでもないが、漠然とした調子悪さがある。
だから、心の底では、回復する何かを求めていた。
その答えが、その治療院なのだろうか?
その話に乗るか、止めるか、迷った。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 む・2(10)
村木はその言葉に反応した。
「それは、何かキッカケでもあったのでしょうか?
いえ、余計な質問ばかりして申し訳ありません。
実は、今、私が気落ちとでもいうのでしょうか。
何に対してだか、何が原因だかわかりません。
迷いとか悩みとか具体的にはありません。
でも、ガックリしている自分がいるのです。
宮司さんを見ていて、そして、お話を聞いて、思ったのです。
何か、気持ちが上向きになるキッカケが欲しいのだ、と。
もし、ヒントにでもなるものがあるなら、教えて下さい」
こんな言葉を言うつもりはなかった。
いつも会社や近所では、何もかも解っている態度でいたのだ。
他人に、まして10歳以上も下の人に教えて下さい、などとは言わない。
なのに、勝手に口から出ていた。
そして、村木の表情が真剣だったのだろう。
その宮司は、少し考えてから言った。
「貴方のキッカケになるかどうかは判りません。
私は、ある人と話して、道が開けたと思いました。
その人が導いたわけでは、ありません。
話していて、自分で気づいたのです」
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 む・2(9)
小さな満足をする為に、僅かな給料でいる。
それでいい、とするなら家庭も持てない坊ちゃんだ。
世間知らずの甘えん坊だ。
だが・・・しかし・・・
自分の方が負け犬のような気がするのは何故だ。
何故彼は、落ち込まないのか?
本当は落ち込んでいるのに、満足のフリをしているのか?
「今のままで、迷いとか、不安とか無いのですか?」
余計な質問だ、と自分でも思う。
自分が迷い、自分が正体のつかめない焦燥があるせいだ。
宮司は明るく言った。
「迷いも不安もありますねぇ。
あるのですが、陥ったまま、ということはありませんねぇ。
何しろ、掃除をしていると、ある意味幸せですから」
理解できない。
できないが、それが本当なら、うらやましい。
「宮司さんというのは、皆さん、そういう境地なのですか?」
宮司は、首をかしげた。
「さぁ?他人の心の中はわかりません。
私も、つい最近になって、こう思えるようになったのですよ。
それまで、常に迷っていましたから」
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 む・2(8)
村木は仕事をそのように考えた事はなかった。
仕事は生活の糧。
自分に出来る職であれば、決めては条件だ。
給料の多寡と安定性。
自分の仕事、などという発想は村木の周りにもいない。
会社は就職できれば、後は出世。
それは給料が良くなるからだ。
面白いとか、つまらないとか。
自分に適、不適などというのは甘えだ。
会社から与えられた仕事が出来ないなら、出来るようにする。
それで給料を貰っているのだ。
嬉しいとか楽しいとかは、単なるオマケ。
オマケを基準に仕事はするべきではない。
そういう生き方をしてきた。
最近は先が見えている。
大きな失敗さえしなければいい。
上手くやらなくてもいい。
仕事は淡々をこなせればいい。
一日が無事に終わればいいのだ。
もちろん、そこに喜びなどない。
それは、当たり前なのだ。
喜びを求める方がおかしい。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 む・2(7)
経済状態は人により様々だ。
働かなくても財産があって、生活に困らない人もいる。
実家とか親とかが裕福で、生活費くらいは出してくれる人もいる。
この宮司も困った様子がないから、働かなくてもいいのかもしれない。
それにしても、この表情はヒマつぶしにも見えない。
村木はますます興味が湧いた。
「掃除は楽しいですか?」
少し意地悪な気持ちもあって、そう訊いた。
「そうですね、楽しいというより、嬉しいですね。
嬉しいというより、満足という感じでしょうか」
村木には思いもかけない返事だった。
宮司は確かに満ち足りた、という表情でもある。
「掃除をして、そういう気持ちになれるのですか?」
宮司は少し間をおいてから、答えた。
「私の仕事は、神の社、宮にお仕えする役目です。
そして、私は自分に合っていると感じています。
天職かどうかはわかりません。
でも、運よく、自分の仕事に出会えた、と思っています」
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 む・2(6)
「大変ぶしつけなのですが・・・
宮司さんの仕事は何をするのですか?」
その宮司は微笑んで答えた。
「掃除ですよ。
自分に出来る範囲で、掃いたり、拭いたり、片付けたりします。
力まず、でも、気持ちを込めて・・・ですが」
村木は、先ほど思っていた事を正面から答えられた気がした。
掃いているのが仕事、と言われたら、そこに意味があるのだろう。
会社の仕事は直接間接を問わず、利益を出す事に向かっている。
仕事の意味は二の次だ。
あるいは、意味を考えなくてもかまわない。
意味では食べていけない。
「失礼を承知で、教えて下さい。
それで、食べていけるのですか?
給料というか、給金というかは、貰えるのですか?
あるいは、ボランティアですか?」
宮司は朗らかに笑った。
「誰かに頼まれて掃除をしているわけではありません。
ですから掃除をしても、誰も給金はくれません。
生活するのは、大変ですねぇ」
と他人事のように言った。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログ読者は、facebookの友達承認をしますよ。コメント付きで申請して
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)