水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」
カルテ番号 り・1(22)
これも運命かもしれない。
今までなら断る。
でも今回は受け入れてみよう。
自分に何かが起きている。
静はそう思った。
「わかりました。
その治療院の場所と電話番号を教えて下さい」
場所を聞くと、昨日の帰り道に感じた不思議な感覚の場所のような気がした。
奇妙な顔をしていたのだろう。
柳玲香が言った。
「力石さん、気が乗らない時は行かない方がいいですよ。
その先生がよくおっしゃっていました。
人と人、人とモノ、人と場所、全ては相性があるそうです。
そして、理屈や評判やその他よりも相性を優先するのがいいそうです」
「違うのです。
実は・・・」と静は昨日の感覚の話をした。
柳玲香は破顔した。
「やっぱり、よかった。
もう決まったも同然です。
力石さんにとって、とても大きな出来事になると思いますよ。
楽しみにして、行ってみて下さい」
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カルテ番号 り・1(21)
柳玲香は少し考えてから言った。
「力石さんの状態が本当はどうなのか、私にはわかりません。
今の様子からは、どこも異常が無いように思えます。
ですが、私の知っている治療院が近くにあります。
もしかしたら、力石さんの力になるかもしれません。
少し変わっている治療法ですが、よかったら紹介します。
変わっている、というのは、治療しないかもしれません。
でも、力石さんの解決になるかもしれません」
静は、柳玲香の言葉の意味をはかりかねていた。
「あの~、おっしゃる意味がわからないのですが・・・」
柳玲香は微笑んだ。
「そうですよねぇ。
私もどう説明していいかわからないのです。
でも、力石さんの心身の状態を診てくれると思います。
その上で、アドバイスをしてくれると思いますよ」
急に治療院の話が出て、静は戸惑った。
今回、治療するつもりはなかった。
それに、どんな治療師なのか、少しも見当がつかない。
そんな静の顔色を見て、玲香が言った。
「大丈夫ですよ。
その先生は、とても穏やかな人です。
気功の先生ですが、特に何もしなくていいです。
一度会ってみれば、わかります」
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カルテ番号 り・1(20)
柳玲香は興味深そうに聞いている。
「土地というか場所のような気がします。
車で離れるにしたがって、その不安感が消えていったのです。
申し遅れました、私は力石静といいます。
神奈川には30年くらい住んでいました。
会社は都心にあって、20年以上勤めていたのですが・・・
もう、帰りたくないような気がして・・・
これからどうしようかと・・・」
柳玲香が真面目な顔で言った。
「ご家族はどうされているのですか?」
「6年前に離婚して、息子が一人北海道の大学に行っています。
ですから、私一人暮らしです。
息子は独立心の強い子で、親の援助無しで生活しています。
私もこの先、一人でキチンと生活していくつもりでした。
定年までは会社に勤めるつもりでしたが・・・」
力石静は、この柳玲香というかなり年下の女性に頼りたい気持ちだった。
何を頼るのか?それもわからないが、きっと何とかしてくれる。
それは、静の能力の勘でもあった。
「病院では、うつ病とされましたが、私は違うと思っています。
薬も飲んでいません。
何かはわかりませんが、温泉でゆっくりしていたら、回復すると思ったのです。
もっとも、こちらに着いてからは、不安感はありません」
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カルテ番号 り・1(19)
力石静はこの相手と何とか話を続け、親しくなろうと思った。
きっと静にとって、大切なキーポイントの相手だ。
「私も大きな温泉風呂は、もう遠慮します。
観光地の温泉という感じが私には合わないようで。
ここは落ち着けてラッキーです。
多分、明日からもここに来ようと思います」
相手が名乗った。
「あら、うれしいわ。
私は柳玲香といいます。
私も頻繁にここに来ていますから、よろしく。
ところで、一週間の温泉三昧ですか?
何か湯治的なことですか?
いえ、立ち入った事ですからお答えにならなくても結構ですが」
力石静は内心、しめた、と思った。
立ち入った事を訊ねてくれれば、もっと話ができる。
「特に秘密にするような事はないのですが・・・
しっかりとした答えにならないのですよ。
キッカケは、ある日、急に不安になって会社に行けなくなったのです。
理由はわかりません。
でも、こちらに来て、何となく思い当たりました」
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カルテ番号 り・1(18)
先客がいた。
30歳くらいだろうか。
キリリとした美人だった。
その顔に何となく見覚えがある。
平日の午前中から温泉・・・
湯治とも思えぬ健康的な身体だった。
「こんにちは」
静は軽く頭を下げて湯船に入った。
「こんにちは。
ここは空いていて、ゆっくり入れるのですよ。
私のお気に入りな温泉場です」
声もハッキリとした、いかにも仕事が出来そうな女性だった。
そこで思い出した。
昨夜の瞑想時に出ていた一人だ。
運命の急展開。
そう思うと、心臓がドキドキしてきた。
「どちらからですか?」
そう訊ねられた静は、出来るだけ落ち着こうとしていた。
「神奈川からです。
昨日から、一週間ほど温泉三昧に来ました。
昨日はもっと奥の大きな露天風呂に行きました」
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カルテ番号 り・1(17)
どのくらいの時が経ったのだろうか。
時間の感覚はなくなっていた。
何を見ようとしたのかも、忘れていた。
数人の人が見えた。
女性が三人。
男性が一人。
温かい雰囲気に包まれていた。
これが何を意味するのか、少しもわからない。
だが、判った事もある。
自分の人生が大きく変わろうとしている。
こちらで、自分の人生にとっての何かが起こる。
何かの渦に入り込んだ。
それは、吉事かどうかはわからないが、凶事ではない。
力石静は、そのまま、眠った。
次の日は、できるだけ小さな有名でない温泉場。
昨日の立派な露天風呂は、もういい。
あまり人のいない温泉場を目指した。
山の中腹にある、町営の温泉場があった。
町営だが、立地条件が悪いので、大勢は入れない。
駐車場も数台しかおけない。
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カルテ番号 り・1(16)
今のは、何だろう?
力石静は考えを慌てて中断した。
一つに集中すると、その先が見える。
だが、運転中などは危険なのだ。
周りの音や視界が脳に認識されなくなる。
一人部屋にいる時ならいい。
ホテルに入り、併設されている簡単な食事処で夕食にした。
近くのコンビニで必要と思われるものも買った。
飲み物、食べ物も買った。
そして、殺風景ではあるが、一人の部屋に入った。
何故か落ち着けるのだ。
我が家といってもいいアパートよりも、落ち着ける。
風呂もトイレも済ませ、ベッドの上で瞑想する。
久しぶりだ。
離婚前以来だった。
息を静かに吐いて、今日の不思議な感覚を思い出す。
そのまま、何もしない。
深く潜ろうとしない。
自然にゆっくり見えるのを待つ。
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カルテ番号 り・1(15)
目指す温泉地は本当に山の中だった。
ホテルも隣接しているが、周りには家がない。
露天風呂は大きく、湯量も豊富だった。
だが、宣伝され有名になった。
多くの観光客が訪れる。
商売意識が表に出過ぎていて、あまりいい感じはしない。
有名になると質が落ちる割合は、かなり高い。
料理でも旅館でも人でもモノでも・・・
温泉自体はいいと思う。
だが、再び来たいとは思わなかった。
明日は、別な日帰り温泉に行くつもりだった。
あまり落ち着けず、帰ることにした。
ビジネスホテルへの帰り道だった。
夕方だった。
ある場所で、胸がドキドキした。
車で数秒の事だった。
理由はわからない。
不安感とは全く違うドキドキだった。
例えれば、遠い昔の青春時代。
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カルテ番号 り・1(14)
しばらく忘れていた事だった。
勘というのは、掘り下げなければ知らんふりできる。
若い頃は知る事を追及してしまったのだ。
だから、より深い秘密まで知ってしまう。
知らない、解らないふりをしていれば、能力は動かない。
それでも、ふっと感じる事もある。
思い返せば、今回の不安感はそういうものだった。
能力というのは使わなければ退化する。
まして封印していた能力だ。
使おうという意識が自動的に抑制する。
それに今更、使うつもりもない。
それでいい。
ただの疲れた中年女でいい。
疲れたから、温泉に向かっているだけだ。
そんな事を思い出しているうちに、ビジネスホテルのある地に着いた。
チェックインはできる時間になっていた。
手続きして、再度ドライブに出た。
今日は山奥の野天風呂が有名な日帰り温泉だ。
今はナビがあるから、迷うこともない。
夕方までゆっくり入れるだろう。
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カルテ番号 り・1(13)
祖母の能力は並外れて高かったのだと思う。
だが、決して商売にはしなかった。
そういう能力は他人に隠す方がいい。
そんな意味の事を幼い静に話してくれた憶えがある。
静にとっては普通の優しい祖母だった。
母も祖母ほどではないが、勘の鋭い方だったと思う。
母も勘の鋭さは、平穏な暮らしを邪魔すると言っていた。
人は知らなくていい事が沢山あるのだ。
知ってしまうと、摩擦が生じて、平穏になれない。
高校を卒業する頃の言葉だったが、静には意味がわからなかった。
女系に引き継がれた勘の鋭さを心配してくれていたのだろう。
知らない、解らない方が幸せなのよ。
真意は不明だったが、言葉だけを憶えている。
母の言葉の意味が解るのは、結婚してからだった。
人には秘密がある。
それに勝手に気づいてしまうのは、人と人との関係を壊す。
結局は、そういう静の勘の鋭さから離婚になった。
今は充分理解している。
知っても解らないふりをするのに慣れた。
知らない方が関係は壊れない。
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