水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1154」

2017-01-11 21:33:58 | Weblog



カルテ番号 り・1(22)

これも運命かもしれない。
今までなら断る。
でも今回は受け入れてみよう。
自分に何かが起きている。
静はそう思った。
「わかりました。
その治療院の場所と電話番号を教えて下さい」

場所を聞くと、昨日の帰り道に感じた不思議な感覚の場所のような気がした。
奇妙な顔をしていたのだろう。
柳玲香が言った。
「力石さん、気が乗らない時は行かない方がいいですよ。
その先生がよくおっしゃっていました。
人と人、人とモノ、人と場所、全ては相性があるそうです。
そして、理屈や評判やその他よりも相性を優先するのがいいそうです」

「違うのです。
実は・・・」と静は昨日の感覚の話をした。
柳玲香は破顔した。
「やっぱり、よかった。
もう決まったも同然です。
力石さんにとって、とても大きな出来事になると思いますよ。
楽しみにして、行ってみて下さい」

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1153」

2017-01-10 22:18:24 | Weblog



カルテ番号 り・1(21)

柳玲香は少し考えてから言った。
「力石さんの状態が本当はどうなのか、私にはわかりません。
今の様子からは、どこも異常が無いように思えます。
ですが、私の知っている治療院が近くにあります。
もしかしたら、力石さんの力になるかもしれません。
少し変わっている治療法ですが、よかったら紹介します。
変わっている、というのは、治療しないかもしれません。
でも、力石さんの解決になるかもしれません」

静は、柳玲香の言葉の意味をはかりかねていた。
「あの~、おっしゃる意味がわからないのですが・・・」
柳玲香は微笑んだ。
「そうですよねぇ。
私もどう説明していいかわからないのです。
でも、力石さんの心身の状態を診てくれると思います。
その上で、アドバイスをしてくれると思いますよ」

急に治療院の話が出て、静は戸惑った。
今回、治療するつもりはなかった。
それに、どんな治療師なのか、少しも見当がつかない。
そんな静の顔色を見て、玲香が言った。
「大丈夫ですよ。
その先生は、とても穏やかな人です。
気功の先生ですが、特に何もしなくていいです。
一度会ってみれば、わかります」

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1152」

2017-01-09 19:37:51 | Weblog



カルテ番号 り・1(20)

柳玲香は興味深そうに聞いている。
「土地というか場所のような気がします。
車で離れるにしたがって、その不安感が消えていったのです。
申し遅れました、私は力石静といいます。
神奈川には30年くらい住んでいました。
会社は都心にあって、20年以上勤めていたのですが・・・
もう、帰りたくないような気がして・・・
これからどうしようかと・・・」

柳玲香が真面目な顔で言った。
「ご家族はどうされているのですか?」
「6年前に離婚して、息子が一人北海道の大学に行っています。
ですから、私一人暮らしです。
息子は独立心の強い子で、親の援助無しで生活しています。
私もこの先、一人でキチンと生活していくつもりでした。
定年までは会社に勤めるつもりでしたが・・・」

力石静は、この柳玲香というかなり年下の女性に頼りたい気持ちだった。
何を頼るのか?それもわからないが、きっと何とかしてくれる。
それは、静の能力の勘でもあった。
「病院では、うつ病とされましたが、私は違うと思っています。
薬も飲んでいません。
何かはわかりませんが、温泉でゆっくりしていたら、回復すると思ったのです。
もっとも、こちらに着いてからは、不安感はありません」

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1151」

2017-01-08 19:04:38 | Weblog



カルテ番号 り・1(19)

力石静はこの相手と何とか話を続け、親しくなろうと思った。
きっと静にとって、大切なキーポイントの相手だ。
「私も大きな温泉風呂は、もう遠慮します。
観光地の温泉という感じが私には合わないようで。
ここは落ち着けてラッキーです。
多分、明日からもここに来ようと思います」

相手が名乗った。
「あら、うれしいわ。
私は柳玲香といいます。
私も頻繁にここに来ていますから、よろしく。
ところで、一週間の温泉三昧ですか?
何か湯治的なことですか?
いえ、立ち入った事ですからお答えにならなくても結構ですが」

力石静は内心、しめた、と思った。
立ち入った事を訊ねてくれれば、もっと話ができる。
「特に秘密にするような事はないのですが・・・
しっかりとした答えにならないのですよ。
キッカケは、ある日、急に不安になって会社に行けなくなったのです。
理由はわかりません。
でも、こちらに来て、何となく思い当たりました」

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1150」

2017-01-07 19:22:59 | Weblog



カルテ番号 り・1(18)

先客がいた。
30歳くらいだろうか。
キリリとした美人だった。
その顔に何となく見覚えがある。
平日の午前中から温泉・・・
湯治とも思えぬ健康的な身体だった。

「こんにちは」
静は軽く頭を下げて湯船に入った。
「こんにちは。
ここは空いていて、ゆっくり入れるのですよ。
私のお気に入りな温泉場です」
声もハッキリとした、いかにも仕事が出来そうな女性だった。
そこで思い出した。
昨夜の瞑想時に出ていた一人だ。

運命の急展開。
そう思うと、心臓がドキドキしてきた。
「どちらからですか?」
そう訊ねられた静は、出来るだけ落ち着こうとしていた。
「神奈川からです。
昨日から、一週間ほど温泉三昧に来ました。
昨日はもっと奥の大きな露天風呂に行きました」

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1149」

2017-01-06 19:13:41 | Weblog



カルテ番号 り・1(17)

どのくらいの時が経ったのだろうか。
時間の感覚はなくなっていた。
何を見ようとしたのかも、忘れていた。
数人の人が見えた。
女性が三人。
男性が一人。
温かい雰囲気に包まれていた。

これが何を意味するのか、少しもわからない。
だが、判った事もある。
自分の人生が大きく変わろうとしている。
こちらで、自分の人生にとっての何かが起こる。
何かの渦に入り込んだ。
それは、吉事かどうかはわからないが、凶事ではない。

力石静は、そのまま、眠った。
次の日は、できるだけ小さな有名でない温泉場。
昨日の立派な露天風呂は、もういい。
あまり人のいない温泉場を目指した。
山の中腹にある、町営の温泉場があった。
町営だが、立地条件が悪いので、大勢は入れない。
駐車場も数台しかおけない。

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1148」

2017-01-05 19:47:23 | Weblog



カルテ番号 り・1(16)

今のは、何だろう?
力石静は考えを慌てて中断した。
一つに集中すると、その先が見える。
だが、運転中などは危険なのだ。
周りの音や視界が脳に認識されなくなる。
一人部屋にいる時ならいい。

ホテルに入り、併設されている簡単な食事処で夕食にした。
近くのコンビニで必要と思われるものも買った。
飲み物、食べ物も買った。
そして、殺風景ではあるが、一人の部屋に入った。
何故か落ち着けるのだ。
我が家といってもいいアパートよりも、落ち着ける。

風呂もトイレも済ませ、ベッドの上で瞑想する。
久しぶりだ。
離婚前以来だった。
息を静かに吐いて、今日の不思議な感覚を思い出す。
そのまま、何もしない。
深く潜ろうとしない。
自然にゆっくり見えるのを待つ。

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1147」

2017-01-04 20:12:53 | Weblog



カルテ番号 り・1(15)

目指す温泉地は本当に山の中だった。
ホテルも隣接しているが、周りには家がない。
露天風呂は大きく、湯量も豊富だった。
だが、宣伝され有名になった。
多くの観光客が訪れる。
商売意識が表に出過ぎていて、あまりいい感じはしない。

有名になると質が落ちる割合は、かなり高い。
料理でも旅館でも人でもモノでも・・・
温泉自体はいいと思う。
だが、再び来たいとは思わなかった。
明日は、別な日帰り温泉に行くつもりだった。
あまり落ち着けず、帰ることにした。

ビジネスホテルへの帰り道だった。
夕方だった。
ある場所で、胸がドキドキした。
車で数秒の事だった。
理由はわからない。
不安感とは全く違うドキドキだった。
例えれば、遠い昔の青春時代。

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1146」

2017-01-03 19:04:27 | Weblog



カルテ番号 り・1(14)

しばらく忘れていた事だった。
勘というのは、掘り下げなければ知らんふりできる。
若い頃は知る事を追及してしまったのだ。
だから、より深い秘密まで知ってしまう。
知らない、解らないふりをしていれば、能力は動かない。
それでも、ふっと感じる事もある。
思い返せば、今回の不安感はそういうものだった。

能力というのは使わなければ退化する。
まして封印していた能力だ。
使おうという意識が自動的に抑制する。
それに今更、使うつもりもない。
それでいい。
ただの疲れた中年女でいい。
疲れたから、温泉に向かっているだけだ。

そんな事を思い出しているうちに、ビジネスホテルのある地に着いた。
チェックインはできる時間になっていた。
手続きして、再度ドライブに出た。
今日は山奥の野天風呂が有名な日帰り温泉だ。
今はナビがあるから、迷うこともない。
夕方までゆっくり入れるだろう。

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1145」

2017-01-02 18:47:42 | Weblog



カルテ番号 り・1(13)

祖母の能力は並外れて高かったのだと思う。
だが、決して商売にはしなかった。
そういう能力は他人に隠す方がいい。
そんな意味の事を幼い静に話してくれた憶えがある。
静にとっては普通の優しい祖母だった。
母も祖母ほどではないが、勘の鋭い方だったと思う。

母も勘の鋭さは、平穏な暮らしを邪魔すると言っていた。
人は知らなくていい事が沢山あるのだ。
知ってしまうと、摩擦が生じて、平穏になれない。
高校を卒業する頃の言葉だったが、静には意味がわからなかった。
女系に引き継がれた勘の鋭さを心配してくれていたのだろう。
知らない、解らない方が幸せなのよ。
真意は不明だったが、言葉だけを憶えている。

母の言葉の意味が解るのは、結婚してからだった。
人には秘密がある。
それに勝手に気づいてしまうのは、人と人との関係を壊す。
結局は、そういう静の勘の鋭さから離婚になった。
今は充分理解している。
知っても解らないふりをするのに慣れた。
知らない方が関係は壊れない。

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする