「男はつらいよ:フウテンの寅さん」第一作をNHKプレミアムで放映しており、久し振り
に笑うのも良いだろうと早速観ました。
山田洋次監督のメガホンにより撮られた、ご存知、東京は葛飾柴又の下町の人情話、
何十年振りに故郷東京・葛飾柴又に帰ってきた車寅次郎(渥美清)。 庚申祭りの最中、早速祭りに参加する寅次郎。 そんな中、懐かしいおいちゃん(森川信)、おばちゃん(三崎千恵子)や妹さくら(倍賞 千恵子)と涙の再会を果たす。 ある日、妹・さくらの見合いの付き添いとして出席した寅次郎だが、酔っぱらった挙句 の大失態をやらかす。 折角の良い見合いをぶち壊されたと怒るおいちゃん、結局、大喧嘩をした後、寅さん は柴又を去っていく。 その後、寅次郎は旅先の奈良で、御前様(笠智衆)の娘・冬子(光本幸子)に出会う。 例によって、たちまち冬子にホの字の寅次郎は、冬子と共に柴又帰って来る・・・帰って きた寅次郎は、すったもんだの末に、裏の印刷工博(前田吟)と妹さくらの中に入り、縁 談話を進める。 若い二人は互いに魅かれ合い、結婚へと進んで行くが、肝心の「寅さんの恋」は儚くも 散ってしまうのか・・・
この映画、撮影が1969年(S44)であり、当時の東京下町の、人と人のきめ細やかな
関わりが、そのままスクリーンに持ち込まれた風情でとてもとても懐かしい。
第一作のマドンナ役は、当時新派トップ女優の光本幸子映画初出演、博(前田吟)の父
親役(渋い大学教授)には名優・志村喬が、そして寅さんの叔父・母(森川信・三崎千恵
子)、甥の一見ハチャメチャな絡みには、家族のほのぼのとした情愛さえ感じられる。
ちなみに「男はつらいよシリーズ」の劇中名台詞、
おいちゃん~「出てってくれ!」 寅さん~「それを言っちゃあお仕舞いよ」 おいちゃん~
「ほんと馬鹿だね~」 ふらりと柴又に帰った時、顔馴染みと交わすあいさつ~「相変わら
ず馬鹿か?」 晩酌の後、二階に上がる際~「今夜はこのへんでお開きってことにするか
・・・」 的屋商売の口上言葉~「結構毛だらけ猫灰だらけ」「四谷赤坂麹町、チョロチョロ
流れるお茶の水、粋な姉ちゃん・・・」等々も随所に出て来る、名台詞の一部は渥美清の
アドリブも取り入れられている様だ。
それにしてもこの映画、劇中で寅さんが時折、的屋の仁義口調で語る真面目なつもりの
挨拶には、笑い転げながらも、今の日本人が忘れてしまっている、古き善き日本人の「礼
節や品格」を感じさせられ、うれしくなってしまう。
山田監督は、この映画の封切りの日、映画館で「面白い映画では、ないだろうな~・・・」
と、観客の反応が非常に気に掛かりであったが、映画が始まるや寅さんの何気ない一つ
一つの演技に、爆笑と拍手喝采が聞かれ、「これは予想外でした!」と述懐している。
山田洋次監督の追い求める「家族」がそこに居る.
『男はつらいよ:フウテンの寅さん』万歳である!
~今日も充実した一日を~