タカちゃんの絵日記

何気ない日々の感動を、スケッチと好きな音楽と、そして野鳥写真を。。。

 『ある存在』  茨木のり子集 <言の葉>より

2017-06-26 | その他

食卓の上の、ガラスの器に生けたバラの花

トイレの窓際の小さなガラスの器に、遊び心でビー玉とバラの花一輪ずつ差してみる。        この花、ここで根付いたように、もう半月近くも咲いている。        花を見ながら心穏やかな一日が過ぎてゆく。

 

ある存在   茨木のり子集 言の葉より

大樹の根かたに

裸身をかくし

りょうりょうと笛を吹いているひと

 

ちらりと見える頭には角が生え

半神半獣の痩せた生きもの

幼い頃一度だけ雑誌でみた絵

誰の絵ともわからずに

(ただの挿絵だったのかもしれない)

けれど

わたしは納得した

誰に教えられたのでもなく

(こういう種族もいるのだ たしかに)

 

以来彼はわたしのどこかに棲みついている

みにくくて

さびしくて

なつかしい存在

音色だけで ひとびととつながるもの

 

この詩は、のり子さんが、愛しき亡きご主人への思いを、赤裸々に綴った詩であるが、ここに出てくる 「存在」 とは。。。夫婦の間に流れる「空・気」の流れの様なもの。。。これはお互いの生身の存在を超えて、「あうんの呼吸」とでも言うか、そこにいるだけでお互いの存在を認め合える。。。そんな境地を見事に謳った詩ではないでしょうか。        意識は時空を越え、そして「気」の交流は永遠だと。。。そして最後に、「それはそれでよかったような」と、この詩を読む人に安堵した様な「余韻」を残しています。

 

 

 

il Divo-The Power of Love