食卓の上の、ガラスの器に生けたバラの花。
トイレの窓際の小さなガラスの器に、遊び心でビー玉とバラの花一輪ずつ差してみる。 この花、ここで根付いたように、もう半月近くも咲いている。 花を見ながら心穏やかな一日が過ぎてゆく。
ある存在 茨木のり子集 言の葉より
大樹の根かたに
裸身をかくし
りょうりょうと笛を吹いているひと
ちらりと見える頭には角が生え
半神半獣の痩せた生きもの
幼い頃一度だけ雑誌でみた絵
誰の絵ともわからずに
(ただの挿絵だったのかもしれない)
けれど
わたしは納得した
誰に教えられたのでもなく
(こういう種族もいるのだ たしかに)
以来彼はわたしのどこかに棲みついている
みにくくて
さびしくて
なつかしい存在
音色だけで ひとびととつながるもの
この詩は、のり子さんが、愛しき亡きご主人への思いを、赤裸々に綴った詩であるが、ここに出てくる 「存在」 とは。。。夫婦の間に流れる「空・気」の流れの様なもの。。。これはお互いの生身の存在を超えて、「あうんの呼吸」とでも言うか、そこにいるだけでお互いの存在を認め合える。。。そんな境地を見事に謳った詩ではないでしょうか。 意識は時空を越え、そして「気」の交流は永遠だと。。。そして最後に、「それはそれでよかったような」と、この詩を読む人に安堵した様な「余韻」を残しています。
il Divo-The Power of Love