先日の参議院選挙は自民党が圧勝。これも忘れやすい日本国民がなせる技なのだろうか。何はともあれ、自民党独裁政権の再来に、気になる五ヶ山ダム、そして国際リニアコライダー・ILC候補地のひとつ脊振山地へ向かった。
前回、五ヶ山ダム現場を訪れてから5ヵ月半。現在、ダムサイトの建設予定地には、鹿島JVの現場事務所が建ち並び、すぐそばにはコンクリート打設用のクレーンがそびえ立っていた。ダム工事では大量のコンクリートを使う為、コンクリートプラントを設置しなければならない。現場では、その準備が始まっているようだった。とはいえ、標高1000m足らずの小さな脊振山麓に、黒部ダムの5分の1の貯水容量を保つ巨大なダムを造ろうとしているのだから、そう簡単に工事が進むはずもない。小河内あたりでは、木々が剥ぎ取とられ、地肌が露わになっているところに重機が張りつき、コンクリートの骨材を採取していた。脊振山頂からも、その痛々しい姿は確認できた。福岡市の水は足りているというのに、何故これほど巨大なダムを造らなければならないのか。これはもう、愚かとしか言いようがない。
そして、脊振山地。ここにも危機が迫っている。今月末、ILC戦略会議・立地評議会が開かれ、北上山地と脊振山地のどちらかにその候補地を選定するというのだ。欧米では財政難を理由に、誘致に消極的という報道がなされている。が、果たして理由はそれだけだろうか。地下100mのところに30kmもの巨大なトンネルを造るのだから、環境に影響がないわけはない。ところが、日本のメディアはILC計画を絶賛するばかりで、環境へのリスクや危険性については殆ど報じない。こうした中、今月6日、福岡市内で行われた物理学者藤田祐幸講演会『原発とエネルギー、九州の私たちにできること』で、藤田氏はILCの危険性について言及。「夢の何とかというものに、ろくなものはない」「科学者が夢を語ったときは、殆ど悪魔の科学」と一蹴。成程、頷けた。
自然を破壊してまで、宇宙創成の謎や時間と空間の謎を解明することに、どれだけの意味があるというのだろうか。科学者達は未知なる夢を語るが、自然にこそ夢が満ち溢れている。これ以上の夢はない、と思うのだが。
ダムサイト現場
巨大なコンクリートクレーン
坂本峠側から見た現場
那珂川源流近く
脊振山山頂から見た、五ヶ山ダム現場(写真右)
脊振山山頂から見る福岡市(中央に博多湾、背後に志賀島、左に福岡タワー)
脊振山山頂直下にある航空自衛隊基地
基地内
脊振山系、夏模様
《参考》