1週間ぶりに福岡へ戻った日、11月29日午後10時頃、福岡市水道局がツイッターでメッセージを出していた。今時分、何事?と思って見ると、福岡市の水道水から異様な臭いがするという市民からの問い合わせに対応したものだった。そこで、水道局のホームページを見ると、異臭が発生したのは27日、原因を突きとめるのに2日もかかっていた。報道によれば、市民からの問い合わせは500件に上っていたという。市は、この水を飲んでも健康への影響はないというが、あまりに後手。もちろん、高島市長からの謝罪はない。
福岡市水道局は、異臭の原因は、取水している那珂川に臭気を発生する藻類が大量に流入したことによるものとし、取水地点を変更するなど対策を行い、ほとんどの地域では11月30日午前中に、一部の地域では12月1日までに改善すると報告していた。今回、影響が出たのは、高宮浄水場配水エリアで西区を除くすべて。わが家は、浄水場から遠いこともあってか、相方に聞くと臭いはしなかったとのことだった。
なぜ大量の藻が流入したのか。それは、番托取水場近くのため池から水が放流されていたからである。市は、どこのため池かは明らかにしていないが、取水場近くで、那珂川に放流の可能性(水路)があるため池といえば、市内最大の野多目大池か老司大池(どちらも農業用)しか思い浮かばない。そこで、現地へ行ってみたが、どちらも水は緑色で藻が繁殖しているように見えた。
福岡市の11月平均気温は16.3℃(29日時点)、この時期としては異常に高い。しかも、雨が少なく水も流れない。藻が大量に繁殖する条件は整っていた。なぜこのタイミングで放流されたかは不明だが、市が採取した水からは、かび臭のもととなる「オシラトリア」が通常の100倍近く検出されていた。これが臭いのもととなっていたのである。
番托取水場では1日2回、職員1人が臭いと口に含んで違和感がないかチェックしているようだが、今回は異変に気づかなかったという。(これも不思議な話だが)そのため、今後は複数の職員がチェックに当たるらしい。にしても、事前に放流することがわかっていれば、防げたことではないのか。それとも付近の小さなため池から入ったのだろうか?大量に放流されていたというので、それも考えにくいが。
ツイッター上では、福岡市の水を飲むのが不安だ、信用できないという声が上がっている。庇うわけではないが、福岡市は国が定めた水質基準よりさらに厳しい独自の目標値を設定している。それは、245T剤問題で水質調査の説明を当局から直接受けた際に聞いていた。実際、福岡市の水は山口の田舎より良い。それゆえ、今回の件は、何とも解せない。
撮影日:2022.12.1
市内最大の野多目大池(南区)
水は緑色に濁っている
こちらは老司大池(南区)、水が減っている(もしかして、ここ?)
こちらの水のほうが、循環が悪いのか濃い
番托取水場と高宮浄水場とため池の位置関係
那珂川の東側に小さなため池がいくつかあるが、那珂川へ流れ込む水路は見当たらない
福岡市の水道施設系統図
番托取水場での河川からの取水をやめて、南畑取水場からの直接取水に切り替えているのだろう
というわけで、番托取水場へ。
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《参考資料》
・福岡市水道局。水道水の臭気について(2022.11.29)