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小麦の草に、カナヘビがよく似合う。

小平の庭でも逢い、今度の豊田の庭の
コムギ畑でも、昨日暖かな春の日に逢いました。

逃げるかな、と思いつつ指を近づけたが
一向に逃げる氣配をみせず
逆に僕の指先を細い口先で
つんと突いてきました。

可愛い!

このような小さな命たちの、目立たないながら
繊細で複雑な食物連鎖によって
生態系も、人も守られている。

現代はプリント文化で、表面の完成度だけで
判断選択されることにあふれているが、

プリントよりは裏側まで染めること、
できれば糸を紡ぐところ、
もっといえば糸の元となる植物を探す、育むところから
築いていけば、表面は揺るぎない結果として
後からついてくる。
カナヘビにも逢える。

やはり根幹は、日々の愚直ながら尊い
坦々とした生活と
自分に嘘をつかず、目の前のことを
あきらめないで続けることと思う。

計画や設計や思想にがんじがらめになると、
その外に広がる世界に逢えない。

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庭で藍染めをしていますが、

寒い時期は藍を建てづらいので
今年も三月くらいからはじめようと思ってたら、ずっと寒い。
そして、この春四月を過ぎ、桜の開花に合わせて
うちの藍のバケツも再稼動をはじめました。

たまにかき混ぜたり、重曹水を加えてはいた。

友達から頼まれていた前かけを製作中です。

はじめ、木綿でよいと言われていましたが
「前掛けは汚れるから、大あさがのいい。水分が溜まらないから臭わず清潔」
と言って、大あさに本藍染めという豪華な組み合わせです。

文字を白抜きするために、ろうけつ染め(溶かしたロウを塗った所は染まらない)をしましたが
二重の麻布がロウをよく吸い込むのもあってか、白抜きの部分がやや水色に染まってしまった。
これを防ぐには、ロウを重ね塗りして、手堅くてかてかと覆っておけばよいです。

しかし、既に染まった所を白くするには「抜染(ばっせん)」といって薬剤を塗ればできなくはないが
染まった所を薬品で脱色するのは氣がすすまない。
仕方なく、再び文字の上にロウを塗って染め直し、
周りを濃くすることで字をはっきりとさせた。
あとは、白い糸で文字の上をくしゃくしゃと刺繍して、何とか白く見せる。

このように染めは、後戻りがしづらいのではじめが肝腎ですね。

ロウけち染めのポイントは、電熱器で温めながら、熱いロウで描くことで
布の奥まで染み込ませることと、さらに重ね塗りすること。
裏側も染め抜きたければ、裏からも塗ります。

また、何度か染めるとき、絞ってしまうとロウにひびが入るので
藍染にしても、カメから上げたらそのままぽたぽたと藍液をカメに垂らしたまま
風に当てておき、しずくが落ちなくなったらまたそのまま浸ける、という作業になります。

僕は普段は、染めたものは空氣にさらしておかずに水に入れてざぶざぶして、
水の中の酸素で青くしていますが、ロウけつの場合は絞れないので空氣です。

染料店では、ろうけつ用のワックスとして、白いロウが売っていますが
僕はミツロウもおすすめです。ミツロウは粘りがあるのでひびが入りにくいのと、
染めた後に熱湯で浮かせたロウを冷ましたら、かき集めて再利用するのに
蜜ろうの方が生命力?があって使いやすい感じだからです。
また、はじめに一氣にコンロで溶かすとき、蜜ろうだと煙も甘い香りで、
体に悪そうではないので氣が楽です。
もちろん、火の取り扱いには要注意で、電熱器も相当熱くなるので、電源を切った後も
しばらく冷ますことが大切です。

布に付いたロウを熱湯で取り除くのがひと手間といわれていますが、
まずロウ専用の寸胴鍋を用意して、湯を沸かします。布が入るので、水の量は半分くらいでよいです。
沸騰までしなくても、かなり熱くなればロウは溶けます。
布を入れるとロウが油のように浮いてきます。
ここにちょいと水を加えて、少しだけ固まらせたものを
観賞魚用の細かいアミですくうと取れます。

それでもまだ布の各所に根深く残っているので、ハシで布を動かしながらロウを浮かせます。
冷めてきたら、再びコンロにかけて熱します。
三度ほどそういう作業をするとだいたい取れます。

藍染だけにしても、ロウで描くにしても
カバンや洋服を作ってから染めると、かさばったりロウがすき間に入りこんだりと
作業がしづらいので、布だけを染めるほうがよいと思います。

長くなってしまいましたが、そんな感じで藍のろうけつ染めを大あさの布にしているので、
今年は服やふろしきに、いろんな模様なりを染め抜いてみたいと思います。

先日、自然派の人たちの間で人氣のあるブランドの服を、着なくなったからリメイクしてほしいと
頼まれていったんほどきましたが、たしかに布は風味があってよいのだけど
洋裁で作られてあるので、曲線ありのバラなパーツになってしまった。
僕は四角いままで作るので、それらを四角く裂いてからつなげて二枚の布にして、
古代の貫頭衣にしました。
洋裁は洋裁で、シルエット命で素晴らしいものだけれど、原点は動物の革であるから
やはり布は織ったままの四角を生かしたほうが、直しやすく、丈夫で長持ちもして
ふさわしいと思っています。

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