漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「戠ショク」 <しるしをつける>

2013年09月04日 | 漢字の音符
 ショク・シ 戈部      

解字 「辛(入れ墨に用いる大きな針)+印をつける+戈(ほこ:たたく・うつ)」の会意。「印をつける」は、甲骨文字で〇に点、金文で〇に縦棒、現代字で日に変化している。戠は、大きな針(辛)をたたき(戈)ながら、印(日)を打ってゆくこと。現代字は辛が立に変化し、全体で「音+戈」の形になった。戠を音符に含む字は、「印をつける」「目立つ・目立たせる」イメージを持つ。

イメージ  「印をつける」 (幟・識・職)、印を打って「目立つ・目立たせる」 (織・熾)
音の変化  ショク:職・織  シ:幟・熾  シキ:識

印をつける
 シ・のぼり  巾部
解字 「巾(ぬの)+戠(印をつける)」 の会意形声。目印をつけた長い布。
意味 (1)のぼり(幟)。細長い布に模様をつけてめじるしとして立てる旗。「旗幟はたのぼり」「鯉幟こいのぼり」(鯉のかたちをした幟)「赤幟セキシ」 (2)[仏]しるす。あらわす。「標幟ヒョウジ」(形でその内容を表現すること。密教では、印(指の組合せ)・持物などで仏の役割を表す)
 シキ・しる・しるす  言部
解字 「言+戠(印をつける)」 の会意形声。言葉にしるすこと。また、言葉にしるすことによって深く認識すること。
意味 (1)しるす(識す)。しるし。「標識ヒョウシキ」 (2)しる(識る)。考える。さとる。「識別シキベツ」「認識ニンシキ」「識見シキケン
 ショク  耳部
解字 「耳+戠(印をつける)」 の会意形声。戦場で討ちとった敵の耳に印 しをつけて数え、その戦功を記録すること。耳の数の多さは戦場での手柄を示した。転じて、仕事やつとめの意となった。
意味 (1)しょく(職)。いとなみ。しごと。「就職シュウショク」「定職テイショク」 (2)つとめ。役目。担当する。「職務ショクム」「職掌ショクショウ」(うけもつ職務)

目立つ・目立たせる
 ショク・シキ・おる  糸部
解字 「糸+戠(目立たせる)」 の会意形声。色糸などを入れて糸を交差させ、模様をつけて目立たせること。織は、もと織物のなかでも模様のあるものを意味した。
意味 (1)おる(織る)。布をおる。はたおり(機織り)。「織機ショッキ」「染織センショク」(染めと織り)「紡織ボウショク」(糸を紡ぐことと織ること) (2)組み立てる。組み合わせる。「組織ソシキ
 シ・さかん・おき  火部
解字 「火+戠(目立つ)」 の会意形声。火が目立って燃えるさま。
意味 (1)さかん(熾ん)。勢いがはげしい。「熾烈シレツ」(勢いが盛んで激しい)「熾盛シセイ」(熾も盛もさかんの意) (2)[国]おき(熾。=燠)。薪が燃えて炭火のようになったもの。「熾火おきび」(赤く熱した炭火)
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