亦 エキ・また 亠部
解字 人間が大の字にたった姿の両わきの下に短線を加えて脇(わき)を表わした指事文字。人間の脇の下は左右に一つずつあり、同じことがもう一つある意となる。
意味 (1)また(亦)。~もまた。「亦声エキセイ」(二つの漢字が組み合わさってできた会意文字において、一方の字の声(発音)も受け継いでいるもの。「声も亦また」の意。すなわち、会意形声字のこと) (2)わき・わきのした。
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「同じものがもう一つある」(亦・跡・迹・奕・弈)
音の変化 エキ:亦・奕・弈 セキ:跡・迹
同じものがもう一つある
跡 セキ・あと 足部
解字 「足(あし)+亦(同じものがもう一つある)」の会意形声。足と同じものがもう一つがある意で、足あとをいう。
意味 (1)あと(跡)。あしあと。あとかた。「人跡ジンセキ・ひとあと」「遺跡イセキ」(人類の行為が残されたあとかた)「城跡ジョウセキ・しろあと」 (3)あとづける。「追跡ツイセキ」
迹 セキ・ジャク 辶部
解字 「辶(ゆく)+亦(同じものがもう一つある)」の会意形声。同じものが続いてゆく意。常用漢字でないため、ほとんど跡セキに置き換える。
意味 (1)あと。あとかた。「行迹コウセキ」(おこない。行状。=行跡)「事迹ジセキ」(事件のあとかた。=事跡)「筆迹ヒッセキ」(=筆跡) (2)あとづける。 (3)[仏]「垂迹スイジャク」(仏・菩薩が衆生済度のために仮の姿をとって現れること)
奕 エキ・ヤク 大部
解字 「大(おおきい)+亦(同じものがもう一つある)」の会意形声。大きいものがもう一つある形で、おおきい・さかんの意を表す。また、もうひとつある意から、つづく意ともなる。
意味 (1)大きい。さかん。「奕奕エキエキ」(大きいさま。連なるさま) (2)つづく。「奕世エキセイ」(代々。世をかさねる)「奕世伝来エキセイデンライ」(代々伝わる) (3)(弈エキに通じて)囲碁。ばくち。「博奕バクエキ」(ばくち)「奕棋エキキ」(碁を打つこと)
弈 エキ 廾部
解字 「廾(ふたつの手)+亦(両方)」の会意形声。廾は、ふたつの手があわさった形。弈は両方がそれぞれの手をだして囲碁をしたり、博打(ばくち)をすること。現在は奕エキで代用することが多い。
意味 (1)囲碁などでの勝負事。(2)博打をする。「博弈バクエキ」(ばくち=博奕)
夜 ヤ <日没を中心にして月のでる方>
夜 ヤ・よる 夕部
解字 金文が大の字に立った人の右に夕または月の形を描いていることで分かるように、「月(つき)+亦エキの略体」の会意。亦(両わき)は大の字に立った人の両側にハの字をつけた形で、大を中心にして両側に同じものがある意。夜の字は、大の一方に月(夕)を描いた形で、両側の一方が月の出た夜であることを示す(もう一方は昼を暗示している)。現代字は隷書(漢代)を経て「夜」へと原形をとどめぬほど変化した。なお、夜を音符に含む字は、ヤと発音する場合は「よる」の意。エキと発音する場合は「亦(両わき)」の意味で用いられる。
意味 (1)よ(夜)。よる(夜)。「夜景ヤケイ」「夜陰ヤイン」「除夜ジョヤ」「深夜シンヤ」「月夜つきよ」「昼夜チュウヤ」 (2)くらい。
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「よる」(夜・鵺)
「エキの音(=亦。両わき)」(液・腋・掖)
音の変化 ヤ:夜・鵺 エキ:液・腋・掖
よる
鵺 ヤ・ぬえ 鳥部
解字 「鳥(とり)+夜(よる)」の会意形声。夜に鳴く鳥。
意味 (1)鳥の名。雉きじに似て色は白い。 (2)[国]ぬえ(鵺)。①トラツグミの異称。森の中で夜中に細い声で鳴くため鵺または鵺鳥ぬえどりとも呼ばれた。②源頼政が紫宸殿上で射取ったという怪獣。声がトラツグミに似ていたことからという。③つかみどころがなく正体不明の人物。
エキの音
液 エキ・しる 氵部
解字 「氵(みず)+夜(エキ=亦。両わき)」 の形声。両わきから流れ落ちる汗の意。転じて、物の内部から出る汁(しる)の意となる。
意味 (1)しる(液)。物の内部から出るしる。「液汁エキジュウ」 (2)水状のもの。「液体エキタイ」「血液ケツエキ」「液化エキカ」(気体が液体に変化すること)「液晶エキショウ」(液状結晶の略。液体と固体の中間の状態にある物質)
腋 エキ・わき 月部にく
解字 「月(からだ)+夜(エキ=亦。両わき)」の形声。身体のわきのしたを言う。
意味 (1)わき(腋)。わきのした。「腋臭わきが」(腋の下がにおう病気)「腋下エキカ」(わきの下)「腋窩エキカ」(わきの下のくぼみ) (2)二股にわかれたところ。「腋芽エキガ」(葉のつけねから出る芽)
掖 エキ・わきばさむ 扌部
解字 「扌(て)+夜(エキ=亦。両わき)」の会意形声。物を手でもち、わきの下ではさむこと。
意味 (1)わきばさむ(掖む)。わき。わきの下に手をそえてたすける。「掖誘エキユウ」(たすけみちびく) (2)中央の両わきの建築物。「掖庭エキテイ」(宮殿わきの殿舎。皇妃・宮女のいる後宮)「掖門エキモン」(宮殿・寺社などの正門の両わきにある小さな門)「掖垣エキエン」(宮殿の両側の垣根。転じて、宮中・御所)
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