盧 ロ・ル 皿部
盧(ろ)姓のシンボルマーク
解字 甲骨文第1字は、つぼ形のうつわ(皿)の横に虎を描いた象形で、つぼの中に2点があり何かが入っていることを示している。第2字は、虎の略体が上にきて下部が鼎(かなえ)状の脚がある器の象形。虎の絵がはいったつぼ形または鼎形のうつわを表す。
金文を解くには盧姓のシンボルマークが参考になる。このマークはつぼ(皿)と虎が描かれているのは甲骨文と同じだが、つぼの中に描かれているのは胃イである。胃は「田(胃袋のなかの食べた物)+月(からだ)」からなる字で、胃袋を表す字[音符「胃イ」を参照]。したがって金文の盧は、食べ物をいれたつぼと考えられる。では虎は何を表しているのだろうか。盧が姓のマークであることから、虎は盧姓(盧の一族)を守護する動物、すなわちトーテム(崇拝対象)であると思われる。
金文の字形は上から、「虎の略+胃の田の部分+月(胃の月の部分)+皿(つぼ)」となり、シンボルマークと同じ内容を表している。篆文は、胃袋の部分がザルのような形になり、現代字で田に変化し、「虍+田+皿」の盧となった。意味は、姓に用いられる他、食べ物をいれるつぼから「めしびつ」となる。盧を音符に含む字は、「つぼ型のうつわ」「まるい」イメージを持つ。
意味 (1)姓のひとつ。「盧生ロセイの夢」(盧生という青年が立身出世して富貴を極めたが夢だったという故事。はかないことのたとえ)(2)つぼ。めしびつ。「壺盧コロ」(まるいつぼ)(3)すびつ(=炉)。火入れ。(4)くろい。くろいもの。(5)梵語の音訳。「盧遮那仏ルシャナブツ」(大日如来のこと)
イメージ
「つぼ型のうつわ」(盧・炉・蘆・廬)
「まるい」(艫・轤・驢)
「形声字」(膚・慮・虜・濾)
「その他」(櫨)
音の変化 ロ:盧・炉・蘆・廬・艫・轤・驢・濾・櫨 リョ:慮・虜 フ:膚
つぼ型のうつわ
炉[爐] ロ・いろり 火部
解字 旧字は爐で「火(ひ)+盧(つぼ型のうつわ)」の会意形声。火をいれておく壷形のうつわ。火鉢。新字体は、旧字の盧 ⇒ 戸に置き換えた。
意味 (1)ろ(炉)。いろり(炉)。ひばち(火鉢)。「炉端・炉辺ロばた」「暖炉ダンロ」 (2)火を入れて燃やしておくもの。「香炉コウロ」「熔鉱炉ヨウコウロ」
蘆[芦] ロ・あし 艸部
解字 「艸(くさ)+盧(つぼ型のうつわ⇒まるく中空)」の会意形声。茎がまるく、節のところまで中空である草の意で、あしをいう。盧 ⇒ 戸に置き換えた芦が俗字として使われている。
意味 あし(蘆)。よし。イネ科の多年草で水辺に自生する。葦イ・葭カとも書く。「蘆汀ロテイ」(蘆の生えているみぎわ)「蘆管ロカン」(①アシの茎。②指にはめる管状のもの。一弦琴で用いる)「蘆笛ロテキ・あしぶえ」(芦の葉を巻いて作った笛)
廬 ロ・リョ・ル・いおり 广部
解字 「广(やね)+盧(=蘆・芦。あし)」の会意形声。芦などの草で葺いた屋根。
意味 (1)いおり(廬)。草や木で造った粗末な家。仮の小屋。「草廬ソウロ」(草ぶきのいおり。草庵)「廬舎ロシャ」(仮小屋) 「穹廬キュウロ」(遊牧民のパオ) (2)地名。「廬山ロザン」(江西省の北部にある山)
まるい
艫 ロ・とも 舟部
解字 「舟(ふね)+盧(まるい)」の会意形声。舟尾のまるくなっている部分。
意味 とも(艫)。船尾。対義語は「舳ジク・へ」(船首)「舳艫ジクロ」(船の舳先へさきと艫とも)
轤 ロ 車部
解字 「車(回転する)+盧(まるい)」の会意形声。回転するまるいもの。
意味 「轆轤ロクロ」に使われる字。轆轤とは回転運動をする器械で、木地細工で丸い挽き物を作る工具や、陶器を形作る回転台をいう。※轆ロクは、「車+鹿(ロク)」の形声で、車が走るときのごろごろという音の擬声語。
驢[馿] ロ・リョ・うさぎうま 馬部
石臼を曳く驢馬(中国)
解字 「馬(うま)+盧(=轤。回転運動をする器械)」の会意形声。盧ロは轤ロ(回転運動をする器械)に通じ、回転運動をする石臼を曳く馬でロバをいう。これはネットで見つけた写真からイメージした私見。
意味 うさぎうま(驢)。ろば(驢馬)。ウマ科の動物。馬に似るが馬より小さく忍耐力にとむ。耳が長いことから、「うさぎうま」と言われた。「驢背ロハイ」(ロバの背)「驢鳴犬吠ロメイケンバイ」(ロバの鳴き声と犬のほえる声。聞くにたえないこと)「海驢あしか」
形声字
膚 フ・はだ 月部にく
解字 「月(からだ)+盧の略体(フ)」の形声。フは、尃フ(しく)・敷フ(しく)に通じ、身体の表面に布を敷いたような皮膚をいう。
意味 (1)はだ(膚)。「皮膚ヒフ」「完膚カンプ」(きずのない皮膚) (2)うわべ。物の表面。「膚浅フセン」(あさはかなこと)
臚 ロ 月部にく
解字 「月(にく)+盧(ロ)」の形声。字の構造は膚フと同じだが、ロの発音では仮借カシャ(当て字)の用法で、さまざまな意味がある。
意味 (1)つらなる。ならべる。「臚列ロレツ」(つらなりならぶ) (2)つたえる。伝達する。「臚伝ロデン」(上の人の言葉を下の者へ伝える)「臚句ロコウ」(通訳の官) (3)「鴻臚コウロ」とは、鴻コウ(おおとり。渡り鳥の意から大物の旅人。臚ロ(臚句ロコウから通訳)で、外国の賓客の応接にあたる官のこと。「鴻臚寺コウロジ」(中国で北斉以降、外国来賓の接待にあたる役所)「鴻臚館コウロカン」(古代に筑紫・難波・平安京に設けた外国使節を応対する宿舎)
慮 リョ・ロ・おもんばかる 心部
解字 「心+盧の略体(リョ)」の形声。リョは呂リョ(つらなる)に通じ、次々と関連することを心に思うこと。
意味 おもんばかる(慮る)。思いめぐらす。「考慮コウリョ」「配慮ハイリョ」「不慮フリョ」
覚え方 とら(虍)をおも(思)う配慮ハイリョ
濾 ロ・リョ・こす 氵部
解字 「氵(みず)+慮(ロ・リョ)」の形声。ロ・リョは漉ロク・リョ(こす)に通じ、液体を布などの細かい目をくぐらせて通過させ、混じり物をのぞくこと。
意味 こす(濾す)。「漉す」とも書く。液体の中の混ざりものを除き去る。「濾過ロカ」(こすこと)「濾紙ロシ」(濾過紙。こしがみ)
虜 リョ・とりこ 虍部
解字 「力(ちから)+盧の略体(リョ)」の形声。リョは呂リョ(つらなる)に通じ、力ずくで捕らえて数珠つなぎにした捕虜(とりこ)をいう。部首は解字から言うと「力」であるが、字を虍と男に分け「虍」を部首としている。
意味 (1)とりこ(虜)。いけどる。「捕虜ホリョ」「俘虜フリョ」「虜囚リョシュウ」 (2)しもべ。めしつかい。どれい。③えびす。蛮族。「胡虜コリョ」(北方のえびす。転じて、異民族)
覚え方 とら(虍)につかまったおとこ(男)は、虜(とりこ)
櫨[枦] ロ・はぜ 木部
ハゼの実。外側の黒っぽい果皮がはぜて内側の白い果皮がのこる。
(YouTube 「ナンキンハゼからろうそくを作る」より)
解字 「木(き)+盧(ロ)」の形声。ロという名の木。黄櫨コウロをいう。ウルシ科の落葉小高木。5、6月ごろ黄緑色の花が咲き、果実から木蝋をとる。日本では「はぜ」と言う。黒っぽい外側の果皮がはぜる(裂ける)からか。盧⇒戸にした枦ロは略字。
意味 (1)はぜ(櫨)。ウルシ科の落葉高木。秋に紅葉する。実から木蝋をとり、樹皮は染料となる。「黄櫨コウロ・はぜ」とも書く。 (2)地名。姓。「櫨谷はぜたに」(①神戸市の地名。②はせや(姓)「櫨山はぜやま」(姓)「枦山はぜやま・はしやま(姓)
<紫色は常用漢字>
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盧(ろ)姓のシンボルマーク
解字 甲骨文第1字は、つぼ形のうつわ(皿)の横に虎を描いた象形で、つぼの中に2点があり何かが入っていることを示している。第2字は、虎の略体が上にきて下部が鼎(かなえ)状の脚がある器の象形。虎の絵がはいったつぼ形または鼎形のうつわを表す。
金文を解くには盧姓のシンボルマークが参考になる。このマークはつぼ(皿)と虎が描かれているのは甲骨文と同じだが、つぼの中に描かれているのは胃イである。胃は「田(胃袋のなかの食べた物)+月(からだ)」からなる字で、胃袋を表す字[音符「胃イ」を参照]。したがって金文の盧は、食べ物をいれたつぼと考えられる。では虎は何を表しているのだろうか。盧が姓のマークであることから、虎は盧姓(盧の一族)を守護する動物、すなわちトーテム(崇拝対象)であると思われる。
金文の字形は上から、「虎の略+胃の田の部分+月(胃の月の部分)+皿(つぼ)」となり、シンボルマークと同じ内容を表している。篆文は、胃袋の部分がザルのような形になり、現代字で田に変化し、「虍+田+皿」の盧となった。意味は、姓に用いられる他、食べ物をいれるつぼから「めしびつ」となる。盧を音符に含む字は、「つぼ型のうつわ」「まるい」イメージを持つ。
意味 (1)姓のひとつ。「盧生ロセイの夢」(盧生という青年が立身出世して富貴を極めたが夢だったという故事。はかないことのたとえ)(2)つぼ。めしびつ。「壺盧コロ」(まるいつぼ)(3)すびつ(=炉)。火入れ。(4)くろい。くろいもの。(5)梵語の音訳。「盧遮那仏ルシャナブツ」(大日如来のこと)
イメージ
「つぼ型のうつわ」(盧・炉・蘆・廬)
「まるい」(艫・轤・驢)
「形声字」(膚・慮・虜・濾)
「その他」(櫨)
音の変化 ロ:盧・炉・蘆・廬・艫・轤・驢・濾・櫨 リョ:慮・虜 フ:膚
つぼ型のうつわ
炉[爐] ロ・いろり 火部
解字 旧字は爐で「火(ひ)+盧(つぼ型のうつわ)」の会意形声。火をいれておく壷形のうつわ。火鉢。新字体は、旧字の盧 ⇒ 戸に置き換えた。
意味 (1)ろ(炉)。いろり(炉)。ひばち(火鉢)。「炉端・炉辺ロばた」「暖炉ダンロ」 (2)火を入れて燃やしておくもの。「香炉コウロ」「熔鉱炉ヨウコウロ」
蘆[芦] ロ・あし 艸部
解字 「艸(くさ)+盧(つぼ型のうつわ⇒まるく中空)」の会意形声。茎がまるく、節のところまで中空である草の意で、あしをいう。盧 ⇒ 戸に置き換えた芦が俗字として使われている。
意味 あし(蘆)。よし。イネ科の多年草で水辺に自生する。葦イ・葭カとも書く。「蘆汀ロテイ」(蘆の生えているみぎわ)「蘆管ロカン」(①アシの茎。②指にはめる管状のもの。一弦琴で用いる)「蘆笛ロテキ・あしぶえ」(芦の葉を巻いて作った笛)
廬 ロ・リョ・ル・いおり 广部
解字 「广(やね)+盧(=蘆・芦。あし)」の会意形声。芦などの草で葺いた屋根。
意味 (1)いおり(廬)。草や木で造った粗末な家。仮の小屋。「草廬ソウロ」(草ぶきのいおり。草庵)「廬舎ロシャ」(仮小屋) 「穹廬キュウロ」(遊牧民のパオ) (2)地名。「廬山ロザン」(江西省の北部にある山)
まるい
艫 ロ・とも 舟部
解字 「舟(ふね)+盧(まるい)」の会意形声。舟尾のまるくなっている部分。
意味 とも(艫)。船尾。対義語は「舳ジク・へ」(船首)「舳艫ジクロ」(船の舳先へさきと艫とも)
轤 ロ 車部
解字 「車(回転する)+盧(まるい)」の会意形声。回転するまるいもの。
意味 「轆轤ロクロ」に使われる字。轆轤とは回転運動をする器械で、木地細工で丸い挽き物を作る工具や、陶器を形作る回転台をいう。※轆ロクは、「車+鹿(ロク)」の形声で、車が走るときのごろごろという音の擬声語。
驢[馿] ロ・リョ・うさぎうま 馬部
石臼を曳く驢馬(中国)
解字 「馬(うま)+盧(=轤。回転運動をする器械)」の会意形声。盧ロは轤ロ(回転運動をする器械)に通じ、回転運動をする石臼を曳く馬でロバをいう。これはネットで見つけた写真からイメージした私見。
意味 うさぎうま(驢)。ろば(驢馬)。ウマ科の動物。馬に似るが馬より小さく忍耐力にとむ。耳が長いことから、「うさぎうま」と言われた。「驢背ロハイ」(ロバの背)「驢鳴犬吠ロメイケンバイ」(ロバの鳴き声と犬のほえる声。聞くにたえないこと)「海驢あしか」
形声字
膚 フ・はだ 月部にく
解字 「月(からだ)+盧の略体(フ)」の形声。フは、尃フ(しく)・敷フ(しく)に通じ、身体の表面に布を敷いたような皮膚をいう。
意味 (1)はだ(膚)。「皮膚ヒフ」「完膚カンプ」(きずのない皮膚) (2)うわべ。物の表面。「膚浅フセン」(あさはかなこと)
臚 ロ 月部にく
解字 「月(にく)+盧(ロ)」の形声。字の構造は膚フと同じだが、ロの発音では仮借カシャ(当て字)の用法で、さまざまな意味がある。
意味 (1)つらなる。ならべる。「臚列ロレツ」(つらなりならぶ) (2)つたえる。伝達する。「臚伝ロデン」(上の人の言葉を下の者へ伝える)「臚句ロコウ」(通訳の官) (3)「鴻臚コウロ」とは、鴻コウ(おおとり。渡り鳥の意から大物の旅人。臚ロ(臚句ロコウから通訳)で、外国の賓客の応接にあたる官のこと。「鴻臚寺コウロジ」(中国で北斉以降、外国来賓の接待にあたる役所)「鴻臚館コウロカン」(古代に筑紫・難波・平安京に設けた外国使節を応対する宿舎)
慮 リョ・ロ・おもんばかる 心部
解字 「心+盧の略体(リョ)」の形声。リョは呂リョ(つらなる)に通じ、次々と関連することを心に思うこと。
意味 おもんばかる(慮る)。思いめぐらす。「考慮コウリョ」「配慮ハイリョ」「不慮フリョ」
覚え方 とら(虍)をおも(思)う配慮ハイリョ
濾 ロ・リョ・こす 氵部
解字 「氵(みず)+慮(ロ・リョ)」の形声。ロ・リョは漉ロク・リョ(こす)に通じ、液体を布などの細かい目をくぐらせて通過させ、混じり物をのぞくこと。
意味 こす(濾す)。「漉す」とも書く。液体の中の混ざりものを除き去る。「濾過ロカ」(こすこと)「濾紙ロシ」(濾過紙。こしがみ)
虜 リョ・とりこ 虍部
解字 「力(ちから)+盧の略体(リョ)」の形声。リョは呂リョ(つらなる)に通じ、力ずくで捕らえて数珠つなぎにした捕虜(とりこ)をいう。部首は解字から言うと「力」であるが、字を虍と男に分け「虍」を部首としている。
意味 (1)とりこ(虜)。いけどる。「捕虜ホリョ」「俘虜フリョ」「虜囚リョシュウ」 (2)しもべ。めしつかい。どれい。③えびす。蛮族。「胡虜コリョ」(北方のえびす。転じて、異民族)
覚え方 とら(虍)につかまったおとこ(男)は、虜(とりこ)
櫨[枦] ロ・はぜ 木部
ハゼの実。外側の黒っぽい果皮がはぜて内側の白い果皮がのこる。
(YouTube 「ナンキンハゼからろうそくを作る」より)
解字 「木(き)+盧(ロ)」の形声。ロという名の木。黄櫨コウロをいう。ウルシ科の落葉小高木。5、6月ごろ黄緑色の花が咲き、果実から木蝋をとる。日本では「はぜ」と言う。黒っぽい外側の果皮がはぜる(裂ける)からか。盧⇒戸にした枦ロは略字。
意味 (1)はぜ(櫨)。ウルシ科の落葉高木。秋に紅葉する。実から木蝋をとり、樹皮は染料となる。「黄櫨コウロ・はぜ」とも書く。 (2)地名。姓。「櫨谷はぜたに」(①神戸市の地名。②はせや(姓)「櫨山はぜやま」(姓)「枦山はぜやま・はしやま(姓)
<紫色は常用漢字>
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