漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「襄ジョウ」<豊かな耕作地> と「壌ジョウ」「嬢ジョウ」「譲ジョウ」「醸ジョウ」

2021年07月25日 | 漢字の音符
  襄ジョウの秦系文字を見つけました。
「漢字研究ブログ」という匿名のサイトから2018年に「襄ジョウ」の内容についてご批判をいただいた。内容の主な点は、①甲骨文字の解字がおかしい。②金文から篆文への変化につながりがないのは過去の研究成果を無視している。③篆文の解字もおかしい。という3点である。このサイトを拝見すると、古文字の研究者の方と思われ、専門家の方からご指摘をいただき大変感謝している。私はとりあえずご指摘に対し感謝するとともに、私の金文知識が未熟なので参考文献を教えていただきたいとお願いしたところ、多くの参考文献を教えていただいた。
 それから3年経つが、まだ内容を更新できていない。その理由の一つは、ご教示いただいた金文から篆文への移行過程の字形が、自分ではっきり納得できるものでなかったためである。その間、「襄」の字形はいつも気にかけて調べてはいたが、最近のネットに今まで見たことのない「秦系簡牘」とされる字形がアップされていることが分った。形を見ると明らかに篆文(説文解字)の前の段階の字形である。この字形を使えば金文から篆文への流れがうまく説明できるのではと思い、今回、3年ぶりに書き直すことにした。批評いただいた「漢字研究ブログ」に感謝いたします。

上の2点がその字形である。(https://www.zdic.net/zd/zx/qx/襄)出典は睡.日甲28、睡.35、とあることから、睡虎地秦墓竹簡[秦の官吏を務めていた喜という人物の墓から発見された竹簡]である。今回、この字形を加えて変遷図を作成した。

 ジョウ・ショウ  衣部

 甲骨文は皿の略体を上にのせた人の形。意味は地名で、そこは田猟地(狩猟地)だという[甲骨文字辞典]。皿は、おそらく窪んだ地形を意味し、これに人がついて窪地にすむ人の意であろう。窪地に集まる動物を狩猟した地だと思われる。「漢字研究ブログ」で、この説を批判されたが現状では撤回するつもりはない。というのは批判されただけで、対案を示していただいていないからだ。皿人については盆地という言葉が適切だと考える。盆というのは発音が分ブン⇒ボンに変化した皿状の器物であり、盆地というのは盆のような地形という意味だ。私は皿人は盆地にすむ人々と考えたい。
 金文は、この盆地(皿人)にいろいろな要素が加わる。金文第1字は皿人の左に土がつき、右に攴ボクがつく。攴は手に道具をもち打つ意だから、この土地が道具で耕され始めたのである。金文第2字は、上下に分離した衣のなかに、左から土、皿人(皿上の左右がふくらむ)、屮(草の芽生え)、そして皿の上に小さな〇(意味不明)がつく。[説文解字]は後の篆文で衣の意味について「漢の令に、衣を解きて耕す。これを襄という」とする。まず大事なのは[説文解字]が襄の字形を「耕す」と認めていることだ。つまり、襄は耕作する大地なのである。しかし衣は、着ている衣を脱いでこの大地を耕す意味なのだろうか。この点について誰も触れることがないが、「衣は袋を意味する」と私は考える。つまり、豊穣の大地で実った穀物を入れる袋と解釈したい。なお、金文の意味は仮借カシャ(当て字)で、①人名、②輔助(たすける)となっている。
 次の「秦系簡牘」で、金文の字形が引き継がれていることが判明した。つまり、衣に挟まれた字形は、皿の左右に描かれた膨らみが口口となって独立し、皿人の人は左の口の下に付き、土はその下にある。金文第2字の屮は又(手)2つに変化した。つまり、金文第2字の意味不明の〇が消えて屮は又(手)2つに変っただけで、基本的な要素は引き継がれているのである。
 篆文(説文解字)に至り、人の字形が逆S字状になり土が工に変化して逆Sに入り込み、又(手)2つが×2つになって残っている。つまり、金文の字形が多少の変化を伴いながら篆文に引き継がれていたのである。この字形を許慎が「衣を解きて耕す。これを襄という」と言ったのは、ある意味で慧眼といえよう。なぜなら彼は金文を知らなかったからである。
 篆文を引き継いだ後世の人々は、この不思議な字形が分らなかったに違いない。そして衣の中を「口口+𠀎」に変えてしまった。こうして出来上がった襄は、衣に覆われたジョウという発音の奇妙な字になってしまった。だから現在の襄は、その成り立ちを示すことなく、ジョウ・ショウという発音から上ジョウ(うえ)・丞ジョウ(たすける)・乗ジョウ(のる)・成ジョウ(なる)・陞ショウ(のぼる)などの類似音の影響を受けた意味が成立したと思われる。新字体で用いられるとき襄の口口がハに変化した㐮になる。
意味 (1)のぼる(襄る)。「襄陵ジョウリョウ」(丘にのぼる) (2)あがる(襄る)。あげる(襄る)。「交竜、首を襄(あげ)る」 (3)たかい。「襄岸ジョウガン」 (4)なす(襄す)。「襄事ジョウジ」 (5)たすける(襄ける)。「襄助ジョウジョ」 (6)はらう(襄う)。=攘。 (7)地名。「襄陽ジョウヨウ」(湖北省北部の県名) (8)人名「襄公ジョウコウ」(春秋時代の宋の君主)

イメージ  
 仮借カシャ(当て字)「あがる・のぼる」(襄・驤)
 金文の字形から「ゆたかな耕作地」(壌・穣・嬢)
 作物の実りを願い災厄を「はらう」(禳・攘・譲)
 収穫して「袋にいれた穀物」(醸・嚢・瓤・曩
 
音の変化  ジョウ:襄・驤・壌・穣・嬢・醸・禳・攘・譲・  ノウ:

仮借カシャ・あがる
 ジョウ・あがる  馬部
解字 「馬(うま)+襄(あがる)」の会意形声。馬が首をあげること。転じて、あがる・のぼる意ともなる。
意味 (1)あがる(驤がる)。馬が首をあげる。「驤首ジョウシュ」(馬が首をあげ、疾走の姿勢をしめす) (2)のぼる。あがる。おどりあがる。「騰驤トウジョウ」(とびあがる。騰も驤も、あがる意)「竜驤虎視リュウジョウコシ」(竜が天にのぼり虎がにらみ視る意。威勢が盛んで天下を睥睨(へいげい)するさま)

ゆたかな耕作地
 ジョウ・つち  土部
解字 旧字は壤で 「土(つち)+襄(豊かな耕作地)」の会意形声。金文は豊かな耕作地を意味し、この意味を土をつけて強調した字。新字体は壌に変化。
意味 (1)つち(壌)。耕作に適した土地。「土壌ドジョウ」(作物を育てる土地)「沃壌ヨクジョウ」(肥沃な土地)(2)大地。国土。「壌土ジョウド」(①土地。②領土)=壌地。
 ジョウ・みのる   禾部
解字 旧字は穰で、「禾(こくもつ)+襄(豊かな耕作地)」の会意形声。豊かな耕作地に実った穀物。新字体は穣に変化。
意味 みのる(穣る)。ゆたか。ゆたかにみのる。「豊穣ホウジョウ」「穣穣ジョウジョウ」(穀物が豊かに実るさま)
 ジョウ・むすめ  女部
解字 旧字は孃で 「女(おんな)+襄(豊かな耕作地)」 の会意形声。母なる大地の意。豊穣の女神であり、転じて母親の意。のち娘にも使われるようになった。新字体は嬢に変化。
意味 (1)母親。「嬢嬢ジョウジョウ」(母親) (2)むすめ(嬢)。=娘。おとめ。(上方で)いとはん(嬢はん)。未婚の女性。「令嬢レイジョウ」「愛嬢アイジョウ」 

はらう
 ジョウ  示部
解字 「示(神)+襄(はらう)」の会意形声。神に災厄などを、はらい除くよう祈ること。
意味 はらう(禳う)。おはらい。神に祈り災厄をはらう。「禳祷ジョウトウ」(祈ってはらう)「禳疫ジョウエキ」(疫病をおはらいする)
 ジョウ・はらう  扌部
解字 「扌(手)+襄(はらう)」の会意形声。手ではらうこと。
意味 はらう(攘う)。追い払う。しりぞける。「攘夷ジョウイ」(異民族を追い払う)「攘災ジョウサイ」(災いをはらいのぞく)「攘斥ジョウセキ」(はらいしりぞける)
 ジョウ・ゆずる  言部
解字 旧字は讓で 「言(ことば)+襄(はらう)」の会意形声。言葉ではらいよけるが原義。言葉を出して相手にゆずったり、言葉でへりくだって身にふりかかる災いをさけること。新字体は譲に変化。
意味 (1)ゆずる(譲る)「譲歩ジョウホ」(道の歩みを譲って先に行かせる)「譲位ジョウイ」(位を譲る) (2)へりくだる。「謙譲ケンジョウ」(相手をたてる)

袋にいれた穀物
 ジョウ・かもす  酉部
解字 旧字は釀で、「酉(さけつぼ)+襄(袋にいれた穀物)」 の会意形声。酒つぼの中に穀物を入れ酵母をまぜこんで、発酵させること。新字体は醸に変化。
意味 かもす(醸す)。発酵させる。「醸造ジョウゾウ」「醸成ジョウセイ」(発酵してゆくこと)「吟醸ギンジョウ」(吟味した原料で念入りに醸造する)
 ジョウ  瓜部
解字 「瓜(うり)+襄(種をいれる袋)」の会意形声。ここで襄は種をいれる袋の意。瓜の種を包んでいるふくろの部分。転じて、ミカンの房のふくろもいう。
意味 (1)うりわた。瓜の実の中の種子を包んでいる部分。(2)みかんの内の房の袋。「瓤嚢ジョウノウ」(柑橘類の果実の中の房の袋)「砂サジョウ」(瓤嚢(じょうのう)の中に詰まっている、果汁を含んだ小さな果肉の粒のこと)
嚢[囊] ノウ・ドウ・ふくろ  口部


  上段は嚢、下段は橐タク
解字 篆文は「タクの略体(ふくろ)+の略体(穀物をいれるふくろ)」の会意。タクの甲骨文字は、袋の上下を結んだ形。篆文で、この字の発音をしめす石タク(石セキに拓タクの発音がある)を囗で囲んで付け加えた。は、篆文での石の替わりにの「口口逆S工爻」を詰め込んだ形になったが、旧字では、の上部にの下部を合わせた形になり、穀物など中にいろんなものを入れ込むふくろの意。現代字は新字体に準じたが使われる。
意味 ふくろ()。「ノウチュウ」(①ふくろの中。②財布)「知チノウ」(知恵のありったけ。知恵ぶくろ)「氷ヒョウノウ」(氷を入れて患部を冷やすふくろ)「背ハイノウ」(背負いカバン)「土ドノウ」(土を入れたふくろ)
 ノウ・ドウ・さき・さきに  日部
解字 「日(ひ)+襄(ノウ)」の形声。ノウは嚢ノウ・ドウ(ふくろ)に通じ、太陽がふくろに入っている状態で見えないこと。すなわち日の出の前の意で、さきに(以前に)の意味となる。比較的近いとき、遠いときのいずれにも用いる。
意味 (1)さき()。さきに(に)。以前に。「ノウジツ」(昔。以前)「さきに」「ノウジ」(さきごろ)「ノウソ」(先祖。祖先)
<紫色は常用漢字>

参考音符 音符「タク」へ

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参考までに、これまでの説明(2018.2.28)を残しておきます。


 音符「襄ジョウ」 <豊かな耕作地>

 私はこれまで襄の金文の字形を解釈できず、篆文だけで解字していたが、このたび仮説ではあるが字形解釈ができたので、甲骨文から金文・篆文を含む字形の流れをたどってみたい。

襄[㐮]ジョウ  衣部

甲骨文は窪地、金文は豊かな耕地
 甲骨文は皿の略体を上にのせた人の形。意味は地名で、そこは田猟地(狩猟地)だという[甲骨文字辞典]。皿は、おそらく窪んだ地形を意味し、これに人がついて窪地にすむ人の意であろう。窪地に集まる動物を狩猟した地だと思われる。金文第1字になると、この田猟地は姿を変える。皿人の左に土がつき、右に攴ボクがつく。攴は手に道具をもち打つ意だから、ここの土地が道具で耕され始めたのである。金文第2字は、上下に分離した衣のなかに、左から土、皿人(皿上の左右がふくらむ)、又(手)、そして皿の上に小さな〇(意味不明)がつく。衣は袋で、この耕作地にまく種をいれる袋を示したものであろう。この地は土壌の肥えた豊穣の地なのである。しかし、金文の意味は仮借カシャ(当て字)で、①人名、②輔助(たすける)となっている。
篆文は呪いで祓う
 篆文は全く様相がことなる。金文との共通項は衣だけ。衣の中は上から、口二つ・逆S字の中に工印(呪具)、その右に爻(まじわる)がある。S印は寿の甲骨文では田のあぜ道を意味した。これらを総合すると、田のあぜ道で呪具の工をもち、口々に呪文をとなえ、まじわらせ(爻)、何かを祓う意であろう。旧字は衣の中が、「口口+𠀎」となったとなり、新字体で用いられるときの口口が八に変化したになる。 しかし意味は、発音の上ジョウに通じて、あがる・のぼる。金文から引き継ぐ、たすける。それに、地名・人名である。金文の「豊かな耕地」、篆文の「はらう」、それに衣が意味する「袋」はイメージで出てくる。
意味 (1)あがる。のぼる。「襄陵ジョウリョウ」(丘陵にのぼる)「襄岸ジョウガン」(高い岸) (2)たすける。「襄賛ジョウサン」(賛助) (3)地名。人名。「襄陽ジョウヨウ」(湖北省の地名。要害の地)「襄公ジョウコウ」(春秋時代の王) (4)はらう(=攘)。除く。

イメージ  
 「仮借カシャ・あがる」
(襄・驤)
 金文の字形から「ゆたかな耕作地」(壌・穣・嬢・醸)
 篆文の字形から「はらう」(禳・攘・譲)
 豊かな耕作地を包む衣から「種をいれるふくろ」嚢・瓤
音の変化  ジョウ:襄・驤・壌・穣・嬢・醸・禳・攘・譲・  ノウ:

仮借カシャ・あがる
 ジョウ・あがる  馬部
解字 「馬(うま)+襄(あがる)」の会意形声。馬が首をあげること。転じて、あがる・のぼる意ともなる。
意味 (1)あがる(驤がる)。馬が首をあげる。「驤首ジョウシュ」(馬が首をあげ、疾走の姿勢をしめす) (2)のぼる。あがる。おどりあがる。「騰驤トウジョウ」(とびあがる。騰も驤も、あがる意)「竜驤虎視リュウジョウコシ」(竜が天にのぼり虎がにらみ視る意。威勢が盛んで天下を睥睨(へいげい)するさま)

ゆたかな耕作地
 ジョウ・つち  土部
解字 旧字は壤で 「土(つち)+襄(豊かな耕作地)」の会意形声。金文は豊かな耕作地を意味し、この意味を土をつけて強調した字。新字体は壌に変化。
意味 (1)つち(壌)。耕作に適した土地。「土壌ドジョウ」(作物を育てる土地)「沃壌ヨクジョウ」(肥沃な土地)(2)大地。国土。「壌土ジョウド」(①土地。②領土)=壌地。
 ジョウ・みのる   禾部
解字 旧字は穰で、「禾(こくもつ)+襄(豊かな耕作地)」の会意形声。豊かな耕作地に実った穀物。新字体は穣に変化。
意味 みのる(穣る)。ゆたか。ゆたかにみのる。「豊穣ホウジョウ」「穣穣ジョウジョウ」(穀物が豊かに実るさま)
 ジョウ・むすめ  女部
解字 旧字は孃で 「女(おんな)+襄(=穣。ゆたかな)」 の会意形声。心も体もゆたかな女性。本来は母親を指したが、のち娘にも使われるようになった。新字体は嬢に変化。
意味 (1)むすめ(嬢)。おとめ。(上方で)いとはん(嬢はん)。未婚の女性。「令嬢レイジョウ」「愛嬢アイジョウ」 (2)母親。「嬢嬢ジョウジョウ」(母親)
 ジョウ・かもす  酉部
解字 旧字は釀で、「酉(さけつぼ)+襄(=穣。ゆたかにみのる)」 の会意形声。酒つぼの中に酵母をまぜこんで、発酵(豊かにみのる)させること。新字体は醸に変化。
意味 かもす(醸す)。発酵させる。「醸造ジョウゾウ」「醸成ジョウセイ」(発酵してゆくこと)「吟醸ギンジョウ」(吟味した原料で念入りに醸造する)

はらう
 ジョウ  示部
解字 「示(神)+襄(はらう)」の会意形声。神に災厄などを、はらい除くよう祈ること。
意味 はらう(禳う)。おはらい。神に祈り災厄をはらう。「禳祷ジョウトウ」(祈ってはらう)「禳疫ジョウエキ」(疫病をおはらいする)
 ジョウ・はらう  扌部
解字 「扌(手)+襄(はらう)」の会意形声。手ではらうこと。
意味 はらう(攘う)。追い払う。しりぞける。「攘夷ジョウイ」(異民族を追い払う)「攘災ジョウサイ」(災いをはらいのぞく)「攘斥ジョウセキ」(はらいしりぞける)
 ジョウ・ゆずる  言部
解字 旧字は讓で 「言(ことば)+襄(はらう)」の会意形声。言葉ではらいよけるが原義。言葉を出して相手にゆずったり、言葉でへりくだって身にふりかかる災いをさけること。
意味 (1)ゆずる(譲る)「譲歩ジョウホ」(道の歩みを譲って先に行かせる)「譲位ジョウイ」(位を譲る) (2)へりくだる。「謙譲ケンジョウ」(相手をたてる)

種をいれるふくろ
 ジョウ  瓜部
解字 「瓜(うり)+襄(種をいれる袋)」の会意形声。瓜の種を包んでいるふくろの部分。転じて、ミカンの房のふくろもいう。
意味 (1)うりわた。瓜の実の中の種子を包んでいる部分。(2)みかんの内の房の袋。「瓤嚢ジョウノウ」(柑橘類の果実の中の房の袋)「砂サジョウ」(瓤嚢(じょうのう)の中に詰まっている、果汁を含んだ小さな果肉の粒のこと)
嚢[囊] ノウ・ドウ・ふくろ  口部


  上段は嚢、下段は橐タク
解字 篆文は、「タクの略体(ふくろ)+の略体(種をいれるふくろ)」の会意。タクの甲骨文字は、袋の上下を結んだ形。篆文で、この字の発音をしめす石タク(石セキに拓タクの発音がある)を囗で囲んで付け加えた。は、篆文での石の替わりにの「口口逆S工爻」を詰め込んだ形になったが、旧字では、の上部にの下部を合わせた形になり、種など中にいろんなものを入れ込むふくろの意。現代字は新字体に準じたが使われる。
意味 ふくろ()。「ノウチュウ」(①ふくろの中。②財布)「知チノウ」(知恵のありったけ。知恵ぶくろ)「氷ヒョウノウ」(氷を入れて患部を冷やすふくろ)「背ハイノウ」(背負いカバン)「土ドノウ」(土を入れたふくろ)
<紫色は常用漢字>

参考音符 音符「タク」へ

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