含ガンを独立させました。
今 コン・キン・いま 人部
解字 甲骨文は 「A印(ふた)+-印(もの)」 の会意で、ふたをかぶせて、あるものを取り押さえた形。金文以下は、取り押さえたものの形が変化し、現代字ではA印の上下が分離し、下部は「フ」に変化した「今」になった。いずれも、ふたをかぶせて押さえた瞬間、すなわち「いま(今)」の意[学研漢和]。なお、「いま」の意は仮借カシャ(当て字)との説もあるが、「今かぶせた」のほうが覚えやすい。今が音符で用いられるとき、かぶせて「ふさぐ」イメージがある。
意味 (1)いま(今)。この時。現在。「今日コンニチ」「今朝けさ」「今晩コンバン」 (2)このたび。「今回コンカイ」「今度コンド」
イメージ
「いま」(今)
ふたをかぶせて物を「ふさぐ」(吟・貪・衿・衾・黔)
「形声文字」(琴・矜)
音の変化 コン:今 キョウ:矜 キン:衿・衾・琴 ギン:吟 ケン:黔 ドン:貪
ふさぐ
吟 ギン・うめく・うたう 口部
会意 「口(くち)+今(ふさぐ)」 の会意形声。口をふさいで低いふくみ声を出すこと。うめく意となる。転じて、ふくみ声で調子をつけてうたうこと。また、口をふさいで中のものを味わう意となる。
意味 (1)うたう(吟う)。低い含み声でくちずさむ。「吟詠ギンエイ」(ふしをつけて詩歌をうたう) (2)うめく(吟く)。「呻吟シンギン」 (3)深く味わう。「吟味ギンミ」「吟醸ギンジョウ」(吟味した原料で醸造する)
貪 ドン・タン・むさぼる 貝部
解字 「貝(財貨)+今(ふさぐ)」 の会意形声。財貨を自分のふところに入れてふさぐこと。財貨をためこむこと。
意味 むさぼる(貪る)。よくばり。「貪欲ドンヨク」(非常に欲深い)「貪婪ドンラン」(欲のたいそう深いこと。貪も婪も、欲深い意)「貪色タンショク」(女色をむさぼる)「貪淫タンイン」(度をすぎて色を好む)
衿 キン・えり 衣部
解字 「衣(ころも)+今(ふさぐ)」 の会意形声。衣を胸元でふさぐ部分をいい、えりを意味する。
意味 えり(衿)。衣服のえり。えりくび。襟キンとも書く。「開衿カイキン」(えりを開く)
衾 キン・ふすま 衣部
解字 「衣(ころも)+今(ふさぐ⇒おおう)」 の会意形声。身体をおおうようにかける大きな衣。衣のかたちをした夜着をいう。また、かけぶとんの意ともなる。衾は上からかぶせるので今が上につく。
意味 ふすま(衾)。寝るときかける夜着。かけぶとん。「衾褥キンジョク」(かけぶとんと、しきぶとん)「同衾ドウキン」(ひとつの夜具の中に共に寝る)「大衾長枕タイキンチョウチン」(大きなかけぶとんと長い枕。これで兄弟が仲良く寝られることから、兄弟の仲がよいこと)
黔 ケン・キン 黑部
解字 「黑(くろい)+今(ふさぐ⇒おおう)」 の会意形声。黒い色がおおう意でくろいこと。
意味 (1)くろい(黔い)。くろむ(黔む)。「黔突ケントツ」(煤けて黒くなった煙突)「黔首ケンシュ」(黒いあたまの意で、冠を付けていない秦の時代の人民をいう) (2)(黔首ケンシュから)人民。「黔黎ケンレイ」(黔も黎も、人民の意) (3)貴州省の略称。「黔州ケンシュウ」「黔驢之技ケンロのギ」(とるに足りない見かけ倒しの技量。ある人が黔州に驢馬(ロバ)を持って行き放したところ、この地の虎は最初、恐れたが、後に驢馬は蹴るしか技がないのを見抜いて食い殺したという故事から)
形声文字
琴 キン・こと 王部
解字 春秋戦国期の古文は「大(手をひろげた人)+縦線から弦が左右に三本出ている形」で、手を広げた人が両手で楽器の弦を操作すること(下に発音を表す「金」が付くが省略した)。篆文は、古文の「縦線+左右三本の弦」⇒王王に変化し、また大⇒人に変化し人の脚が王の下部を巻き込んだ形になった。現代字は「王王(弦を操作する)+今キン」の形声。古文で下についていた金キンの発音を同音の今キンに代えた。絃楽器の「こと」をいう。 琴(弦に柱(じ)が付かない。中国では各種の琴があるので古琴と言うことが多い。中国のネットから)
意味 こと(琴)。中空の胴の上に張った弦を弾いて音を出す楽器。古くは五弦で周代に七弦になった。琴は張った弦に柱(じ)が付かず、左指で弦を押さえ、右指で弦を弾いて音を出す。※箏ソウ・ことは形が琴と似ているが柱(じ)が付く。「琴瑟キンシツ」(琴と大琴。瑟は25弦・50弦などの大きな琴)「琴瑟相い和す」(琴と大琴の音調がよく合う。夫婦・兄弟の仲がよい」「琴書キンショ」(琴と書物。ともに文人の楽しみ」「琴線キンセン」(①琴の絃。②共鳴し感じやすい心情) (2)絃楽器の総称。「提琴テイキン」(バイオリン)「風琴フウキン」(オルガン)「月琴ゲッキン」(胴が満月のように円形の楽器) (3)[国]こと(琴)。筝ソウの通称。
矜 キョウ・キン・ほこる 矛部
解字 「矛(ほこ)+今(キョウ)」 の形声。キョウは、敬キョウ・ケイ(うやまう・つつしむ)に通じ、相手をうやまい、つつしんで矛(ほこ)を持つこと。貴人の護衛兵が自らの職務に誇りをもつこと。また、あわれむ意があるが、[字統]によると中国の斉・魯地方の方言であったという。
意味 (1)ほこる(矜る)。自負する。「矜持キョウジ」(自分の職務や能力に対し持つ誇り。プライド。=矜恃とも書く)「政治家としての矜持に鑑み、閣僚の職を辞する」(甘利明経済再生相の会見[2016.1.28]より)」(2)あわれむ(矜れむ)。「矜育キョウイク」(あわれんで育てる)
含 ガン <ふくむ>
含 ガン・ふくむ・ふくめる 口部
解字 「口(くち)+今(ふさぐ)」の会意形声。口の中に物をいれてふさぐこと。
意味 ふくむ(含む)。ふくめる(含める)。「含有ガンユウ」「含蓄ガンチク」「包含ホウガン」「含味ガンミ」(①口中に含み味わう。②深い意味を味わう)
イメージ 「ふくむ」(含・莟・頷)
音の変化 ガン:含・莟・頷
ふくむ
莟 ガン・カン・つぼみ 艸部
解字 「艸(くさ)+含(ふくむ)」の会意形声。植物がその花蕊カズイ(おしべ・めしべ)を内に含んでおり、まさに花が開こうとするさま。
意味 (1)つぼみ(莟)。「新莟シンガン・シンカン」(新しいつぼみ) (2)はなしべ。花蕊カズイ。 (3)はな。「莟萏カンタン」(ハスの花)
頷 ガン・カン・あご・うなずく 頁部
解字 「頁(かお)+含(ふくむ)」 の会意形声。顔の中のものを含む部分。すなわち、口腔コウクウ(口のなか)を構成するあごをいう。また、承諾するとき、あごを動かすので、うなずく意となる。
意味 (1)あご(頷)。おとがい。したあご。顎ガクとも書く。「竜頷リュウガン・リョウガン」(竜のあご)(2)うなずく(頷く)。うなずいて承諾する。「頷首ガンシュ」(かしらをうなずく。承諾する)
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