巻ケンの金文を見つけました。
巻[卷] カン・ケン・まく・まき 卩部
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解字 上の金文3字は最近、ネット検索していて見つけた字である。(https://www.zdic.net/zd/zx/jw/卷)これまでは、下図の篆文が一番古い字だった。私はあわててスクリーンショットを撮って保存した。この字にはそれぞれ出典が明示されている。まず、それぞれの器の名でネット検索した。しかし器は見つかったが、そこに記されている文字に「卷」の字を見つけることはできなかった。最後の手段は「集成1017」などの文献だが、私はこれらの文献を調べる手段をもっていないので確認できていない。
しかし、これらの文字は非常に魅力的で「卷」の金文にふさわしいと思われる。3字とも、棒状のものを両手でつかんでいる横(or横下)に膝をまげて坐ったひとを描いている。この坐った人は現代字の卩セツに当たる(卩には下部が曲がった形の夗エンの右辺がある)。上の棒状のものを両手で持つ形は、文字を書いてまるめた竹簡や木簡または帛書を両手でもつ形であると思われる。その横(or横下)に描かれた「坐る人」は、旧字の卷の下部になった字である。上の字が「両手で巻物をもつ」、横下の字は夗(夕(からだ)をまるくするの右辺)から推定すると「まるくなる」意味である。そこで「巻ものを巻く」意味を表している(私見)。
下図の篆文は「釆ハン・ベン+両手+身をまるめた人」の形になった。釆ハン・ベンは、けものの足の形で足の爪が分れる意であり、これまで私はけものの足につながる皮をまく形であると、苦しい説明をしていた。旧字は「釆ハン+両手」が龹に変化した卷になったが、察するに、釆の意味がよくわからないために龹にまとめたのではないか(同じような例に「襄ジョウ」がある)。新字体は卷⇒巻に変化する。
意味 (1)まく(巻く)。とりまく。「巻雲ケンウン」「巻紙まきがみ」 (2)まき(巻)。まきもの。書物。「巻頭カントウ」「万巻マンガン」
イメージ
「まく・まるめる」(巻・捲・倦・圏・券・拳・蜷)
「まわす」(眷)
音の変化 カン:巻 ケン:捲・倦・圏・券・拳・蜷・眷
まく・まるめる
捲 ケン・まく・まくる・めくる 扌部
解字 「扌(手)+卷(まく)」の会意形声。卷は、まく意だが、さらに手をつけてまく動作(まくる・めくる)を表す。
意味 まく(捲く)。まくる(捲る)。めくる(捲る)。「捲土重来ケンドチョウライ・ジュウライ」(土ぼこりを巻き上げて再び来る。一度敗れた者が再び盛り返してくる)「捲握ケンアク」(まきこみにぎる。しっかりとにぎる) (2)いさむ。意気込む。「捲勇ケンユウ」(気勢が強く勇ましい)
倦 ケン・うむ イ部
解字 「イ(ひと)+卷(まるめる)」の会意形声。人が疲れて身体をまるめること。長く物事を続けてあきたり、疲れることをいう。
意味 (1)うむ(倦む)。あきる(倦きる)。あぐむ。「倦厭ケンエン」(あきていやになる) (2)つかれる。「倦怠感ケンタイカン」(疲れてだるい感じ)
圏 ケン 囗部
解字 「囗(かこい)+巻(まく)」の会意形声。一定の範囲をとりまくこと。新字体のため巻になる。
意味 (1)限られた区域。範囲。「圏内ケンナイ」「大気圏タイキケン」「文化圏ブンカケン」 (2)まる。まるじるし。「圏点ケンテン」(文字の傍らにつける小さい。. 、などのしるし)
券 ケン・てがた 刀部
解字 「刀(かたな)+巻の略体(まるめる)」の会意形声。巻の上部は巻物を表す。これに同じ約束ごとを左右に書き中央に押印し、刀で二つに分けて割符としたもの。甲乙が片方ずつ保存し、両方を照らし合わせて証拠とする。巻いて保存する割符を券といった。現在は平らな紙になっている。
意味 てがた。わりふ。証書。切符の類。「株券かぶケン」「金券キンケン」「食券ショッケン」
拳 ケン・こぶし 手部
解字 「手(て)+巻の略体(まるめる)」の会意形声。まるめた手。手をまるく握りしめること。
意味 (1)こぶし(拳)。「鉄拳テッケン」(鉄のように固いこぶし)「拳骨ゲンコツ」(きつく握りしめたこぶし。拳固殴ち(げんこうち)が訛った語。拳骨は当て字。<語源由来辞典より>)「握り拳にぎりこぶし」「拳銃ケンジュウ」(片手でにぎって使う小型の銃)「拳握ケンアク」(拳で握る。わずかな物事のたとえ) (2)こぶしをにぎる。「拳拳ケンケン」(①かたく握って捧げ持つ。②つつしむ。ねんごろ。勤める。) (3)こぶしを使った武術。「拳闘ケントウ」(ボクシング)「拳法ケンポウ」(格闘武術。太極拳)
蜷 ケン・にな 虫部
解字 「虫(かい)+卷(まく)」の会意形声。巻き貝をいう。
意味 (1)にな(蜷)。細長い巻貝の総称。カワニナ・ウミニナなどをいう。 (2)虫が体をまげて行くさま。かがまる。まげる。「蜷局ケンキョク」(まがった局面。順調でないさま) (3)姓。「蜷川にながわ」「蜷木になき」
まわす
眷 ケン・かえりみる 目部
解字 「目(め)+卷の略体(まわす)」の会意形声。身体を後ろへまわして見ること。振り返って見る意で、特に思いをよせる・目をかける意となる。また、目をかけている家族・親族をいう。
意味 (1)かえりみる(眷みる)。振り返って見る。「眷想ケンソウ」(かえりみて想う) (2)目をかける。思いをよせる。「眷顧ケンコ」(特別に目をかける。ひいきにする)「眷恋ケンレン」(恋い慕う) (3)みうち。なかま。「眷属ケンゾク=眷族」(①血のつながりがある者。②目をかけている者)
<紫色は常用漢字>
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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
巻[卷] カン・ケン・まく・まき 卩部
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解字 上の金文3字は最近、ネット検索していて見つけた字である。(https://www.zdic.net/zd/zx/jw/卷)これまでは、下図の篆文が一番古い字だった。私はあわててスクリーンショットを撮って保存した。この字にはそれぞれ出典が明示されている。まず、それぞれの器の名でネット検索した。しかし器は見つかったが、そこに記されている文字に「卷」の字を見つけることはできなかった。最後の手段は「集成1017」などの文献だが、私はこれらの文献を調べる手段をもっていないので確認できていない。
しかし、これらの文字は非常に魅力的で「卷」の金文にふさわしいと思われる。3字とも、棒状のものを両手でつかんでいる横(or横下)に膝をまげて坐ったひとを描いている。この坐った人は現代字の卩セツに当たる(卩には下部が曲がった形の夗エンの右辺がある)。上の棒状のものを両手で持つ形は、文字を書いてまるめた竹簡や木簡または帛書を両手でもつ形であると思われる。その横(or横下)に描かれた「坐る人」は、旧字の卷の下部になった字である。上の字が「両手で巻物をもつ」、横下の字は夗(夕(からだ)をまるくするの右辺)から推定すると「まるくなる」意味である。そこで「巻ものを巻く」意味を表している(私見)。
下図の篆文は「釆ハン・ベン+両手+身をまるめた人」の形になった。釆ハン・ベンは、けものの足の形で足の爪が分れる意であり、これまで私はけものの足につながる皮をまく形であると、苦しい説明をしていた。旧字は「釆ハン+両手」が龹に変化した卷になったが、察するに、釆の意味がよくわからないために龹にまとめたのではないか(同じような例に「襄ジョウ」がある)。新字体は卷⇒巻に変化する。
意味 (1)まく(巻く)。とりまく。「巻雲ケンウン」「巻紙まきがみ」 (2)まき(巻)。まきもの。書物。「巻頭カントウ」「万巻マンガン」
イメージ
「まく・まるめる」(巻・捲・倦・圏・券・拳・蜷)
「まわす」(眷)
音の変化 カン:巻 ケン:捲・倦・圏・券・拳・蜷・眷
まく・まるめる
捲 ケン・まく・まくる・めくる 扌部
解字 「扌(手)+卷(まく)」の会意形声。卷は、まく意だが、さらに手をつけてまく動作(まくる・めくる)を表す。
意味 まく(捲く)。まくる(捲る)。めくる(捲る)。「捲土重来ケンドチョウライ・ジュウライ」(土ぼこりを巻き上げて再び来る。一度敗れた者が再び盛り返してくる)「捲握ケンアク」(まきこみにぎる。しっかりとにぎる) (2)いさむ。意気込む。「捲勇ケンユウ」(気勢が強く勇ましい)
倦 ケン・うむ イ部
解字 「イ(ひと)+卷(まるめる)」の会意形声。人が疲れて身体をまるめること。長く物事を続けてあきたり、疲れることをいう。
意味 (1)うむ(倦む)。あきる(倦きる)。あぐむ。「倦厭ケンエン」(あきていやになる) (2)つかれる。「倦怠感ケンタイカン」(疲れてだるい感じ)
圏 ケン 囗部
解字 「囗(かこい)+巻(まく)」の会意形声。一定の範囲をとりまくこと。新字体のため巻になる。
意味 (1)限られた区域。範囲。「圏内ケンナイ」「大気圏タイキケン」「文化圏ブンカケン」 (2)まる。まるじるし。「圏点ケンテン」(文字の傍らにつける小さい。. 、などのしるし)
券 ケン・てがた 刀部
解字 「刀(かたな)+巻の略体(まるめる)」の会意形声。巻の上部は巻物を表す。これに同じ約束ごとを左右に書き中央に押印し、刀で二つに分けて割符としたもの。甲乙が片方ずつ保存し、両方を照らし合わせて証拠とする。巻いて保存する割符を券といった。現在は平らな紙になっている。
意味 てがた。わりふ。証書。切符の類。「株券かぶケン」「金券キンケン」「食券ショッケン」
拳 ケン・こぶし 手部
解字 「手(て)+巻の略体(まるめる)」の会意形声。まるめた手。手をまるく握りしめること。
意味 (1)こぶし(拳)。「鉄拳テッケン」(鉄のように固いこぶし)「拳骨ゲンコツ」(きつく握りしめたこぶし。拳固殴ち(げんこうち)が訛った語。拳骨は当て字。<語源由来辞典より>)「握り拳にぎりこぶし」「拳銃ケンジュウ」(片手でにぎって使う小型の銃)「拳握ケンアク」(拳で握る。わずかな物事のたとえ) (2)こぶしをにぎる。「拳拳ケンケン」(①かたく握って捧げ持つ。②つつしむ。ねんごろ。勤める。) (3)こぶしを使った武術。「拳闘ケントウ」(ボクシング)「拳法ケンポウ」(格闘武術。太極拳)
蜷 ケン・にな 虫部
解字 「虫(かい)+卷(まく)」の会意形声。巻き貝をいう。
意味 (1)にな(蜷)。細長い巻貝の総称。カワニナ・ウミニナなどをいう。 (2)虫が体をまげて行くさま。かがまる。まげる。「蜷局ケンキョク」(まがった局面。順調でないさま) (3)姓。「蜷川にながわ」「蜷木になき」
まわす
眷 ケン・かえりみる 目部
解字 「目(め)+卷の略体(まわす)」の会意形声。身体を後ろへまわして見ること。振り返って見る意で、特に思いをよせる・目をかける意となる。また、目をかけている家族・親族をいう。
意味 (1)かえりみる(眷みる)。振り返って見る。「眷想ケンソウ」(かえりみて想う) (2)目をかける。思いをよせる。「眷顧ケンコ」(特別に目をかける。ひいきにする)「眷恋ケンレン」(恋い慕う) (3)みうち。なかま。「眷属ケンゾク=眷族」(①血のつながりがある者。②目をかけている者)
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