鋪ホ・脯ホ を追加しました。
甫 ホ・フ 用部
解字 甲骨文は、田(耕作地)に苗や苗木が植えられている形で圃ホ(はたけ)の原字。金文に至ってこの字は別字となった。上部は発音の一つであるフを表すため父フになり、下部は田と似た形の用に変化した。篆文までこの字形が続いたが、隷書(漢代の役人などが主に使用した書体)になり上部がまた変化し、最終的に甫の字形になった。意味は、甲骨文の田に苗や苗木を植えた形から「はじめ」、田(耕作地)が「ひろい」、金文から発音を表すため追加された父フに影響されて男子の美称に用いられる。
なお、この字は発音の一つ「フ」が付フ(つく)に通じ、「びったりとつく・つける」イメージで多用される。しかし、日本語の発音はホ(漢音)が使われる(フは呉音)。
意味 (1)はじめ。 (2)ひろい。「甫田ホデン」(ひろい田畑) (3)男子の美称。元服したとき字(あざな)にそえる語。また、年長の男性にもつける。「尊甫ソンホ」(あなたのお父さん)「尼甫ジホ」(孔子のこと)
イメージ
「苗や苗木を植えた耕作地」(甫・圃)
「びったりとつく・つける」(補・哺・捕・浦・蒲・匍・葡・輔・舗・鋪・脯)
音の変化 ホ:甫・圃・補・哺・捕・浦・蒲・匍・葡・輔・舗・鋪・脯
苗や苗木を植えた耕作地
圃 ホ・フ・はたけ 囗部
解字 「囗(かこい)+甫(苗や苗木を植えた耕作地)」の会意形声。甫が、男子の美称などの意味に変化したため、もとの意味である「苗や苗木を植えた耕作地」を表すため、囗(かこい)をつけた。
意味 はたけ(圃)。果樹や野菜を栽培する耕地。「田圃デンポ」「農圃ノウホ」
びったりとつく・つける
補 ホ・フ・おぎなう 衤部
解字 「衤(ころも)+甫(つける)」の会意形声。衣の破れ目に布きれをあてて修理すること。欠けたところを補うこと。
意味 (1)おぎなう(補う)。つくろう。「補強ホキョウ」 (2)たすける。「補佐ホサ」「補助ホジョ」 (3)正式の職につく前の身分。「候補コウホ」
哺 ホ・ブ・ふくむ・はぐくむ 口部
解字 「口(くち)+甫(ぴったりとつける)」の会意形声。口をぴたりと当ててものを含むこと。
意味 (1)ふくむ(哺む)。口にふくむ。「哺乳ホニュウ」 (2)はぐくむ(哺む)。やしなう。
捕 ホ・ブ・とらえる・とらわれる・とる・つかまえる・つかまる 扌部
解字 「扌(て)+甫(つける)」の会意形声。手を相手に付けてとらえること。
意味 とる(捕る)。とらえる(捕らえる)。つかまえる(捕まえる)。「逮捕タイホ」「拿捕ダホ」「捕手ホシュ」
浦 ホ・フ・うら 氵部
解字 「氵(みず)+甫(つける)」 の会意形声。水がひたひたと打ち寄せる岸辺。
意味 (1)うら(浦)。川や湖などのほとり。はま。岸。水辺。「浦の苫屋うらのとまや」 (2)支流が本流に、また、川が海にそそぐ所。「浦口ホコウ」「江浦コウホ」 (3)[国]海や湖が陸地に入り込んでいる所。入り江。「田子の浦うら」
蒲 ホ・フ・がま 艸部
解字 「艸(草)+浦(みずべ)」の会意形声。水辺に生える草。
意味 (1)がま(蒲)。水辺に自生するガマ科の多年草。葉を編んでむしろを作る。 (2)ヤナギ科の落葉小低木。「蒲柳ホリュウ」(カワヤナギの別称) (3)ガマの葉で編んだむしろ。「蒲団フトン」(①蒲の葉で編んだ円座。②布地で綿をくるんだ敷物や寝具) (4)「蒲公英ほこうえい・タンポポ」とは、タンポポ属の多年草の総称。根は生薬となる。
匍 ホ・フ・はらばう 勹部
解字 「勹(身をかがめる)+甫(つける)」の会意形声。勹は人が身をかがめた形。これに甫をつけた匍は、体を地面につけること。はらばう意となる。
意味 はらばう(匐う)。はう。「匍匐ホフク」(はらばうこと)「匍匐前進ホフクゼンシン」(はらばって進む)「匍匐茎ホフクケイ」(地上をはうようにのびる茎。ランナー)
葡 ホ・ブ 艸部
解字 「艸(草木)+匍(ブ・ホ)」の形声。ブ(漢音)・ホ(呉音)とよばれる植物。「葡萄ブドウ」に使われる字。また発音を利用し国名「葡萄牙ポルトガル」に用いられる。
意味 (1)「葡萄ブドウ」に使われる字。葡萄とは、蔓性落葉低木の果樹。房状の液果がなる。名前は西域の方言に由来し、発音を表す「匍匋」に草冠をつけた。「葡萄酒ブドウシュ」 (2)国の名。「葡萄牙ポルトガル」(ヨーロッパ南西端の国)
輔 ホ・フ・すけ・たすける 車部
輔
輔を付けた車輪
両図とも中国の検索サイトから。原サイトなし。
解字 「車(くるま)+甫(つける)」の会意形声。車に重いものを載せるとき、輻フク(スポーク)への負担を減らすため車輪にあてて渡す二本の添え木(図)。
意味 (1)たすける(輔ける)。すけ(輔)。力を添える。「輔車ホシャ」(車輪とその添え木のように互いに助け合う関係にあるもの)「輔車相依ホシャソウイ」(輔と車輪は相い依る。密接な関係にあって切り離せない例え)「輔佐ホサ」(=補佐)「輔弼ホヒツ」(天子が政治を行なうのを輔けること) (2)「大輔タイフ」とは、律令制の官職で省の長官を卿キョウといい、次官を大輔タイフと言った。大輔の下位に少輔ショウフがいた。) (3)人名。「大輔だいすけ」(高橋大輔、松坂大輔など)
舗 ホ・フ・みせ・しく 舌部
解字 「舎(建物)+甫(びったりとつける)」の会意形声。商品を敷きつめるように並べた店。
意味 (1)みせ。商店。「店舗テンポ」「老舗ロウホ・しにせ」 (2)しく(舗く)。しきつめる。「舗装ホソウ」「舗道ホドウ」
鋪 ホ・フ 金部
門鐶(鋪首)
https://www.duitang.com/blog/?id=1014586734
解字 「金(金属)+甫(ぴたりとつける)」の会意形声。[説文解字]に「門に箸(つ)くる鋪首なり」とあり、門扉に亀蛇や獣などの形に金輪をつけた門鐶モンカン(門扉に付ける金輪)をいう。転じて、しく意ともなる。
意味 (1)門扉の金具。「鋪金ホキン」「鋪首ホシュ」 (2)しく(鋪く)。「鋪装ホソウ」(=舗装)「鋪道ホドウ」(=舗道)
脯 ホ・フ・ほしし 月部にく
解字 「月(にく)+甫(ぴたりとつける)」の会意形声。蒸して平らにのばした肉を、板状のものにぴたりとつけて日に干したもの。アンズなどの果物を干したものにも言う。
意味 ほしし(脯)。ほしじし。干した獣や鳥などの肉。ほししし(干し肉しし。干し宍しし)の略。乾肉。蒸して平らに延ばして干した肉。「脯資ホシ」(干し肉と食料。転じて、旅行の費用)「脯脩ホシュウ」(脯は平らな干し肉、脩は細長い干し肉。授業の月謝・謝礼の意味にも使う)「脯醢ホカイ」(ほししとしおから)「酒脯シュホ」(酒とほしし)
<紫色は常用漢字>
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甫 ホ・フ 用部
解字 甲骨文は、田(耕作地)に苗や苗木が植えられている形で圃ホ(はたけ)の原字。金文に至ってこの字は別字となった。上部は発音の一つであるフを表すため父フになり、下部は田と似た形の用に変化した。篆文までこの字形が続いたが、隷書(漢代の役人などが主に使用した書体)になり上部がまた変化し、最終的に甫の字形になった。意味は、甲骨文の田に苗や苗木を植えた形から「はじめ」、田(耕作地)が「ひろい」、金文から発音を表すため追加された父フに影響されて男子の美称に用いられる。
なお、この字は発音の一つ「フ」が付フ(つく)に通じ、「びったりとつく・つける」イメージで多用される。しかし、日本語の発音はホ(漢音)が使われる(フは呉音)。
意味 (1)はじめ。 (2)ひろい。「甫田ホデン」(ひろい田畑) (3)男子の美称。元服したとき字(あざな)にそえる語。また、年長の男性にもつける。「尊甫ソンホ」(あなたのお父さん)「尼甫ジホ」(孔子のこと)
イメージ
「苗や苗木を植えた耕作地」(甫・圃)
「びったりとつく・つける」(補・哺・捕・浦・蒲・匍・葡・輔・舗・鋪・脯)
音の変化 ホ:甫・圃・補・哺・捕・浦・蒲・匍・葡・輔・舗・鋪・脯
苗や苗木を植えた耕作地
圃 ホ・フ・はたけ 囗部
解字 「囗(かこい)+甫(苗や苗木を植えた耕作地)」の会意形声。甫が、男子の美称などの意味に変化したため、もとの意味である「苗や苗木を植えた耕作地」を表すため、囗(かこい)をつけた。
意味 はたけ(圃)。果樹や野菜を栽培する耕地。「田圃デンポ」「農圃ノウホ」
びったりとつく・つける
補 ホ・フ・おぎなう 衤部
解字 「衤(ころも)+甫(つける)」の会意形声。衣の破れ目に布きれをあてて修理すること。欠けたところを補うこと。
意味 (1)おぎなう(補う)。つくろう。「補強ホキョウ」 (2)たすける。「補佐ホサ」「補助ホジョ」 (3)正式の職につく前の身分。「候補コウホ」
哺 ホ・ブ・ふくむ・はぐくむ 口部
解字 「口(くち)+甫(ぴったりとつける)」の会意形声。口をぴたりと当ててものを含むこと。
意味 (1)ふくむ(哺む)。口にふくむ。「哺乳ホニュウ」 (2)はぐくむ(哺む)。やしなう。
捕 ホ・ブ・とらえる・とらわれる・とる・つかまえる・つかまる 扌部
解字 「扌(て)+甫(つける)」の会意形声。手を相手に付けてとらえること。
意味 とる(捕る)。とらえる(捕らえる)。つかまえる(捕まえる)。「逮捕タイホ」「拿捕ダホ」「捕手ホシュ」
浦 ホ・フ・うら 氵部
解字 「氵(みず)+甫(つける)」 の会意形声。水がひたひたと打ち寄せる岸辺。
意味 (1)うら(浦)。川や湖などのほとり。はま。岸。水辺。「浦の苫屋うらのとまや」 (2)支流が本流に、また、川が海にそそぐ所。「浦口ホコウ」「江浦コウホ」 (3)[国]海や湖が陸地に入り込んでいる所。入り江。「田子の浦うら」
蒲 ホ・フ・がま 艸部
解字 「艸(草)+浦(みずべ)」の会意形声。水辺に生える草。
意味 (1)がま(蒲)。水辺に自生するガマ科の多年草。葉を編んでむしろを作る。 (2)ヤナギ科の落葉小低木。「蒲柳ホリュウ」(カワヤナギの別称) (3)ガマの葉で編んだむしろ。「蒲団フトン」(①蒲の葉で編んだ円座。②布地で綿をくるんだ敷物や寝具) (4)「蒲公英ほこうえい・タンポポ」とは、タンポポ属の多年草の総称。根は生薬となる。
匍 ホ・フ・はらばう 勹部
解字 「勹(身をかがめる)+甫(つける)」の会意形声。勹は人が身をかがめた形。これに甫をつけた匍は、体を地面につけること。はらばう意となる。
意味 はらばう(匐う)。はう。「匍匐ホフク」(はらばうこと)「匍匐前進ホフクゼンシン」(はらばって進む)「匍匐茎ホフクケイ」(地上をはうようにのびる茎。ランナー)
葡 ホ・ブ 艸部
解字 「艸(草木)+匍(ブ・ホ)」の形声。ブ(漢音)・ホ(呉音)とよばれる植物。「葡萄ブドウ」に使われる字。また発音を利用し国名「葡萄牙ポルトガル」に用いられる。
意味 (1)「葡萄ブドウ」に使われる字。葡萄とは、蔓性落葉低木の果樹。房状の液果がなる。名前は西域の方言に由来し、発音を表す「匍匋」に草冠をつけた。「葡萄酒ブドウシュ」 (2)国の名。「葡萄牙ポルトガル」(ヨーロッパ南西端の国)
輔 ホ・フ・すけ・たすける 車部
輔
輔を付けた車輪
両図とも中国の検索サイトから。原サイトなし。
解字 「車(くるま)+甫(つける)」の会意形声。車に重いものを載せるとき、輻フク(スポーク)への負担を減らすため車輪にあてて渡す二本の添え木(図)。
意味 (1)たすける(輔ける)。すけ(輔)。力を添える。「輔車ホシャ」(車輪とその添え木のように互いに助け合う関係にあるもの)「輔車相依ホシャソウイ」(輔と車輪は相い依る。密接な関係にあって切り離せない例え)「輔佐ホサ」(=補佐)「輔弼ホヒツ」(天子が政治を行なうのを輔けること) (2)「大輔タイフ」とは、律令制の官職で省の長官を卿キョウといい、次官を大輔タイフと言った。大輔の下位に少輔ショウフがいた。) (3)人名。「大輔だいすけ」(高橋大輔、松坂大輔など)
舗 ホ・フ・みせ・しく 舌部
解字 「舎(建物)+甫(びったりとつける)」の会意形声。商品を敷きつめるように並べた店。
意味 (1)みせ。商店。「店舗テンポ」「老舗ロウホ・しにせ」 (2)しく(舗く)。しきつめる。「舗装ホソウ」「舗道ホドウ」
鋪 ホ・フ 金部
門鐶(鋪首)
https://www.duitang.com/blog/?id=1014586734
解字 「金(金属)+甫(ぴたりとつける)」の会意形声。[説文解字]に「門に箸(つ)くる鋪首なり」とあり、門扉に亀蛇や獣などの形に金輪をつけた門鐶モンカン(門扉に付ける金輪)をいう。転じて、しく意ともなる。
意味 (1)門扉の金具。「鋪金ホキン」「鋪首ホシュ」 (2)しく(鋪く)。「鋪装ホソウ」(=舗装)「鋪道ホドウ」(=舗道)
脯 ホ・フ・ほしし 月部にく
解字 「月(にく)+甫(ぴたりとつける)」の会意形声。蒸して平らにのばした肉を、板状のものにぴたりとつけて日に干したもの。アンズなどの果物を干したものにも言う。
意味 ほしし(脯)。ほしじし。干した獣や鳥などの肉。ほししし(干し肉しし。干し宍しし)の略。乾肉。蒸して平らに延ばして干した肉。「脯資ホシ」(干し肉と食料。転じて、旅行の費用)「脯脩ホシュウ」(脯は平らな干し肉、脩は細長い干し肉。授業の月謝・謝礼の意味にも使う)「脯醢ホカイ」(ほししとしおから)「酒脯シュホ」(酒とほしし)
<紫色は常用漢字>
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