歴レキの解字を改めました。
歴 レキ・リャク・へる 止部
解字 甲骨文は「秝レキ+止(あし)」の形。秝レキは、作物の禾カ(穂がたれるイネ科の米・麦・粟など)が二つ並んでいるさまで、畝(うね)に植えられたイネ科の作物が畝の間隔をあけて並んで続いているさま。それに止(あし)のついた「秝+止」は秝レキが続く耕作地のあぜ道を畝(うね)を横に(見て)歩むこと。しかし、甲骨文の意味は、祭祀名・地名またはその長、となっており原義ではない。
金文になると、厂カンが加わり「厤レキ+止(あゆむ)」となった。問題は、この厂カンの意味である。厂は発音を表す音符として用いられることが多いが、厤レキでは発音を秝レキが受け持っいるので音符ではない。わたしは、厂は区切りを意味するのではないかと思う。つまり、秝レキが続く耕作地のあぜ道を歩んできたが、ここで区切りを入れ、これまで歩んできたこと、つまり経過したことを表したと考える。金文の意味は地名であるが、經歷(経過)の意味もある文例もあるという[漢語多功能字庫(ネット)]。金文の形を引き継いだ篆文は[説文解字]が「過(すぎ)る也(なり)」としており経過する意。旧字の「厤+止」から新字体は秝⇒林に変化した歴になった。意味は、へる・すぎる・めぐる意、また秝レキが畝(うね)で順序よくならぶことから、つぎつぎにの意となる。
意味 (1)へる(歴る)。年月をへる。「歴史レキシ」(歴てきたことを史(ふみ)に書く)「履歴リレキ」(履(くつ)でふみおこなってきた経歴) (2)めぐる。わたる。つぎつぎに。「歴訪レキホウ」「巡歴ジュンレキ」「歴任レキニン」(次々と官職に任ぜられる) (3)(経歴がわかる意から)確かな。はっきりしている。「歴然レキゼン」「歴レッキと」(レキトの促音化。はっきりしているさま)「歴とした証拠」「歴とした家柄」
イメージ
「へる・めぐる」(歴・暦)
「つぎつぎに」(瀝・靂・櫪・癧)
音の変化 レキ:歴・暦・瀝・靂・櫪・癧
へる・めぐる
暦 レキ・リャク・こよみ 日部
解字 旧字は曆で「日(太陽)+歷の略体(つぎつぎにめぐる)」の会意形声。日が次々にめぐる意で、太陽の一年のめぐりを表したこよみ。新字体で暦に変化。
意味 (1)こよみ(暦)。「太陽暦タイヨウレキ」「暦日レキジツ」(暦で定めてある日)「暦法レキホウ」「西暦セイレキ」「花暦はなごよみ」 (2)めぐりあわせ。運命。「暦数レキスウ」(①太陽と月の運行を測って暦を作る方法。②めぐりあわせ) (3)リャクの発音。「延暦寺エンリャクジ」(京都北東の比叡山にある天台宗の総本山)
つぎつぎに
瀝 レキ・したたる 氵部
解字 「氵(みず)+歷(つぎつぎに)」の会意形声。水がつぎつぎとしたたり落ちること。
意味 (1)したたる(瀝る)。したたり。「瀝瀝レキレキ」(水などのしたたるさま)「滴瀝テキレキ」(滴も瀝も、したたる意) (2)そそぐ。ながれる。「披瀝ヒレキ」(披(ひらき)きそそぐ。心中の思いを包むことなくうちあける) (3)「瀝青レキセイ」とは、①本来は天然アスファルトの意。②石炭・石油を蒸留したあとの残りかす。道路の舗装や塗料に用いる。
靂 レキ
解字 「雨(あめ)+歷(つぎつぎと)」の会意形声。雨の中をつぎつぎと連続して鳴り響くカミナリの音をいう。
意味 「霹靂ヘキレキ」に使われる字。「霹靂ヘキレキ」とは、①急激な雷鳴の意。②はげしい音響の形容。「青天の霹靂」(晴天ににわかに起こる雷鳴で、突然に起こる大事件)
※「霹ヘキ」は、「雨+辟ヘキ(切り裂く)」で、雨の中を切り裂くように響く雷鳴の意。
櫪 レキ・かいばおけ・くぬぎ 木部
解字 「木(き)+歷(つぎつぎと)」の会意形声。つぎつぎと連続する板の意で桶のこと。特に馬の飼い葉おけをいう。また、発音の歷レキは櫟レキ(くぬぎ)に通じ、くぬぎの木をいう。
意味 (1)かいばおけ(櫪)。まぐさおけ。「櫪馬レキバ」(うまやにつながれている馬) (2)くぬぎ(櫪)。ブナ科の落葉高木。
癧 レキ 疒部
解字 「疒(やまい)+歴(つぎつぎと)」の会意形声。「瘰癧ルイレキ」に使われる字。
意味 「瘰癧ルイレキ」とは、首のリンパ腺につぎつぎと連なってできる腫れ物をいう。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
歴 レキ・リャク・へる 止部
解字 甲骨文は「秝レキ+止(あし)」の形。秝レキは、作物の禾カ(穂がたれるイネ科の米・麦・粟など)が二つ並んでいるさまで、畝(うね)に植えられたイネ科の作物が畝の間隔をあけて並んで続いているさま。それに止(あし)のついた「秝+止」は秝レキが続く耕作地のあぜ道を畝(うね)を横に(見て)歩むこと。しかし、甲骨文の意味は、祭祀名・地名またはその長、となっており原義ではない。
金文になると、厂カンが加わり「厤レキ+止(あゆむ)」となった。問題は、この厂カンの意味である。厂は発音を表す音符として用いられることが多いが、厤レキでは発音を秝レキが受け持っいるので音符ではない。わたしは、厂は区切りを意味するのではないかと思う。つまり、秝レキが続く耕作地のあぜ道を歩んできたが、ここで区切りを入れ、これまで歩んできたこと、つまり経過したことを表したと考える。金文の意味は地名であるが、經歷(経過)の意味もある文例もあるという[漢語多功能字庫(ネット)]。金文の形を引き継いだ篆文は[説文解字]が「過(すぎ)る也(なり)」としており経過する意。旧字の「厤+止」から新字体は秝⇒林に変化した歴になった。意味は、へる・すぎる・めぐる意、また秝レキが畝(うね)で順序よくならぶことから、つぎつぎにの意となる。
意味 (1)へる(歴る)。年月をへる。「歴史レキシ」(歴てきたことを史(ふみ)に書く)「履歴リレキ」(履(くつ)でふみおこなってきた経歴) (2)めぐる。わたる。つぎつぎに。「歴訪レキホウ」「巡歴ジュンレキ」「歴任レキニン」(次々と官職に任ぜられる) (3)(経歴がわかる意から)確かな。はっきりしている。「歴然レキゼン」「歴レッキと」(レキトの促音化。はっきりしているさま)「歴とした証拠」「歴とした家柄」
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「へる・めぐる」(歴・暦)
「つぎつぎに」(瀝・靂・櫪・癧)
音の変化 レキ:歴・暦・瀝・靂・櫪・癧
へる・めぐる
暦 レキ・リャク・こよみ 日部
解字 旧字は曆で「日(太陽)+歷の略体(つぎつぎにめぐる)」の会意形声。日が次々にめぐる意で、太陽の一年のめぐりを表したこよみ。新字体で暦に変化。
意味 (1)こよみ(暦)。「太陽暦タイヨウレキ」「暦日レキジツ」(暦で定めてある日)「暦法レキホウ」「西暦セイレキ」「花暦はなごよみ」 (2)めぐりあわせ。運命。「暦数レキスウ」(①太陽と月の運行を測って暦を作る方法。②めぐりあわせ) (3)リャクの発音。「延暦寺エンリャクジ」(京都北東の比叡山にある天台宗の総本山)
つぎつぎに
瀝 レキ・したたる 氵部
解字 「氵(みず)+歷(つぎつぎに)」の会意形声。水がつぎつぎとしたたり落ちること。
意味 (1)したたる(瀝る)。したたり。「瀝瀝レキレキ」(水などのしたたるさま)「滴瀝テキレキ」(滴も瀝も、したたる意) (2)そそぐ。ながれる。「披瀝ヒレキ」(披(ひらき)きそそぐ。心中の思いを包むことなくうちあける) (3)「瀝青レキセイ」とは、①本来は天然アスファルトの意。②石炭・石油を蒸留したあとの残りかす。道路の舗装や塗料に用いる。
靂 レキ
解字 「雨(あめ)+歷(つぎつぎと)」の会意形声。雨の中をつぎつぎと連続して鳴り響くカミナリの音をいう。
意味 「霹靂ヘキレキ」に使われる字。「霹靂ヘキレキ」とは、①急激な雷鳴の意。②はげしい音響の形容。「青天の霹靂」(晴天ににわかに起こる雷鳴で、突然に起こる大事件)
※「霹ヘキ」は、「雨+辟ヘキ(切り裂く)」で、雨の中を切り裂くように響く雷鳴の意。
櫪 レキ・かいばおけ・くぬぎ 木部
解字 「木(き)+歷(つぎつぎと)」の会意形声。つぎつぎと連続する板の意で桶のこと。特に馬の飼い葉おけをいう。また、発音の歷レキは櫟レキ(くぬぎ)に通じ、くぬぎの木をいう。
意味 (1)かいばおけ(櫪)。まぐさおけ。「櫪馬レキバ」(うまやにつながれている馬) (2)くぬぎ(櫪)。ブナ科の落葉高木。
癧 レキ 疒部
解字 「疒(やまい)+歴(つぎつぎと)」の会意形声。「瘰癧ルイレキ」に使われる字。
意味 「瘰癧ルイレキ」とは、首のリンパ腺につぎつぎと連なってできる腫れ物をいう。
<紫色は常用漢字>
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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。