増補改訂しました。
疑 ギ・うたがう 疋部ひき
解字 甲骨文は、人が後ろを向いて立ち止まり、杖を立てて進退を定めかねている形で、心が迷いうたがっているさまを示す[字統]。金文で足の形や彳(路上)などが付き、篆文では、向きを変えたヒ・矢・子・止(足のかたち)からなる字となり、現代字の疑となったが、初形とはかなり変化している。意味は、うたがう意となる。字形の変化がはげしいので語呂合わせで覚えると便利。
覚え方
①ひやま(ヒ矢マ)さん、ふと(フト)ひと(人)を疑った。
②ひやま(ヒ矢マ)ひき(疋)で、疑ギ
意味 うたがう(疑う)。うたがい(疑い)。あやしい。「疑念ギネン」「疑惑ギワク」「容疑ヨウギ」(疑いを容れる。罪を犯したのではないかという疑い)
イメージ
「うたがう」(疑・擬・癡)
甲骨文の形である後ろを向いて「立ち止まる」(凝・礙)
「形声字」(嶷)
音の変化 ギ:疑・擬・嶷 ギョウ:凝 チ:癡 ガイ:礙
うたがう
擬 ギ・なぞらえる 扌部
解字 「扌(手)+疑(うたがい)」の会意形声。本物かどうか疑うほど似ている物を手でつくること。
意味 なぞらえる(擬える)。まねる。似せる。「擬音ギオン」(ある音に似せて作る音)「擬似ギジ」(よく似ていて区別がつきにくい。擬も似も、にる意)「模擬試験モギシケン」(本物を真似た試験) まがい(擬)。もどき(擬)。「擬(まが)い物」(にせもの)「雁擬(がんもど)き」(油揚げの一種。雁の肉に味を似せたものの意)
癡[痴の旧字] チ・おろか 疒部
解字 「疒(やまい)+疑ギ(うたがう)」の会意。疑い深くなることが病的になること、おろか・くるう意となる。なお、癡チは仏教用語として悟りをさまたげる三つの煩悩である「三毒」(貪ドン・よくぶかい・瞋シン・いかる・癡チ・おろか)の一つとされ、 癡チは妄想 、混乱、鈍さを指す。発音のチを借りた痴チは癡の俗字であったが、常用漢字として用いられるようになった。癡チは現在でも仏教用語として用いられる。
意味 [仏教]悟りをさまたげる三つの煩悩である三毒(貪・瞋・癡)のひとつ。妄想 、混乱、鈍さを指す。「愚癡グチ」(理非の区別のつかないおろかさ=愚痴)「我癡ガチ」(我執ガシツの心。現在の自分の枠から外れることを恐れること)
立ち止まる
凝 ギョウ・こる・こらす 冫部
解字 「冫(こおり)+疑(立ち止まる)」の会意形声。じっと立ち止まって動かないさまを、氷のかたまるさまに移した字。かたまる意と、人がじっと動かない意とある。
意味 (1)こる(凝る)。かたまる。「凝固ギョウコ」「凝縮ギョウシュク」 (2)こらす(凝らす)。気持ちを集中する。「凝視ギョウシ」 (3)とどこおる。動かなくなる。「凝然ギョウゼン」(じっとして動かない)「凝滞ギョウタイ」(滞って動かない)
礙[碍の旧字] ガイ・ゲ・さまたげる 石部
解字 「石(いし)+疑(たちどまる)」の会意。大きな石にさえぎられて立ち止まる意。さまたげる・さまたげの意。この字は疑を得に置きかえた碍ガイ・ゲが常用漢字になっている。しかし、仏教用語では旧字が用いられることがある。
意味 (1)[仏教]さまたげる。「無礙ムゲ」(さまたげがないこと。とらわれがなく自由自在なこと=無碍ムゲ)「融通無礙ユウズウムゲ」(一定の考えにとらわれず、どんな事でも対応できること=融通無碍)
形声字
嶷 ギ・ギョク・たかい・さとい 山部
解字 「山(やま)+疑(ギ)」の形声。ギは巍ギ(たかい)に通じ、山が高い意。また、山が高く、ぬきんでる意から、さとい意となる。
意味 (1)地名。「九嶷キュウギ」(湖南省にある山の名。帝舜を葬った所と伝える) (2)たかい(嶷い)「嶷立ギョクリツ」(①たかくそびえたつ。②ぬきんでる)「嶷然ギョクゼン」(①高くそびえてるさま。②ぬきんでるさま) (3)さとい(嶷い)。かしこい。「英嶷エイギョク」
<紫色は常用漢字>
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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
疑 ギ・うたがう 疋部ひき
解字 甲骨文は、人が後ろを向いて立ち止まり、杖を立てて進退を定めかねている形で、心が迷いうたがっているさまを示す[字統]。金文で足の形や彳(路上)などが付き、篆文では、向きを変えたヒ・矢・子・止(足のかたち)からなる字となり、現代字の疑となったが、初形とはかなり変化している。意味は、うたがう意となる。字形の変化がはげしいので語呂合わせで覚えると便利。
覚え方
①ひやま(ヒ矢マ)さん、ふと(フト)ひと(人)を疑った。
②ひやま(ヒ矢マ)ひき(疋)で、疑ギ
意味 うたがう(疑う)。うたがい(疑い)。あやしい。「疑念ギネン」「疑惑ギワク」「容疑ヨウギ」(疑いを容れる。罪を犯したのではないかという疑い)
イメージ
「うたがう」(疑・擬・癡)
甲骨文の形である後ろを向いて「立ち止まる」(凝・礙)
「形声字」(嶷)
音の変化 ギ:疑・擬・嶷 ギョウ:凝 チ:癡 ガイ:礙
うたがう
擬 ギ・なぞらえる 扌部
解字 「扌(手)+疑(うたがい)」の会意形声。本物かどうか疑うほど似ている物を手でつくること。
意味 なぞらえる(擬える)。まねる。似せる。「擬音ギオン」(ある音に似せて作る音)「擬似ギジ」(よく似ていて区別がつきにくい。擬も似も、にる意)「模擬試験モギシケン」(本物を真似た試験) まがい(擬)。もどき(擬)。「擬(まが)い物」(にせもの)「雁擬(がんもど)き」(油揚げの一種。雁の肉に味を似せたものの意)
癡[痴の旧字] チ・おろか 疒部
解字 「疒(やまい)+疑ギ(うたがう)」の会意。疑い深くなることが病的になること、おろか・くるう意となる。なお、癡チは仏教用語として悟りをさまたげる三つの煩悩である「三毒」(貪ドン・よくぶかい・瞋シン・いかる・癡チ・おろか)の一つとされ、 癡チは妄想 、混乱、鈍さを指す。発音のチを借りた痴チは癡の俗字であったが、常用漢字として用いられるようになった。癡チは現在でも仏教用語として用いられる。
意味 [仏教]悟りをさまたげる三つの煩悩である三毒(貪・瞋・癡)のひとつ。妄想 、混乱、鈍さを指す。「愚癡グチ」(理非の区別のつかないおろかさ=愚痴)「我癡ガチ」(我執ガシツの心。現在の自分の枠から外れることを恐れること)
立ち止まる
凝 ギョウ・こる・こらす 冫部
解字 「冫(こおり)+疑(立ち止まる)」の会意形声。じっと立ち止まって動かないさまを、氷のかたまるさまに移した字。かたまる意と、人がじっと動かない意とある。
意味 (1)こる(凝る)。かたまる。「凝固ギョウコ」「凝縮ギョウシュク」 (2)こらす(凝らす)。気持ちを集中する。「凝視ギョウシ」 (3)とどこおる。動かなくなる。「凝然ギョウゼン」(じっとして動かない)「凝滞ギョウタイ」(滞って動かない)
礙[碍の旧字] ガイ・ゲ・さまたげる 石部
解字 「石(いし)+疑(たちどまる)」の会意。大きな石にさえぎられて立ち止まる意。さまたげる・さまたげの意。この字は疑を得に置きかえた碍ガイ・ゲが常用漢字になっている。しかし、仏教用語では旧字が用いられることがある。
意味 (1)[仏教]さまたげる。「無礙ムゲ」(さまたげがないこと。とらわれがなく自由自在なこと=無碍ムゲ)「融通無礙ユウズウムゲ」(一定の考えにとらわれず、どんな事でも対応できること=融通無碍)
形声字
嶷 ギ・ギョク・たかい・さとい 山部
解字 「山(やま)+疑(ギ)」の形声。ギは巍ギ(たかい)に通じ、山が高い意。また、山が高く、ぬきんでる意から、さとい意となる。
意味 (1)地名。「九嶷キュウギ」(湖南省にある山の名。帝舜を葬った所と伝える) (2)たかい(嶷い)「嶷立ギョクリツ」(①たかくそびえたつ。②ぬきんでる)「嶷然ギョクゼン」(①高くそびえてるさま。②ぬきんでるさま) (3)さとい(嶷い)。かしこい。「英嶷エイギョク」
<紫色は常用漢字>
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