増訂しました。
曷 カツ・なんぞ・いずくんぞ 日部 hé
上は曷、下は匃カイ
解字 篆文は「曰エツ(いう)+匃カイ(もとめる)」の会意。匃カイは死者をだいて、そのよみがえりをねがう形。曰エツは、いう意(現代字で日に変化)。両者を合わせた曷は、よみがえりの願いを大きな声で言う形で、「請い願う」意味となる。しかし、本来の意味でなく、「なんぞ」「いずくんぞ」の助字に仮借カシャ(当て字)された。新字体の音符になるとき、下部が、匃⇒匂に変化する。
意味 曷(なに)。曷ぞ(なん-ぞ)。曷んぞ(いずく-んぞ)。「曷若(いかん)」「曷為(なんすれぞ)」「曷以(なにをもってか)」
イメージ
「仮借カシャ(当て字)」(曷)
「請い求める」(謁・靄・藹・渇・葛・褐・蝎)
「形声字」(喝・歇・蠍・掲・羯・臈・偈)
音の変化 カツ:曷・渇・葛・褐・蝎・蠍・喝・羯 ケイ:掲 ケツ:歇・偈 ロウ:臈 アイ:靄・藹 エツ:謁
請い求める
謁 エツ・まみえる 言部 yè
解字 旧字は謁で「言(いう)+曷(請い求める)」の会意形声。請い求める意の曷カツが、仮借カシャされ別の意味になったため、言をつけて元の意味をあらわした。また、身分の高い人に請い求める形から、まみえる(謁見する)意となる。
意味 (1)請う。求める。申し上げる。 (2)まみえる(謁える)。身分の高い人に会う。「謁見エッケン」「拝謁ハイエツ」
靄 アイ・もや 雨部 ǎi
解字 「雨(あめ)+謁(=曷。請い求める)」の会意形声。雨を神に請い求めること。それに応えて神がその徴候をみせること。
意味 もや(靄)。雲気がたちこめること。空気中に一面に水蒸気が立ちこめること。霧より見通しのよいものをいう。「朝靄あさもや」「夕靄ゆうもや」「靄靄アイアイ」(雲やかすみの集まりたなびくさま。ゆったりしているさま)
藹 アイ 艸部 ǎi
解字 「艸(草)+謁(=靄。もや)」の会意形声。靄は雲気のたちこめるさま。艸がついた藹は、草の気がたちこめる意。草木が繁茂しその気のたちこめる状態をいう。また、人の心にたとえて、心が充実しおだやかなことをいう。
意味 (1)草木のしげるさま。さかんなさま。「藹然アイゼン」(①草木の盛んなようす。②気持ちがおだやかなさま)(2)おだやかなさま。心がなごむさま。「和気藹藹ワキアイアイ」
渇 カツ・かわく 氵部 kě
解字 旧字は渴で「氵(水)+曷(請い求める)」の会意形声。咽がかわいて水を欲しがること。また、水がかわく・かれる意味となる。新字体は渇になる。
意味 (1)ひどく欲しがる。咽がかわく。「渇望カツボウ」(2)かわく(渇く)。かれる。「渇水カッスイ」「枯渇コカツ」
葛 カツ・くず・かずら 艸部 gě・gé
解字 「艸(草)+曷(請い求める)」の会意形声。光りを求めてツルをのばして繁茂する草。つる性の植物をいう。※新指定の常用漢字のため下部を匂にしても可。
葛のつる(「葛の蔓」より)
葛の根(「吉野本葛天極堂」より)
意味 (1)くず(葛)。マメ科のつる性の多年草。根から生薬や葛粉を作り、つるの繊維から布を作る。「葛布くずふ」「葛粉くずこ」「葛根湯カッコントウ」(葛の根から作る生薬) (2)かずら(葛)。かつら(葛)。つる草。「葛藤カットウ」(かずらや藤のつるがもつれ、からむこと。もつれ。心の迷い) (3)人名。地名。「葛飾北斎かつしかホクサイ」(江戸後期の浮世絵師)「葛飾区かつしかク」(東京都の区名)「葛城かつらぎ」(奈良盆地南西部一帯の古地名)
褐 カツ・カチ・ぬのこ 衤部 hè
解字 旧字は褐で「衤(衣)+曷(カツ)」の形声。[説文解字注]は「未(いま)だ績(つむ)いでない麻(あさ)之(の)編(編んだもの)で之(これ)を足衣(足袋・たび)と為す。如今(いまどき)は艸鞵(草鞋)之(の)類(たぐい)。一に曰く粗衣ソイ」とあり、麻の衣とするが、一方で葛(くず)の繊維の衣とする説もある。下の写真は中国明代の葛紗シャ制(葛糸の薄い織物)の衣服で、色も褐色をしている。私は麻でなく葛(くず)の繊維の衣と思うが、いずれにしても意味は粗末な衣服で、色は褐色(かわいた感じの茶色)となる。
中国明代の葛紗制の衣服(「衣之道・葛布」より)
https://zhuanlan.zhihu.com/p/373573260
意味 (1)ぬのこ(褐)。あらい布の粗末な衣服。「褐衣カチエ」(褐布の狩衣)「褐夫カップ」(粗布を着ている身分の卑しい者) (2)かわいた感じの茶色。暗褐色。「褐色カッショク」「褐炭カッタン」(暗褐色の質のよくない石炭)「褐鉄鋼カッテッコウ」(暗褐色の製鉄鉱石)
蝎 カツ・きくいむし・さそり 虫部 xiē
解字 「虫(むし)+曷(もとめる)」の形声。エサを求めて木のなかに巣くう虫のキクイムシを蝎カツという。また、蠍さそりの意味にも用いる。
意味 (1)きくいむし。キクイムシ科の甲虫。木の中に入って木を食い荒らす虫の通称。(2)「蝎虎カッコ」とは、やもりをいう。(3)さそり(蝎)。サソリ科の総称。「蛇蝎ダカツ」(蛇とサソリ)
形声字
喝 カツ・しかる 口部 hē・hè・yè
解字 旧字は噶で「口(くち)+曷(カツ)」 の形声。口からカツと大きな声を出すことを噶カツという。新字体は喝に変化。
意味 (1)しかる(喝る)。「喝破カッパ」(①しかりつける。②邪説をしりぞけ真理を言う)(2)おどす。「恫喝ドウカツ」(2)大声をはりあげる。「喝采カッサイ」(やんやともてはやす)
歇 ケツ・やむ 欠部 xiē
解字 「欠(口をあけて声をだす)+曷(=噶。大きな声をだす)」 の会意形声。大きな声を出している相手に、口をあけて声を出し、相手の勢いを止めること。
意味 (1)やむ(歇む)。やめる。「歇後ケツゴ」(後をやむ。成語の後半を省略すること)「間歇カンンケツ」(一定の間隔をもって止み、また起きること)「間歇泉カンケツセン」(一定の間隔をおいて周期的に熱湯を噴き出す温泉)(2)やすむ。「歇坐ケツザ」(宴中の小休憩)「歇家ケッカ」(旅館)(3)つきる。「歇滅ケツメツ」(ほろびる)
蠍 カツ・ケツ・さそり 虫部 xiē
解字 「虫(むし)+歇(ケツ・やすむ)」の会意形成。夜行性の昆虫であるサソリをいう。昼間は岩陰や土の中、隙間などに隠れて過ごす虫であるので、歇(やすむ)を用いたものと思われる。なお、サソリの意味である蝎カツに通じ、カツの発音も慣用音となる。
サソリ(ウィキペディアより)
意味 さそり(蠍)。サソリ目の節足動物。尾の先の針に毒をもち刺す。蝎カツとも書く。「蛇蠍ダカツ」(蛇とさそり)「蠍座さそりざ」(サソリの形をした星座。夏の星座)「蝮蠍フクカツ」(まむしと、さそり。凶悪な人)
掲 ケイ・ケツ・かかげる 扌部 jiē
解字 旧字は揭で「扌(手)+曷(カツ⇒ケイ)」の形声。扌(手)で高くかかげることを揭ケイという。新字体は掲ケイに変化。
意味 (1)かかげる(掲げる)。高くさしあげる。「掲揚ケイヨウ」 (2)目につくよう示す。貼り出す。「掲載ケイサイ」「掲示ケイジ」
羯 カツ・ケツ 羊部 jié
解字 「羊(ひつじ)+曷(カツ)」の形声。カツは割カツ(わける)に通じ、オスの羊の精巣を取り去って去勢すること。また、羊を飼う民族である五胡(西晋末期から華北に侵入した5つの異民族)のひとつをいう。胡は中国の北方・西方に住む遊牧民族。
意味 (1)異民族の名。五胡のひとつで匈奴の別種。中国の山西省内に居住した。「羯鼓カッコ」(①雅楽に使う両面太鼓。②能楽や歌舞伎で使う小太鼓。異民族で五胡のひとつである羯ケツが用いた鼓から)(2)去勢した雄羊。「羯羊カツヨウ」
羯鼓(中国のネットから。https://baike.sogou.com/v494290.htm)
臈 ロウ 月部にく là
解字 「月(肉)+葛(ロウ)」の形声。ロウは臘ロウ(冬至の後、第三の戌(いぬ)の日に、猟のえものの獣肉を供えて先祖百神をまつる祭)に通じ、冬至後に歳を送る祭り。日本では、仏教寺院の僧侶の年功によって得られる身分をいい、地位の称。
意味 (1)まつりの名。冬至後に歳を送る祭り。(=臘ロウ) (2)[国]僧の位。また、宮廷の官女の高位のもの。「上臈ジョウロウ」(①修行を積んだ高僧。②宮中の高位の女官。③江戸幕府大奥の御殿女中の高位のもの)
偈 ゲ・ケツ イ部 jì・jié
解字 「イ(ひと)+葛(カツ⇒ケツ・ゲ)」の形声。サンスクリット語のqāthā(韻文の歌)の音訳字に用い、現在はこの用法が主になっている。
意味 (1)げ(偈)。梵語で仏の功徳をほめたたえる韻文体の歌。本来は「偈陀ゲタ」(サンスクリット語のqāthā(韻文の歌)の音訳字)だが、偈ゲ一字で表す。「偈頌ゲジュ」(仏の功徳や教えをたたえた歌)「偈文ゲブン」(偈の文章)(2)「偈偈ケツケツ」とは(骨折って努めるさま)
遏 アツ・とどめる 辶部 è
解字 「辶(ゆく)+葛(カツ⇒アツ)」の形声。進んで行こうとする者をとどめることを遏アツという。
意味 (1)とめる(遏める)。とどめる(遏める)。さえぎる。「遏雲アツウン」(行く雲をとどめる。歌声の美しいこと)「遏防アツボウ」(とどめ防ぐ)(2)たつ。禁じる。さしとめる。「禁遏キンアツ」「遏密アツミツ」(音曲停止。鳴り物をやめて静かにする。密は静の意)
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曷 カツ・なんぞ・いずくんぞ 日部 hé
上は曷、下は匃カイ
解字 篆文は「曰エツ(いう)+匃カイ(もとめる)」の会意。匃カイは死者をだいて、そのよみがえりをねがう形。曰エツは、いう意(現代字で日に変化)。両者を合わせた曷は、よみがえりの願いを大きな声で言う形で、「請い願う」意味となる。しかし、本来の意味でなく、「なんぞ」「いずくんぞ」の助字に仮借カシャ(当て字)された。新字体の音符になるとき、下部が、匃⇒匂に変化する。
意味 曷(なに)。曷ぞ(なん-ぞ)。曷んぞ(いずく-んぞ)。「曷若(いかん)」「曷為(なんすれぞ)」「曷以(なにをもってか)」
イメージ
「仮借カシャ(当て字)」(曷)
「請い求める」(謁・靄・藹・渇・葛・褐・蝎)
「形声字」(喝・歇・蠍・掲・羯・臈・偈)
音の変化 カツ:曷・渇・葛・褐・蝎・蠍・喝・羯 ケイ:掲 ケツ:歇・偈 ロウ:臈 アイ:靄・藹 エツ:謁
請い求める
謁 エツ・まみえる 言部 yè
解字 旧字は謁で「言(いう)+曷(請い求める)」の会意形声。請い求める意の曷カツが、仮借カシャされ別の意味になったため、言をつけて元の意味をあらわした。また、身分の高い人に請い求める形から、まみえる(謁見する)意となる。
意味 (1)請う。求める。申し上げる。 (2)まみえる(謁える)。身分の高い人に会う。「謁見エッケン」「拝謁ハイエツ」
靄 アイ・もや 雨部 ǎi
解字 「雨(あめ)+謁(=曷。請い求める)」の会意形声。雨を神に請い求めること。それに応えて神がその徴候をみせること。
意味 もや(靄)。雲気がたちこめること。空気中に一面に水蒸気が立ちこめること。霧より見通しのよいものをいう。「朝靄あさもや」「夕靄ゆうもや」「靄靄アイアイ」(雲やかすみの集まりたなびくさま。ゆったりしているさま)
藹 アイ 艸部 ǎi
解字 「艸(草)+謁(=靄。もや)」の会意形声。靄は雲気のたちこめるさま。艸がついた藹は、草の気がたちこめる意。草木が繁茂しその気のたちこめる状態をいう。また、人の心にたとえて、心が充実しおだやかなことをいう。
意味 (1)草木のしげるさま。さかんなさま。「藹然アイゼン」(①草木の盛んなようす。②気持ちがおだやかなさま)(2)おだやかなさま。心がなごむさま。「和気藹藹ワキアイアイ」
渇 カツ・かわく 氵部 kě
解字 旧字は渴で「氵(水)+曷(請い求める)」の会意形声。咽がかわいて水を欲しがること。また、水がかわく・かれる意味となる。新字体は渇になる。
意味 (1)ひどく欲しがる。咽がかわく。「渇望カツボウ」(2)かわく(渇く)。かれる。「渇水カッスイ」「枯渇コカツ」
葛 カツ・くず・かずら 艸部 gě・gé
解字 「艸(草)+曷(請い求める)」の会意形声。光りを求めてツルをのばして繁茂する草。つる性の植物をいう。※新指定の常用漢字のため下部を匂にしても可。
葛のつる(「葛の蔓」より)
葛の根(「吉野本葛天極堂」より)
意味 (1)くず(葛)。マメ科のつる性の多年草。根から生薬や葛粉を作り、つるの繊維から布を作る。「葛布くずふ」「葛粉くずこ」「葛根湯カッコントウ」(葛の根から作る生薬) (2)かずら(葛)。かつら(葛)。つる草。「葛藤カットウ」(かずらや藤のつるがもつれ、からむこと。もつれ。心の迷い) (3)人名。地名。「葛飾北斎かつしかホクサイ」(江戸後期の浮世絵師)「葛飾区かつしかク」(東京都の区名)「葛城かつらぎ」(奈良盆地南西部一帯の古地名)
褐 カツ・カチ・ぬのこ 衤部 hè
解字 旧字は褐で「衤(衣)+曷(カツ)」の形声。[説文解字注]は「未(いま)だ績(つむ)いでない麻(あさ)之(の)編(編んだもの)で之(これ)を足衣(足袋・たび)と為す。如今(いまどき)は艸鞵(草鞋)之(の)類(たぐい)。一に曰く粗衣ソイ」とあり、麻の衣とするが、一方で葛(くず)の繊維の衣とする説もある。下の写真は中国明代の葛紗シャ制(葛糸の薄い織物)の衣服で、色も褐色をしている。私は麻でなく葛(くず)の繊維の衣と思うが、いずれにしても意味は粗末な衣服で、色は褐色(かわいた感じの茶色)となる。
中国明代の葛紗制の衣服(「衣之道・葛布」より)
https://zhuanlan.zhihu.com/p/373573260
意味 (1)ぬのこ(褐)。あらい布の粗末な衣服。「褐衣カチエ」(褐布の狩衣)「褐夫カップ」(粗布を着ている身分の卑しい者) (2)かわいた感じの茶色。暗褐色。「褐色カッショク」「褐炭カッタン」(暗褐色の質のよくない石炭)「褐鉄鋼カッテッコウ」(暗褐色の製鉄鉱石)
蝎 カツ・きくいむし・さそり 虫部 xiē
解字 「虫(むし)+曷(もとめる)」の形声。エサを求めて木のなかに巣くう虫のキクイムシを蝎カツという。また、蠍さそりの意味にも用いる。
意味 (1)きくいむし。キクイムシ科の甲虫。木の中に入って木を食い荒らす虫の通称。(2)「蝎虎カッコ」とは、やもりをいう。(3)さそり(蝎)。サソリ科の総称。「蛇蝎ダカツ」(蛇とサソリ)
形声字
喝 カツ・しかる 口部 hē・hè・yè
解字 旧字は噶で「口(くち)+曷(カツ)」 の形声。口からカツと大きな声を出すことを噶カツという。新字体は喝に変化。
意味 (1)しかる(喝る)。「喝破カッパ」(①しかりつける。②邪説をしりぞけ真理を言う)(2)おどす。「恫喝ドウカツ」(2)大声をはりあげる。「喝采カッサイ」(やんやともてはやす)
歇 ケツ・やむ 欠部 xiē
解字 「欠(口をあけて声をだす)+曷(=噶。大きな声をだす)」 の会意形声。大きな声を出している相手に、口をあけて声を出し、相手の勢いを止めること。
意味 (1)やむ(歇む)。やめる。「歇後ケツゴ」(後をやむ。成語の後半を省略すること)「間歇カンンケツ」(一定の間隔をもって止み、また起きること)「間歇泉カンケツセン」(一定の間隔をおいて周期的に熱湯を噴き出す温泉)(2)やすむ。「歇坐ケツザ」(宴中の小休憩)「歇家ケッカ」(旅館)(3)つきる。「歇滅ケツメツ」(ほろびる)
蠍 カツ・ケツ・さそり 虫部 xiē
解字 「虫(むし)+歇(ケツ・やすむ)」の会意形成。夜行性の昆虫であるサソリをいう。昼間は岩陰や土の中、隙間などに隠れて過ごす虫であるので、歇(やすむ)を用いたものと思われる。なお、サソリの意味である蝎カツに通じ、カツの発音も慣用音となる。
サソリ(ウィキペディアより)
意味 さそり(蠍)。サソリ目の節足動物。尾の先の針に毒をもち刺す。蝎カツとも書く。「蛇蠍ダカツ」(蛇とさそり)「蠍座さそりざ」(サソリの形をした星座。夏の星座)「蝮蠍フクカツ」(まむしと、さそり。凶悪な人)
掲 ケイ・ケツ・かかげる 扌部 jiē
解字 旧字は揭で「扌(手)+曷(カツ⇒ケイ)」の形声。扌(手)で高くかかげることを揭ケイという。新字体は掲ケイに変化。
意味 (1)かかげる(掲げる)。高くさしあげる。「掲揚ケイヨウ」 (2)目につくよう示す。貼り出す。「掲載ケイサイ」「掲示ケイジ」
羯 カツ・ケツ 羊部 jié
解字 「羊(ひつじ)+曷(カツ)」の形声。カツは割カツ(わける)に通じ、オスの羊の精巣を取り去って去勢すること。また、羊を飼う民族である五胡(西晋末期から華北に侵入した5つの異民族)のひとつをいう。胡は中国の北方・西方に住む遊牧民族。
意味 (1)異民族の名。五胡のひとつで匈奴の別種。中国の山西省内に居住した。「羯鼓カッコ」(①雅楽に使う両面太鼓。②能楽や歌舞伎で使う小太鼓。異民族で五胡のひとつである羯ケツが用いた鼓から)(2)去勢した雄羊。「羯羊カツヨウ」
羯鼓(中国のネットから。https://baike.sogou.com/v494290.htm)
臈 ロウ 月部にく là
解字 「月(肉)+葛(ロウ)」の形声。ロウは臘ロウ(冬至の後、第三の戌(いぬ)の日に、猟のえものの獣肉を供えて先祖百神をまつる祭)に通じ、冬至後に歳を送る祭り。日本では、仏教寺院の僧侶の年功によって得られる身分をいい、地位の称。
意味 (1)まつりの名。冬至後に歳を送る祭り。(=臘ロウ) (2)[国]僧の位。また、宮廷の官女の高位のもの。「上臈ジョウロウ」(①修行を積んだ高僧。②宮中の高位の女官。③江戸幕府大奥の御殿女中の高位のもの)
偈 ゲ・ケツ イ部 jì・jié
解字 「イ(ひと)+葛(カツ⇒ケツ・ゲ)」の形声。サンスクリット語のqāthā(韻文の歌)の音訳字に用い、現在はこの用法が主になっている。
意味 (1)げ(偈)。梵語で仏の功徳をほめたたえる韻文体の歌。本来は「偈陀ゲタ」(サンスクリット語のqāthā(韻文の歌)の音訳字)だが、偈ゲ一字で表す。「偈頌ゲジュ」(仏の功徳や教えをたたえた歌)「偈文ゲブン」(偈の文章)(2)「偈偈ケツケツ」とは(骨折って努めるさま)
遏 アツ・とどめる 辶部 è
解字 「辶(ゆく)+葛(カツ⇒アツ)」の形声。進んで行こうとする者をとどめることを遏アツという。
意味 (1)とめる(遏める)。とどめる(遏める)。さえぎる。「遏雲アツウン」(行く雲をとどめる。歌声の美しいこと)「遏防アツボウ」(とどめ防ぐ)(2)たつ。禁じる。さしとめる。「禁遏キンアツ」「遏密アツミツ」(音曲停止。鳴り物をやめて静かにする。密は静の意)
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