憂 ユウ・うれえる・うれい・うい 心部

解字 金文の憂は種類が豊富だ。上左は目の上に髪の毛を描き、その下に手足をつけた人で、手が目の前に大きく描かれている。左下は坐り姿の人の目の前に手を独立させている。なぜ、手を強調させるのか。この姿は物思いに沈んでいるさまを表しているという説があるが、当たっているかも知れない。私たちも困ったことが起きたとき、手を額にあてて「まいったな」という動作をするではないか。
一方、金文の右上の字は、手を目の前に挙げているのは共通しているが、頭の部分が少し違う。[字統]は、この部分を頁ケツとし「頁ケツは儀礼をおこなうときの人の姿で、この場合は頭に喪章をつけた形である」とし、憂は喪中にあって愁(うれ)え佇む人の形」としている。右下の字に至って、これまでの3字はすべて頁ケツ(頭部を重点に描いた人)となり、その下に心のついた字になった。すなわち、これまで人物の動作で表された憂慮(うれえる)の意味は、心が受け持つようになったのである。篆文は「頁(下のハ⇒冖に変化)+心+夊(下向きの足)」からなる憂となり、現代字に至っている。
意味 うれえる(憂える)。うれい(憂い)。思いなやむ。つらい。「憂慮ユウリョ」「憂色ユウショク」(心配そうな顔色)「憂愁ユウシュウ」(心配と悲しみ)「物憂(ものう)い」
イメージ
「うれえる」(憂・優)
思い悩む人の心が「みだれる」(擾)
音の変化 ユウ:憂・優 ジョウ:擾
うれえる
優 ユウ・やさしい・すぐれる イ部
解字 「イ(人)+憂(うれえる)」の会意形声。憂える状態を演ずる役者のこと。悲劇役者を意味した。その演技が「上品でうつくしい」「やさしい」「すぐれている」意となる。
意味 (1)役者。「俳優ハイユウ」「女優ジョユウ」 (2)上品で美しい。やさしい(優しい)。「優美ユウビ」「優雅ユウガ」 (3)すぐれる(優れる)。「優秀ユウシュウ」
みだれる
擾 ジョウ・みだれる 扌部
解字 「扌(手)+憂(みだれる)」の会意。手でかきまわして、みだすこと。なお、擾は俗字で、本来の字の憂は、夒ドウ(猿の一種)。「扌(手)+夒ドウ(猿の一種)」は猿が手でかき乱す意。夒と似ている憂が代わりに用いられた。従って発音もドウが変化したジョウになっている。なお、(2)の、ならす意は猿を手なずける意からか。
意味 (1)みだれる(擾れる)。乱れる。みだす。かきみだす。「擾乱ジョウラン」(擾も乱も、みだれる意。いりみだれること)「騒擾ソウジョウ」(さわぎみだれる)「擾擾ジョウジョウ」(みだれるさま) (2)ならす。なつける。「擾化ジョウカ」(ならして感化させる)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。

解字 金文の憂は種類が豊富だ。上左は目の上に髪の毛を描き、その下に手足をつけた人で、手が目の前に大きく描かれている。左下は坐り姿の人の目の前に手を独立させている。なぜ、手を強調させるのか。この姿は物思いに沈んでいるさまを表しているという説があるが、当たっているかも知れない。私たちも困ったことが起きたとき、手を額にあてて「まいったな」という動作をするではないか。
一方、金文の右上の字は、手を目の前に挙げているのは共通しているが、頭の部分が少し違う。[字統]は、この部分を頁ケツとし「頁ケツは儀礼をおこなうときの人の姿で、この場合は頭に喪章をつけた形である」とし、憂は喪中にあって愁(うれ)え佇む人の形」としている。右下の字に至って、これまでの3字はすべて頁ケツ(頭部を重点に描いた人)となり、その下に心のついた字になった。すなわち、これまで人物の動作で表された憂慮(うれえる)の意味は、心が受け持つようになったのである。篆文は「頁(下のハ⇒冖に変化)+心+夊(下向きの足)」からなる憂となり、現代字に至っている。
意味 うれえる(憂える)。うれい(憂い)。思いなやむ。つらい。「憂慮ユウリョ」「憂色ユウショク」(心配そうな顔色)「憂愁ユウシュウ」(心配と悲しみ)「物憂(ものう)い」
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「うれえる」(憂・優)
思い悩む人の心が「みだれる」(擾)
音の変化 ユウ:憂・優 ジョウ:擾
うれえる
優 ユウ・やさしい・すぐれる イ部
解字 「イ(人)+憂(うれえる)」の会意形声。憂える状態を演ずる役者のこと。悲劇役者を意味した。その演技が「上品でうつくしい」「やさしい」「すぐれている」意となる。
意味 (1)役者。「俳優ハイユウ」「女優ジョユウ」 (2)上品で美しい。やさしい(優しい)。「優美ユウビ」「優雅ユウガ」 (3)すぐれる(優れる)。「優秀ユウシュウ」
みだれる
擾 ジョウ・みだれる 扌部
解字 「扌(手)+憂(みだれる)」の会意。手でかきまわして、みだすこと。なお、擾は俗字で、本来の字の憂は、夒ドウ(猿の一種)。「扌(手)+夒ドウ(猿の一種)」は猿が手でかき乱す意。夒と似ている憂が代わりに用いられた。従って発音もドウが変化したジョウになっている。なお、(2)の、ならす意は猿を手なずける意からか。
意味 (1)みだれる(擾れる)。乱れる。みだす。かきみだす。「擾乱ジョウラン」(擾も乱も、みだれる意。いりみだれること)「騒擾ソウジョウ」(さわぎみだれる)「擾擾ジョウジョウ」(みだれるさま) (2)ならす。なつける。「擾化ジョウカ」(ならして感化させる)
<紫色は常用漢字>
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