「礻しめすへん」と「衤ころもへん」は、似ており紛らわしい部首である。カタナカの「ネ」と同じなのが「礻しめすへん」で、礻にもうひとつ点を加えたのが「衤ころもへん」である。いずれも特殊化した部首だが、元の字は「礻しめすへん」が示、「衤 ころもへん」は衣である。衣は部首になるとき、衣が下につく形[襞(衣+辟)・製(衣+制)]、衣の上下が分かれて音符となる字を挟み込む「わりごろも」[裏(衣+里)・衷(衣+中)]と呼ばれるかたちになる。しかし、衣が偏になるとき 衤になるので、ネと間違わないよう注意が必要である。
まず「礻 しめすへん」の元になる示ジを見てみよう。
示 ジ・シ・しめす 示部
解字 甲骨文はT字形の祭卓の上に供え物をのせた形の象形。神を祭るとき、その上に供え物をのせた祭卓の形で、神霊がそこに降下し、そこに神の心がしめされるので、しめす意となる。篆文以降、下部にハがついた示になった。示は部首となり、偏になるとき新字体でネの形で用いられる。
意味 しめす(示す)。さししめす。おしえる。「示威ジイ」(威力を示す)「示現ジゲン」(示し表わす。この世に現れる)「示唆シサ」(それとなく示す)「示談ジダン」(話し合って解決する)
祈キにみる示へんの変遷
祈 キ・いのる
上は祈の示へん、下は祈の時代的な変遷
祈は篆文からある字。示へんは篆文で示を用いているが、隷書レイショ(漢代の役人が主に用いた字)から、一の下に不を付けた形になり、楷書で上の一が﹅(点)になったが下部は不に近い。旧字は清代の[康煕コウキ字典]に準拠したため再び示にもどり、第二次大戦後の新字体で 礻の形になった。
次に「衤 ころもへん」の元の字である衣イの変遷を見ておこう。
衣 イ・ころも 衣部
解字 衣の襟(えり)もとを合わせたかたちの象形。後ろの襟を立て、前の襟を合わせたかたち。
意味 (1)ころも(衣)。きぬ。身にまとうもの。「衣服イフク」「衣装イショウ」 (2)きる。身につける。「衣帯イタイ」(衣と帯。衣服を着て帯を結ぶ) (3)おおう。おおい。
裕ユウの字にみる衣へんの変遷
裕 ユウ 衤部
上は裕の衣へん、下は裕の時代的変遷、
裕の字は金文からあるが、篆文までは古代文字の衣と同じかたち。隷書(漢の役人が主に用いた書体)から短いタテ棒の下に不に点がついた形となり、現代字(楷書)で衤となった。こうしてみると、衣へんの上部は篆文に、下部はひとつ前の金文に源流があるように見える。
お知らせ
本ブログ掲載の漢字を選りすぐった「音符順 精選漢字学習字典」販売中!
まず「礻 しめすへん」の元になる示ジを見てみよう。
示 ジ・シ・しめす 示部
解字 甲骨文はT字形の祭卓の上に供え物をのせた形の象形。神を祭るとき、その上に供え物をのせた祭卓の形で、神霊がそこに降下し、そこに神の心がしめされるので、しめす意となる。篆文以降、下部にハがついた示になった。示は部首となり、偏になるとき新字体でネの形で用いられる。
意味 しめす(示す)。さししめす。おしえる。「示威ジイ」(威力を示す)「示現ジゲン」(示し表わす。この世に現れる)「示唆シサ」(それとなく示す)「示談ジダン」(話し合って解決する)
祈キにみる示へんの変遷
祈 キ・いのる
上は祈の示へん、下は祈の時代的な変遷
祈は篆文からある字。示へんは篆文で示を用いているが、隷書レイショ(漢代の役人が主に用いた字)から、一の下に不を付けた形になり、楷書で上の一が﹅(点)になったが下部は不に近い。旧字は清代の[康煕コウキ字典]に準拠したため再び示にもどり、第二次大戦後の新字体で 礻の形になった。
次に「衤 ころもへん」の元の字である衣イの変遷を見ておこう。
衣 イ・ころも 衣部
解字 衣の襟(えり)もとを合わせたかたちの象形。後ろの襟を立て、前の襟を合わせたかたち。
意味 (1)ころも(衣)。きぬ。身にまとうもの。「衣服イフク」「衣装イショウ」 (2)きる。身につける。「衣帯イタイ」(衣と帯。衣服を着て帯を結ぶ) (3)おおう。おおい。
裕ユウの字にみる衣へんの変遷
裕 ユウ 衤部
上は裕の衣へん、下は裕の時代的変遷、
裕の字は金文からあるが、篆文までは古代文字の衣と同じかたち。隷書(漢の役人が主に用いた書体)から短いタテ棒の下に不に点がついた形となり、現代字(楷書)で衤となった。こうしてみると、衣へんの上部は篆文に、下部はひとつ前の金文に源流があるように見える。
お知らせ
本ブログ掲載の漢字を選りすぐった「音符順 精選漢字学習字典」販売中!