先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

卓上四季 アイヌモシリ

2009-08-03 | 日記
(北海道新聞7月31日)
明治政府の目が東アジアに向かうのは、維新から間もない1870年代だった。朝鮮への侵略を図る征韓論が台頭し、最初の海外派兵とされる台湾出兵が行われた▼日中両国に従っていた琉球王国(沖縄)が、日本の単独支配になるのもこのころだ。「琉球処分」である。明治政府の威圧により、最後の琉球王・尚泰が首里城を明け渡す。現地では不服従運動も続いた▼琉球王国が、外務省管轄の「琉球藩」になるのと同じ年、北海道に「地所規則」「土地売買規則」がつくられた。アイヌ民族が狩りや漁をし、木の実や枝を得ていた土地の多くが国家のものになる。和人の移住者などに払い下げられてゆく▼入植は急増した。アイヌ民族独自の文化は否定され、日本化が求められた。こうした流れから、〈北海道「開拓」は(明治政府の)東アジア侵略の第一段階となった〉。北大名誉教授の井上勝生さんは、著書「幕末・維新」(岩波新書)で指摘する▼アイヌ民族への総合政策を示す有識者懇の報告書が出た。「同化政策でアイヌの文化は深刻な打撃を受けた」「圧倒的多数の移住者の中で被支配的な立場に追い込まれ」-ここにも書かれている▼アイヌモシリ(人間の大地)を奪った歴史は重い。文化復興に国の責任を認め、生活支援を求める報告書は当然として、それで十分か。「移住者」の流れをくむ者には、考える責任があろう。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/180132.html

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アイヌ民族学費貸付制度 助成に切り替えも

2009-08-03 | 日記
(朝日新聞2009年07月31日)
■アイヌ民族へ学費貸付制度 助成に切り替えも
■知事が示唆
 高橋はるみ知事は30日の記者会見で、道内に住むアイヌ民族の子供に対する学業支援のうち、現在実施している大学・短大などへの修学資金の貸付制度を、助成制度に見直す考えを示唆した。
 道は、道内に居住するアイヌ民族の子供が大学や短大・高等専門学校に修学する際、経済的理由で修学が困難な人などを対象に資金貸付制度を設けている。国公立大で月額5万1千円以内、私立大で同8万2千円以内。08年度は175人が貸し付けを受けた。
 「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」は29日、新たなアイヌ政策に関する報告書を河村官房長官に提出した。これを受け、高橋知事は記者会見で、アイヌ民族の生活向上政策を道として拡充する可能性を問われ、「学業支援の議論で、貸し付けにこだわらない発想が出てきているのであれば、見直すことも一つのテーマと思う」などと述べ、助成制度に切り替える検討を示唆した。
 ただ現行の貸付制度は国の補助金も入っており、高橋知事は「道だけではできない。国との相談が必要」と述べた。この制度をめぐっては、北海道アイヌ協会も2月、貸し付けから給付を想定した制度への変更を要望している。
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000907310005

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社説 アイヌ政策 復権への一歩を確実に

2009-08-03 | 日記
(北海道新聞 7月30日)
 アイヌ民族に対する新たな総合政策が政府に示された。絵に描いたもちにしないよう具体的な施策づくりに全力を挙げてほしい。
 政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」が報告書をまとめた。
 報告書はアイヌ民族を先住民族と認め、国の同化政策がその暮らしや文化に打撃を与えたと指摘した。
 その上で、国は生活・教育支援や文化復興に強い責任を持つとして、これらの施策の全国展開に主体となって取り組むよう求めている。
 教育・研究、展示、慰霊施設を核とする「象徴施設」の設置などを除けば、具体性に欠ける提言もある。
 ただ、1年間という限られた審議期間を考えればやむを得まい。文化振興に限定した従来の施策の幅を広げ、バランスの取れた内容にまとめたことを評価したい。
 国連の先住民族権利宣言と、これを受けた昨年の国会決議の意義を説き、尊重した姿勢も歓迎できる。
 素案にはなかった立法措置の必要性についても明記している。
 多様な政策の推進には、その理念や施策の立案、実施体制などを定めた法律が欠かせない。政治情勢に影響されず、着実に法案作成に取り組むよう政府に求めたい。
 報告書は、前半でアイヌ民族の受難の歴史を詳述した。全体の半分近くを民族の歩みに当てたことで先住民族としての位置づけ、国の責任を明示したのは適切だ。
 問題は、こうした歴史が全国的によく知られていないことだろう。それを踏まえ、主な政策課題として国民理解の促進を挙げた。
 義務教育が終わるまでにアイヌの人々の歴史、文化の基礎知識を学んでもらうよう要請。「アイヌ民族の日(仮称)」を設け、民族への理解を深める広報活動や行事を全国で実施することも提案した。
 いずれも国民全体に「民族共生」の意義を認識させ、差別や偏見を解消するための有効な取り組みだ。
 生活・教育支援の具体策は、新設を求めた常設審議機関に委ねた。
 アイヌの人々は生活保護率、大学進学率などで格差を負っている。ただ、道外居住者の生活実態は詳しく分かっていない。調査に基づき有効な施策を打ち出すべきだ。
 支援にはアイヌ民族の個人認定も必要となる。プライバシーに配慮した公正な方法を探ってほしい。
 「先住権」に基づく政治的な自決権は中長期の課題とされた。
 国会などでの特別議席は憲法に抵触する、と指摘した。アイヌの人々には、民族の総意をまとめる組織づくりも要請した。政治参画の在り方はなお論議を重ねるべきだろう。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/179953.html

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