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研究の現場から:「資源の呪い」海外で現地調査 /四国

2011-03-10 | 先住民族関連
毎日新聞 2011年3月9日 地方版

 ◇愛媛大法文学部国際開発論・栗田英幸准教授
 「資源の呪い」。天然資源に恵まれた国が、政治的な混乱、低い経済成長、人権侵害などに直面していることを示す言葉だ。愛媛大法文学部の栗田英幸准教授(40)は、フィリピンを中心に、天然資源が豊富な国を現地調査。「資源に依存しすぎた社会構造が、民主主義を壊している」と訴えている。
 栗田准教授によると、資源は価格が不安定なため、すぐに契約を切れる短期労働者に依存し雇用が不安定になる▽鉱山などの開発のためには地域住民の合意が必要だが、すぐに工事するためにごまかしや汚職が横行▽一部の技術者と大量の肉体労働者が必要で、教育レベルが2極化する--などの問題があるという。
 フィリピンは金やニッケルの産地。栗田准教授は18年前から年数回現地を訪れ、NGO(非政府組織)などと協力して聞き取り調査。行政が介入して開発に反対する地域のリーダーを交代させたり、海外の企業が「化学薬品を全く使わない」などとうそを言って地元と合意を取り付けていたことなどを明らかにした。「資源に依存した社会でいいのかについて答えが出ていないまま、資源に依存した経済を推進しているから、社会がむちゃくちゃになる」と話す。
 工学部生だった大学時代にフィリピンを訪れ、先住民が開発により土地を奪われている現実を見て、現在の研究を開始。最近は、オーストラリアやモザンビークでの調査も始めた。
 栗田准教授は「資源に依存する社会から被害を受ける人たちに貢献したい」と話している。【柳楽未来】
http://mainichi.jp/area/ehime/research/news/20110309ddlk39040617000c.html

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