朝日新聞 2011年11月15日
■尊厳ある慰霊へ一歩
■遺族に返還・集約へ
文部科学省が、全国の大学などに散らばっているアイヌ民族の遺骨の保管状況の把握に乗り出すことになった。遺骨をめぐっては、各大学などが可能な限り遺族に返還するとともに、身元が分からない場合、国が白老町に整備する「象徴空間」で慰霊する方針だ。国としての調査は初めて。
◇
14日、東京・霞が関で開かれた全国のアイヌ民族に必要な施策を議論する「アイヌ政策推進会議」の作業部会で、文科省が報告した。対象となるのは、全国の国公立大すべてと、アイヌ民族の遺骨を保持している可能性がある考古学系・医学系の私立大。調査内容は、(1)収集の経緯(2)大学の保管状況(3)保管数、などで、来年12月めどに回答を求めるという。
政府の調査によると、遺骨は江戸時代から人類学の分野で研究対象とされてきた。1865年には、英国領事館員らが道南地域2カ所のアイヌ民族の墓地を発掘し、持ち帰る事件があった。
その後も少なくとも戦前にかけて、日本人の起源をめぐる研究が盛り上がる中で各地で遺骨が集められ、大学で保管されたとされる。アイヌの人々の同意を得ずに集められたものもあるという。
アイヌ政策推進会議の「民族共生の象徴となる空間」作業部会が6月にまとめた報告書では、遺骨の返還や集約の進め方を検討するため、保管状況を把握するよう指摘していた。返還のめどが立たない遺骨を象徴空間に集約、尊厳ある慰霊をし、集約した遺骨をアイヌ民族の歴史を解明するための研究に寄与するともうたっていた。
日本人類学会は、北大や東大、京大、大阪大、東北大、新潟大などに約1500体あるとの報告をとりまとめている。北大には最も多い969体が保管されているとされ、1982年に当時の北海道ウタリ協会(現・北海道アイヌ協会)が、将来にわたってアイヌ人骨の供養に誠意ある措置をするよう北大総長に申し入れた。その後北大に納骨堂が整備され、協会主催でイチャルパ(先祖供養)が執り行われている。
(神元敦司)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001111150004
■尊厳ある慰霊へ一歩
■遺族に返還・集約へ
文部科学省が、全国の大学などに散らばっているアイヌ民族の遺骨の保管状況の把握に乗り出すことになった。遺骨をめぐっては、各大学などが可能な限り遺族に返還するとともに、身元が分からない場合、国が白老町に整備する「象徴空間」で慰霊する方針だ。国としての調査は初めて。
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14日、東京・霞が関で開かれた全国のアイヌ民族に必要な施策を議論する「アイヌ政策推進会議」の作業部会で、文科省が報告した。対象となるのは、全国の国公立大すべてと、アイヌ民族の遺骨を保持している可能性がある考古学系・医学系の私立大。調査内容は、(1)収集の経緯(2)大学の保管状況(3)保管数、などで、来年12月めどに回答を求めるという。
政府の調査によると、遺骨は江戸時代から人類学の分野で研究対象とされてきた。1865年には、英国領事館員らが道南地域2カ所のアイヌ民族の墓地を発掘し、持ち帰る事件があった。
その後も少なくとも戦前にかけて、日本人の起源をめぐる研究が盛り上がる中で各地で遺骨が集められ、大学で保管されたとされる。アイヌの人々の同意を得ずに集められたものもあるという。
アイヌ政策推進会議の「民族共生の象徴となる空間」作業部会が6月にまとめた報告書では、遺骨の返還や集約の進め方を検討するため、保管状況を把握するよう指摘していた。返還のめどが立たない遺骨を象徴空間に集約、尊厳ある慰霊をし、集約した遺骨をアイヌ民族の歴史を解明するための研究に寄与するともうたっていた。
日本人類学会は、北大や東大、京大、大阪大、東北大、新潟大などに約1500体あるとの報告をとりまとめている。北大には最も多い969体が保管されているとされ、1982年に当時の北海道ウタリ協会(現・北海道アイヌ協会)が、将来にわたってアイヌ人骨の供養に誠意ある措置をするよう北大総長に申し入れた。その後北大に納骨堂が整備され、協会主催でイチャルパ(先祖供養)が執り行われている。
(神元敦司)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001111150004