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質問なるほドリ:ヒグマに聴く 人と共存していくには? /北海道

2011-11-16 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2011年11月16日 地方版

 道内では今秋、札幌市など都市部でのヒグマ出没が相次ぎ、捕獲数は過去最多の689頭(15日現在)に上っている。どうして住み慣れた山の中から人里近くにやって来るのか。毎日新聞の紙面キャクター「なるほドリ」が、同じ動物仲間として、ヒグマに事情を聴いてみた(道自然環境課動物管理グループと、沢井アク・アイヌアカデミー代表の話を、中川紗矢子がまとめました)。
 ◇春~夏「僕らに意地悪を」 互いに出合わないのが幸せ
 なるほドリ どうして君たちは人里に下りてくるの?
 ヒグマ 今年は僕らの大好物ドングリ(ミズナラなどの実)をはじめ、よく食べる数十種類の山の実りのほとんどが不作で(※1)、冬眠前なのにおなかをすかせている。一部が食べ物を探し歩いているうちに街に出てしまったんだ。
 Q 人間も食べるの?
 A とんでもない! むしろ怖いよ。僕らは臆病なんだ。見つかったら、わなを仕掛けられたり、ハンターに狙われたりして殺されちゃうしね。そういう目には遭いたくないから、人間の皆さんには僕らが街に行きたくなくなるような対策を取ってほしいんだ。
 Q どうすればいいの?
 A 僕らは4~7月ごろ、秋以降に食料を調達できる場所がないか、あちこち見て歩くんだ。ハンター用語で「渡りグマ」って呼ぶんだけど、この段階で「二度と来たくない」と思わせればいい。秋に現れるクマは「戻りグマ」と言うけれど、渡りグマに意地悪することで戻りグマは近付かなくなるよ。
 Q 意地悪って?
 A 僕らにとって居心地の悪い場所にすることかな。例えば爆竹なんかで音を出したり、防風林を刈り取ったり。いろんな方法を組み合わせると効果的だよ。何より、食べ物が手に入らないようにすることが大事。生ゴミや農作物に近づけないように、ゴミ出しに注意したり畑に電気柵を設置したりすれば、仲間も怖い思いまでしてやって来ないさ。
 Q 共存のためには、お互い出合わない方がいいんだね。
 A そう。僕らは肉食のイメージが強いようだけど、基本的には草食。サケも知床などにいる一部のクマしか食べていない。それでも急に人と出くわすと、身の危険を感じて手を出すこともあるから、人間の皆さんも山の近くを歩く時は、音を鳴らしたりして居場所を知らせてくれると助かるな(※2)。
 Q ところで、ヒグマはアイヌ民族にとって特別な動物なんだって?
 A アイヌ語の「カムイ」(神様)が基本的に僕らのことを指すぐらい敬われていて、特別な儀式もある。アイヌの叙事詩「ユーカラ」にはクマが主役の物語がたくさんあるんだよ。僕らは生態系の頂点にいるから、たくさん殺して絶滅させてしまったら、いろんな問題が起きる(※3)。ヒグマの生きる環境を守ることは、人間や他の生き物のためでもあるんだ。
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 ※1 北海道大や林業試験場などの森林調査では、今年はヒグマが特によく食べる植物4種類(ミズナラ、ブナ、ヤマブドウ、サルナシ)の実が不作~凶作の判定。道によると昨年は大豊作で、その結果、今春に多くの子グマが生まれたと推測されるという。植物はエネルギーを蓄えるために周期性を持ち、豊作の翌年は凶作になりやすい。
 ※2 クマに遭遇してしまったら、どうすればいいか。知床財団によると、(1)距離が離れていれば、気付かれないよう離れる(2)近づいてくる場合は、大きく手を振りながら穏やかに声を掛ける(3)近距離で突然出合ったら、走らず両手を挙げて振りながら穏やかに話しかける--ことが原則。子グマは近くに親グマがいるので、近付くのは厳禁という。
 ※3 北大の坪田敏男教授(獣医学)によると、ヒグマは川魚を食べて海洋の窒素を地上に運んだり、木の実を食べて種子を広範囲に分布させるなど森林再生の役割も担っている。クマがいないと木の実を食べるリスやネズミが個体数を増やし、生態系のバランスが崩れることも考えられるという。

http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20111116ddlk01070197000c.html

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小刀、たばこ入れを展示 白老

2011-11-16 | アイヌ民族関連
(北海道新聞 11/16 10:00)

 【白老】アイヌ民族が木や動物の角などで作った小刀やたばこ入れを集めた企画展示「男の手業(てわざ)~マキリと煙草(たばこ)入れ」が、町内若草町のアイヌ民族博物館で開かれている。
 マキリはアイヌ語で狩猟や魚を取る時に使った小刀の意味。男性用で長さ30センチほどが多い。たばこは江戸時代から交易などで普及。伝統儀式でも使われ、葉を飾り箱に入れて持ち歩いたという。
 同館の所蔵品をはじめ、苫小牧や函館の博物館、浦河町や平取町の工芸家らの協力で計104点を展示した。木製の鞘(さや)や柄に細かい文様が彫られた小刀や独特な形の箱のほか、マキリなどが描かれたアイヌ民族の生活の様子が分かる絵画も公開した。
 同館は「元は生活用具だが、美しい彫刻や装飾が施されており、当時の人々の工芸技術の高さがうかがえる。芸術品としても楽しんでほしい」と話している。
 来年1月15日まで(12月29日~1月5日休館)。入館料(一般750円、高校生550円、中学生450円、小学生300円)が必要。同館(電)0144・82・3914。(阿部里子)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/332233.html

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