カラパイア2023年7月22日(土)22時10分

![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/ba/45628f7e44a99126e12dd96de3a995c1.jpg)
最初にニュージーランドを目指して移動した人々が、東南アジアから延々と海を渡って危険な旅をするのに、どれほどの体力を費やしたのか?
これを推測した初めての研究が、『PLoS ONE』誌(7月12日付)に発表された。
この研究結果から、現在のポリネシア人特有の大きくずんぐりした体格は、彼らの先祖が入植の際に直面した過酷な旅が原因だった、という長年の説を十分に裏づけていることがわかった。
・ポリネシア人とは?
ポリネシアは、オセアニアの海洋部の分類の一つで、太平洋のミッドウェー諸島(北西ハワイ諸島内)、アオテアロア(ニュージーランドのマオリ語名)、ラパ・ヌイ(イースター島)を結んだ三角形(ポリネシアン・トライアングル)の中にある諸島の総称である。
紫色の部分がポリネシア / image credit:public domain/wikimedia
ポリネシア人は、ポリネシアの島々に住む先住民族の総称で、ハワイ、ニュージーランド(マオリ族)、サモア、タヒチ、トンガなどが知られている。
高度な航海術を持っていたとされ、南極大陸に最初に到達した民族の可能性があるともいわれている。
ポリネシア文化は口承と物語、タトゥー、ダンス、彫刻、布地の染色と織りによって特徴付けられ、共通の祖先や神々への信仰を表現している。
ポリネシア人男性 / image credit:public domain/wikimedia・ポリネシア人の巨体の起源
どんな状況下であっても、この旅は大変困難だったことでしょう。私たちの研究結果は、大きな体が過酷な状況に直面したとき有利だった可能性を示しています
こう語るのは、論文の筆頭著者で、オハイオ州立大学地理学准教授のアルバロ・モンテネグロ氏だ。
東ポリネシアの大部分は熱帯気候だが、ニュージーランドを含めた南部の3分の1は、温暖から冷涼な温帯気候に属している。
この気候が、ニュージーランドが地球上で、人間が最後に定住した居住可能な場所のひとつだった理由の説明になるかもしれない。最初の入植者たちは、14世紀にニュージーランドにやってきた。
・過酷な移動を生き抜くには、エネルギーを体に蓄える必要があった
体の大きさが、航海中の体温調節のためのエネルギー消費にどのような影響を与えたかを評価するため、研究者たちは3つの体型を検討した。
ひとつは、現代のポリネシア人によく似た体型、ふたつ目は、もっと体重が重い体型、3つ目は、体重が重く、皮下脂肪もぶ厚い体型だ。
風や海流に基づいて1日に進める距離を推測できる、航海シミュレーションモデルを使って、気温や風など考えられる環境条件を組み合わせ、タヒチからニュージーランドまで航海するのに体温を維持するために必要なエネルギーを計算した。
研究者たちは、これをハワイへ航海する旅(およそ23日間)に必要なエネルギーと比較した。そして、体温を維持するためには、1日あたり平均965カロリーが余分に必要になることが明らかになった。
必要な追加エネルギーすべてを、脂肪を燃焼させることでまかなうとすると、ニュージーランドへ航海した人たちは、25日間の旅を通して、平均5.9ポンド(およそ2.6キロ)の体重を失うことになる。
この差を、筋肉量だけで補うとすると、全体重の減少はおよそ13.3ポンド(6キロ)になる。
最終的に、モデル計算では、体が大きい人は熱損失が少なく、体の小さい人よりもエネルギー保持という点で有利であることがわかった。この利点は、女性においてより顕著だった。
こうした発見は、今日のポリネシア人に見られる大型体型の理由にかなっていて、ポリネシア西部に住む人たちよりも、女性の場合はおよそ31%、男性は24%体重が重い。
そしてモンテネグロ氏はこう結論づけたのだ。
私たちの分析が、今日のポリネシアで見られる体格の違いが、最初の航海で体が大きかった人たちのほうがより多く生き残って、ニュージランドに入植したという結果をもたらしたと、明確に証明できるわけではありませんが、その事実と一致していることは確かです
References:How larger body sizes helped the colonizers o | EurekAlert!/ written by konohazuku / edited by / parumo
https://news.biglobe.ne.jp/trend/0722/kpa_230722_9199912329.html