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北海道新聞2023年10月11日 19:19
苫小牧工業高生が精製した鉄から作られ、アイヌ文様が刻まれた日本刀。手にするのは文様をデザインした関根さん=平取町二風谷(植村佳弘撮影)
【苫小牧】日本古来の製鉄法「たたら製鉄」に取り組む苫小牧工業高(苫小牧市)の教諭と生徒が精製した鉄を原料とし、刀身にアイヌ文様を彫刻した日本刀が完成した。文様は日高管内平取町二風谷のアイヌ工芸家関根真紀さん(56)がデザイン。アイヌ史に詳しい研究者は「日本の伝統技術とアイヌ文化が融合した貴重な品」と評価する。刀は14日の同校創立100周年式典でお披露目される。
刀は全長約40センチ、刀身約30センチの短刀。原料となる約12キロの鉄の塊は、同校実習担任教諭の柴野希生(まれお)さん(42)と定時制機械科の生徒がたたら製鉄で製錬した。
柴野さんは「先人の知恵を生徒に伝えたい」と2014年から市民団体「室蘭・登別たたらの会」で製法を学び、15年から実習に導入。同管内日高町の沙流川や苫小牧市の勇払海岸などで、生徒らと原料の砂鉄を集めてきた。
元々、刀に興味があり「作りためた鉄を活用し、北海道に根ざした刀を作れないか」と昨年4月、アイヌ文化の発信に熱心な関根さんに刀身彫刻のデザインを依頼した。関根さんは、刀身の表面にアイヌ文様のモレウ(渦巻き)をあしらい、裏面は二風谷伝統のイタ(盆)の文様にした。
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(斎藤雅史)