ハザードラボ-2015-08-28 14:16
震災後の人口流出で岩手県沿岸部の方言が危機に瀕していることが文化庁の研究協議会の調査で明らかになった(画像はNHK連続テレビドラマ小説「あまちゃん」より)
文化庁は8月27日、ユネスコが認定した「消滅の危機にある言語・方言」に照らし合わせて、存続の危機に瀕している国内の8つの言葉に関する初めての研究協議会を開いた。そのなかで、東日本大震災の被災地、岩手県では、若い世代が方言を話さず、沿岸部からの人口流出によって方言が忘れさられつつある現状が報告された。
ユネスコは2009年、世界各地の約2500の言語が消滅する可能性があるという調査結果を報告。日本では、アイヌ語をはじめ、八重山地方や与那国地方の方言など8つの言葉が危機にあると認定された。文化庁はこれを受けて2011年2月、国立国語研究所などに実態調査を行うよう求め、東日本大震災の翌年には東北地方へも対象を広げた。
27日に文化庁で開かれた第1回目の研究協議会では、調査にあたった岩手大学の大野眞男教授らの研究チームが報告。大野教授によると、調査は岩手県沿岸部の陸前高田市や大船渡市、宮古市など6つの市を対象に、「どの程度、次の世代に伝承されているか」「方言を話す人はどれだけいるか」「どのような場面で使用されているか」など9項目にわたって聞き取りがなされた。
その結果、岩手県の沿岸部で方言を話すのは、40代以上の親や60代以上の祖父母の世代ばかりで、40歳未満の子供や孫の世代は家庭内でもほとんど話さないことがわかった。さらに、震災以前からの過疎化に加えて、震災後は、内陸部や県外へ転出する若い世代が増えたことで、日常生活で方言を話すのは高齢者ばかりという現実が浮き彫りにされた。
大野教授は「高齢世代は方言に愛着を持っているが、次世代への継承には積極的とは言えない意識を持っている。震災で失われた人や社会的基盤を早急に復活し、地域文化としての言語を活性化させる機能が必要だ」と話している。
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/0/10802.html
震災後の人口流出で岩手県沿岸部の方言が危機に瀕していることが文化庁の研究協議会の調査で明らかになった(画像はNHK連続テレビドラマ小説「あまちゃん」より)
文化庁は8月27日、ユネスコが認定した「消滅の危機にある言語・方言」に照らし合わせて、存続の危機に瀕している国内の8つの言葉に関する初めての研究協議会を開いた。そのなかで、東日本大震災の被災地、岩手県では、若い世代が方言を話さず、沿岸部からの人口流出によって方言が忘れさられつつある現状が報告された。
ユネスコは2009年、世界各地の約2500の言語が消滅する可能性があるという調査結果を報告。日本では、アイヌ語をはじめ、八重山地方や与那国地方の方言など8つの言葉が危機にあると認定された。文化庁はこれを受けて2011年2月、国立国語研究所などに実態調査を行うよう求め、東日本大震災の翌年には東北地方へも対象を広げた。
27日に文化庁で開かれた第1回目の研究協議会では、調査にあたった岩手大学の大野眞男教授らの研究チームが報告。大野教授によると、調査は岩手県沿岸部の陸前高田市や大船渡市、宮古市など6つの市を対象に、「どの程度、次の世代に伝承されているか」「方言を話す人はどれだけいるか」「どのような場面で使用されているか」など9項目にわたって聞き取りがなされた。
その結果、岩手県の沿岸部で方言を話すのは、40代以上の親や60代以上の祖父母の世代ばかりで、40歳未満の子供や孫の世代は家庭内でもほとんど話さないことがわかった。さらに、震災以前からの過疎化に加えて、震災後は、内陸部や県外へ転出する若い世代が増えたことで、日常生活で方言を話すのは高齢者ばかりという現実が浮き彫りにされた。
大野教授は「高齢世代は方言に愛着を持っているが、次世代への継承には積極的とは言えない意識を持っている。震災で失われた人や社会的基盤を早急に復活し、地域文化としての言語を活性化させる機能が必要だ」と話している。
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/0/10802.html