赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

蜷川幸雄・ゴールドシアター

2015-04-15 08:25:58 | その他
蜷川幸雄さんひきいる平均年齢74才の劇団・さいたまゴールドシアターに友人がはいっています。パリ公演などもして、活躍なのですが、このところ、わたしも忙しくて見に行けないでいました。たまたま昨日、チケットがとれて、彩の国芸術劇場まで行ってきました。
『リチャード二世』蜷川さんが愛してやまないシェイクスピアです。


今回は、さいたまネクストシアターという若手の俳優たちとの共演。主役などは、20代の若いセクシーなイケメンが演じてました。
ただ、今回も演出には度肝をぬかれました。
最初、ゴールドの人たちは、車椅子にのって留め袖にカツラで登場するのです。一列になった車いすの集団が、、観客にむかってきます。これが息をのむ迫力。
そして、タンゴの音楽がなりだすと、たちあがり、車椅子をおしていた若手とペアで踊ります。足をからめて、老若男女がキレのあるダンス。濃艶でめまいがするような、異様な空気を放ちます。

ぱたっと音楽が止まると、車椅子たちはさっと左右によけます。そのできた広いスペースを、王を演じる若者がこれもまた、車椅子にのって登場するのです。この車椅子、玉座というわけです。

台詞はとても長い。シェイクスピア独特の比喩のちりばめられた台詞で、玉座をおわれる若い野心あふれる男の悲しみをろうろうと演じます。派手なしかけもないただ、黒いだけの舞台。でも、光りの演出がたくみでさまざまな影と光りをつくりだし、主役をいっそうひきたてます。
留め袖にしたのは、ルーマニア公演を意識した演出なのだそうですが、いいですよね。ドレスなら、ヨーロッパにはかなわないですから。黒の舞台に留め袖の女たち。燕尾服の若者。ヒゲをたくわえた老人……。

冷たい雨の中でしたが、行ってよかったと思いました。
友だちHさんとは、長いつきあい。童話で知り合い、一度はわたしのつくった同人誌「はなみずき」にはいって、作品をかいてくれた人。長い介護につかれはてて、自分を見失って1000人ほどのオーデションを勝ち抜きゴールドにはいりました。世界に羽ばたく公演にかかわっているHさんは、とても輝いていました。

わたしも、彼女の介護の苦労がわかる年になりました。あの時の彼女の大変さを身にしみています。
お互い忙しいのであまり会えないのですが、今回、無理してでも見に行ってよかった(*^_^*)。

帰り道、新しく俳優たちの手形のモニュメントができてました。
蜷川さんの手形も、春の雨にぬれていました。