赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

新刊『この川のむこうに君がいる』濱野京子

2018-12-06 08:59:11 | その他
濱野京子さんが新刊をだされました。高校一年生が主人公のYAです。


いや、これは心の奥を静かに揺すります。僭越ないい方に聞こえたらまずいのですが、濱野京子さん本領を発揮したなと思える作品でした。

東日本大震災で被災をした梨乃は、だれも知っている人がいない高校を選び進学する。被災のことも語らないで新しい自分を生きるつもりで。でも、そこには福島からきた遼という青年がいて、彼はあっけらかんと自分の境遇を語るのだ。

梨乃と遼は、ブラスバンド部の仲間となり、クラリネットをやりたかった梨乃はサックスに挑戦して・・・・・・

抑制のきいた悲しみの表現。
のびやかな音の表現と新しい楽器に挑戦する不安や喜び。
いろんなものがつまっています。

寂しさにはいろんな色があると、梨乃は思った。

とあるような しんみりした言葉があると思えば、

「さあ、行こう。みんな楽しんで。楽しくなきゃ音楽じゃないよ」
とはげます顧問の声もかかれています。

音楽が人の気持ちをほぐす効果があるのもよく伝わってきました。

そして、タイトルにもある川がいきています。

わたしは中学生の頃、高島平団地に住んでいました。その前は浦和。
この舞台である埼玉と東京のさかい目の荒川は時々あそびに行っていた場所です。戸田のボート練習場はいったことがないけど、行ってみたくなりました。

また、サックスの音色も行間からこぼれてくるような気がしました。

濱野さんは『東京クロスロード』でも根底に音楽が流れていて、音楽の表現に独特のよさがあります。
また、部活ものも『その角を曲がれば』などで定評がありますよね。

そして、震災。何度も福島、宮城に足を運んだ作者だからわかる思いがこめられています。
こういう作品に出会うと、わたしはなにをしてるんだと思いますよね。

個性が違うからマネしようとは思わないけど、それでもです。

この作品よりも先にアンソロジーもだされています

これは人気作家の個性の違いが読み取れて、楽しいものになっている。
タイトルもおもしろい。
こんな本屋さんに行けるなら、ギリギリになってみたいな。




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