「未曾有の災害に襲われた町。高校生のサナエは、幼い弟を連れて避難所に身を寄せていた。混乱の中、押し寄せるマスコミの取材にねじれた高揚感を抱くサナエ。だがいつまでも目を背け続けるわけにはいかない、いつか訪れなければならない場所があった。」
「強く、脆く、そして激しく--喪失の悲しみと絶望の底からの、帰還の旅路。」
既に父親を亡くしている女子高生が東日本大震災の大津波を目の当たりにして、母親とはぐれて幼い弟と二人で避難所にいれば、その精神状態は計り知れないものがあり、この様な状態になるのかも知れません。
多感な時期に・・、辛い現実から目をそらすのではなく、受け入れて・・、自分と正直に向き合い、弟と共に前を向く・・。
後半の話の展開には安易さも感じましたが・・、もう、大団円を望む年代になって来ているので・・。
読みだして間もなくデジャブがあり、少し前に読んだ「第四の暴力」にもあった災害報道取材のあり方に対する批判・・。
末尾の文芸誌掲載時の参考文献の扱い方に対する著者の謝罪文も気になる・・。
時間が経てば、「中野のお父さんは謎を解くか」の1話が出来そうな・・。
(19/07/09撮影)