アフリカで発生した人類が世界中に広がったと言う話は「へ~ぇ」だが、遠い昔に「月の沙漠をはるばると」通って交易をする話も小さな島国しか知らない者にとっては、やはり「へ~ぇ」となります。
タンザニアからやって来て、若干の違法行為を絡めながら香港在住の難民となった人達や、そこで行われる国際的な中古車販売を中心とする経済活動の仕組みの話。
ネット上に仮想プラットフォームを設定し、SNSを駆使して香港滞在ブローカー・アフリカにいるブローカー・輸入購入する一般消費者間・彼らの友人・知人間で商品情報をやり取りし、価格交渉し、クラウドファンディング的資金調達し、インフォーマルなシステムで送金する・・。(メルカリやヤフオクのような運営企業による担保は無いが、「SNSをそのまま活用していることが、ビジネスでの利益と社会的な実践とを自然なかたちで有機的に結びつけている。」)
「ソーシャルネットワークでは、助け合いが間接的に行われる。そこではもう『私があなたを助ければ、あなたが私を助けてくれる』という単純な前提は成り立たない。いまどきの助け合いの仕組みは『私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる』というものだ。」
一旗揚げようとアフリカから香港にやって来て、困窮した同胞人は進んで助ける・・、「相手が何者で何をして稼いでいるのか、なぜ良い人なのに悪事に手を染めているのか、なぜ彼/彼女は私に親切にしてくれるのかといった問いと切り離して、共に関わりあう地点を見つけられるのは、彼らが商売の論理で動くからである。」
「テクノロジーは信頼の輪を広げ、見知らぬ人とのつながりと協調の可能性を解き放ってくれるが、同時に人間同士の垣根を高め、閉鎖してしまうこともある。評判とレーティングは責任感を強め、他人に感じよく接しようという気にさせてくれるものの、社会がレーティングに頼りすぎれば、評価を汚されデジタルの煉獄に永遠に囚われる人達も出てくる」
「評価経済、評判資本、信用スコア、これらすべては、信用の不履行を防ぐことではなく、信用の不履行を引き起こしそうな人間を排除するアイデアである。シェアリング経済は・・、誰にでも開かれている仕組みでもない。」
昔ラクダ、今コンテナ船・・、タンザニア人の生き方の一端を知り、全く世界の動き(人々の行動)を知らない事を思い知らされる興味深い本でした。(学者の論文的分析の難しい部分もあるが。)
話は変わって、おそらく最後の自家用車になるサポカーを購入した時、サービスで1万円の下取り価格にしておきますと言われた車は輸出されるのかと尋ねたら、曖昧な返事しか返ってこなかった・・、アフリカまで行くのかも知れない・・。
(20/09/16撮影)