《北海道のカルデラ地帯で孤立した青年が熊や野犬と戦い、人間の生きる本能を覚醒させてゆく―。圧倒的なスケールで描く肉体と魂の成長物語。》
《誰に望まれなくても、お前は生きろ。
豪放でワンマンな父親のもとで育った貴美也は大学を休学中のニート。親に反発しながらも庇護下から抜け出せずにいる。そんな彼を父親は、北海道での狩猟に連れ出した。地元ガイドの話を無視し、大物の雄鹿を仕留めるために、父子はカルデラ地帯の奥深く分け入っていく。そこに突然熊が襲ってきた。なすすべなく腹を裂かれて死ぬ父親。ひとり取り残された貴美也。後ろから気持ちの悪い唸り声が追ってきた。情けなく涙と涎を垂らし、悪態をつきながら、貴美也は逃げる。ただ、死なないために。
自分の傲岸なまでに強靭なエゴに支配される人間。人間に従属する歴史を繰り返した犬。人間の営みにより生活をおびやかされた熊。残酷だが美しい、それぞれの生――そして青年は覚醒する。》
前回読んだ「颶風の王」は馬、今回は犬、いずれもかつては人間と共に暮らした・・、出来過ぎ感はあったが、大変面白かった。
(この著者の作品3作目だと思っていたら、「土に贖(あがな)う」を2.75年前に読んでいました。)
(画像借りました。)
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