「東京オリンピック((注)1964年)の前年、男は出稼ぎのため、上野駅に降り立った。そして男は彷徨い続ける、生者と死者が共存するこの国を―。」
「一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた――東京オリンピックの前年、出稼ぎのため上野駅に降り立った男の壮絶な生涯を通じ描かれる、日本の光と闇……居場所を失くしたすべての人へ贈る物語。」
「2020年全米図書賞 翻訳文学部門」受賞のニュース時、著者のインタビューも流れていて・・、機会があればと思っていた所、図書館に並んでいました。
悲しくなる話でした。・・自分はどうなんだろう・・。
分かりにくい所もありましたが、「あとがき」により理解が深まったので、長めの抜粋をさせて頂きます。
「・・二〇〇六年に、ホームレスの方々の間で「山狩り」と呼ばれる、行幸啓直前に行われる「特別清掃」の取材を行いました。・・彼らと話をして歩き、集団就職や出稼ぎで上京してきた東北出身者が多い、ということを知りました。・・「あんたには在る。おれたちには無い。在るひとに、無いひとの気持ちは解らないよ」と言われました。・・二〇一一年三月十一日に東日本大震災が起きました。・・この地に原発を誘致する以前は、一家の父親や息子たちが出稼ぎに行かなければ生計が成り立たない貧しい家庭が多かった、という話を何度も耳にしました。・・家を津波で流されたり、「警戒区域」内に家があるために避難生活を余儀なくされている方々の痛苦と、出稼ぎで郷里を離れているうちに帰るべき家を失くしてしまったホームレスの方々の痛苦がわたしの中で相対し、・・先日、東京五輪の経済効果が二十兆円、百二十万人の雇用を生むと発表されました。・・多くの人々が、希望のレンズを通して六年後の東京オリンピックを見ているからこそ、わたしはそのレンズではピントが合わないものを見てしまいます。・・二〇一四年二月七日」
(21/05/22画像借りました。)
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