
サロベツ湿原から40号線(稚内国道)に出てその道を北上して稚内市に出た。直ぐに礼文、利尻島へのフェリーの発着ターミナルに向かいカウンターで「利尻でも礼文でも早く行かれるフェリーに乗りたい」と申し出ると「礼文島なら直ぐに出港するフェリーが有ります」との返事、稚内~礼文~利尻~稚内の周遊の乗船だと割安に成るので其の券を購入し岸壁に向かうと係員が待ち構えて折、私の車が乗船するとフェリーは直ぐに出港した。正に抜群のタイミングで昨日までの3連敗を少し取り戻した気がした。上に上がると客室は満杯状態、其の大半は同世代か?少し年配の女性の集団でごった返していて賑やかな事、此の年齢に成ると世間の荒波を越えて来た強者ばかりなので少し座席の隙間が有っても割り込むには可也の度胸が必要なので小心者の私は仕方なく甲板に出て海の景色を見ることにした。
稚内港~礼文、利尻島間を運行するフェリーはハート・ランドフェリーで船は然程大きくは無かったがターミナルやカウンターの対応は素晴らしく新日本海フェリーに匹敵し何処かの温泉のホテルとは雲泥の差・・・・全てが洗練されていた。稚内港~礼文島間は距離で50Kmくらいだろうか?出港は16時30分で礼文には18時10分の予定、夏至が近く夕暮れが遅いので場所さえ見付かれば運用は可能な感じ船はベタ凪の鏡の様な海を礼文島へと進んだ。
出航して1時間くらいした時、甲板で女性の方が海を見ていた横を通った時に地元の人と勘違いしたのか?(その時の私の姿は半ズボンにヨレヨレのTシャツ、野球帽を被りサンダル履き、オマケに北海道では珍しい程日焼けした漁師並みの顔)「利尻富士が見えないけど何の方向ですかね?」と聞かれ「斜め前の左側と思います今はガスって居るので見えないのだと思います」と答えたら相手は其の遣り取りで「関西の人ですか?」と聞いて来て「四国の徳島です」と答えると「やっぱり私は大阪の高槻です徳島には釣りに行くんですよ」と話し掛けてきた。客室に居る様な香水の匂いがプンプンする標準語を喋る奥様は苦手だがザックバランな大阪のオバチャンならお話しは出来る。調度、暇を持て余して居たのでお相手をしていたら話は入港前まで続いた。
聞く処に寄ると娘さんが看護師をされていて少し前に礼文島に興味を持ち礼文島の病院に転勤願いを出し勤務しているらしく母親の「釣りキチ」を知って居るので招待されたらしく礼文島で北海道の魚を釣りまくる予定だとか?娘さんの以前の勤務地は瀬戸内の島でその時も招待されて瀬戸内海の魚釣りを堪能した話等をしてくれた。歳はほぼ同年代、日頃は主婦業と孫のお守で忙しい日々を過ごしているが今回は楽しみで釣り竿を担いで遠い北海道に一人で来たと話していた。「処で貴方は?」聞かれて退職して日本をゆっくり回りたいと思い5年で一回りして今回は4年振り、振り出しの北海道、特に礼文の花を見る為にこの時期を選んでやって来た事を話したら「何時、北海道へ?」と聞かれ「18日の舞鶴発の新日本海フェリー」で来た事を話すと「一緒の便やね」と船旅の事で盛り上がり話が弾んだ。
奥さんとは入港前に別れたが礼文島での運用の翌日の朝、「狭い島で見掛けなかったと思ったら貴方こんな所で何をしよるん?」と娘さんと同伴で突然の訪問、興味があるのか?車の中を覗いていたので30分程、アマチュア無線の説明と車での車中泊を再現して見せたら「よう 遣るわ・・・」の感じで笑っていた。出会いは此れだけに終わらず後の利尻町の運用場所(利尻富士の見返り展望台)にも現れて「見付けた~」と笑って話し掛けて来たし利尻島の出港前にも私に手を振る人が居たので誰かと近づくと例の親子連れで「ようけ釣れたわ」と釣り上げた獲物を見せてくれた。奥さんにオバちゃんは甚だ失礼な表現だが関西人の「臆くさ無い 人慣っこさや、陽気な人柄の良さは」此の表現がピッタリするので敢えて使わして頂く、しかし呉呉も関西のオバちゃん独特のえげつなさや厚かましさを感じる人では無かった事を補足しておく。
日頃、小心者の私が旅先で出会って女性と楽しくお話できたベスト3
1、 何たって今回の高槻の奥さん 3日間に及ぶ出会いで楽しい時を過ごす事が出来た。しかし名前も知らない
2、 2011年の沖縄と離島への移動運用で与論島で出会った土産物売り場の奥さん、土砂降りのスコールで「お茶でも飲んで休んで行きなさい」と呼び止められてお茶は出るしジュースは出るし最後はラーメンまで御馳走に成った人
3、 2010年の山形県の金山町で出会った奥さんで運用後に現れて「こんな車中泊で主人も良く出掛けるので」よく似た事している人が居るもんだと話し掛けてきた人「ご主人はアマチュア無線の移動運用をしているんですか?」と聞いたら「そんな事はしていない」と答えたので「一人旅だと何を遣っているのか?解りませんよ」と言ったら「それじゃ貴方もそんな悪い事をしているの?」と切り返して来た奥さん そして別れ際のキツイ一言「色々貴方とお話したけど貴方の言葉が訛っていたので良く解らなかったわ」と東北の人に言われてしまった事
このような事は滅多に無いが人との出会いは時々思わぬ展開を見せ楽しい思い出として残る。旅だから成せる技であろうか?
写真は礼文に向かうのに乗船したハート・ランドフェリー 2枚目は澄海岬 3枚目はスコトン岬 4枚目は礼文の代表的な花 礼文アツモリ草 今年は開花が早く一部花弁が枯れかかっている。