共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

いざ!閻魔詣!

2016年08月16日 18時27分40秒 | 神社仏閣
今日は秦野市蓑毛にある寳積寺に行きました。ここに来るのは、昨年秋の秦野市文化財特別公開以来です。

今日8月16日は御盆の終わりで『地獄の釜の蓋が開く日』なのだそうです。それで、ここにある《茶湯殿》という御堂の中には閻魔大王をはじめとした十王や地蔵菩薩、鬼卒や奪衣婆といった、いわゆる地獄の沙汰に関わる様々な登場人物の木像が安置されていて、毎年この日に『閻魔詣』というものが挙行されるとのことでやって来ました。



神奈川県内には鎌倉の円應寺(えんのうじ)をはじめとして十王像のあるお寺が幾つかあります。ただ、ほぼ等身の十王像が揃って残っているのは、ここ茶湯殿だけということです。



茶湯殿の中心には、大きな地蔵菩薩座像が安置されています。そして、その両側に泰廣王から閻魔大王に至るまでの十王の像が睨みを効かせて居並びます。



こちらは地蔵菩薩座像の隣の閻魔大王座像です。十王像の目には水晶で作った玉眼が嵌め込まれています。御灯明の灯りで下から照らし出されるとリアルに光って、それはそれは恐ろしい形相で観る者に迫ります。今よりももっと暗い中でこれらの像を観た昔の人達は、さぞ恐ろしかったことでしょう…((゚□゚;))。

この閻魔詣は夜が面白いのだそうですが、今日は夜から台風絡みの悪天候に見舞われる予報が出されていることもあって、残念ながら今日は御遠慮申し上げました。
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こちらも怖い…((( ;゚Д゚)))

2016年08月16日 18時22分55秒 | 神社仏閣
茶湯殿の入口脇には、地獄の沙汰の場面を描いた絵解き物が置かれていました。



人は亡くなると、初七日から生前の行いについて様々な尋問が行われると言われています。仏教で定められた戒律を破ったことはないか、嘘をついたり人を騙したりしたことはないか、男女の間違いを起こしたことはないか…ありとあらゆることが微に入り細を穿って調べ上げられます。そして最後に閻魔大王の前に引き据えられ、目の前にある浄瑠璃鏡で生前の悪行が映し出され、六道輪廻や地獄行きといった亡者の行く先が決まるのです。



こうした絵解き物は、人々の心を戒めるのに絶大な効果を発揮したのではないかと思います。これなら字の読めないような小さな子供でも、地獄の沙汰の恐ろしさが骨身に沁みたことでしょう。それに加えて、立体化された木像までが睨みを効かせて居並んでいるとあれば、その効果は絶大だったのではないでしょうか。



ところで、十王像のいくつかは玉眼が抜け落ちてしまっています。これは玉眼に嵌められた水晶を盗人に盗られてしまった痕です。まぁ、金に困っての犯行でしょうが、よりにもよって地獄の沙汰の諸王の目玉をくり貫こうとは、胆の据わった盗人もいたものです。

現在、少しずつではありますが修復作業が進められていて、 徐々に玉眼が戻りつつあります。ただ、ものが水晶という半貴石なだけに技術的にも金銭的にも厳しいものがあるらしく、なかなか予算が付かずに進まないということでした。

こうしたところに、地方都市の文化財管理の問題点を垣間見てしまったような気がしてしまったのでありました。
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