共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

今日はブルグミュラーの命日〜絶滅楽器アルペジョーネのための作品《3つのノクチュルヌ》から

2022年02月13日 18時18分20秒 | 音楽

今日は、昼前から冷たい雨が降り始めました。今夜から明日未明にかけてまたしても降雪が予報されていますが、実際に降るかどうかは微妙な情勢です。

ところで、今日2月13日はブルグミュラーの命日です。



ヨハン・フリードリヒ・フランツ・ブルグミュラー(1806〜1874)はドイツで生まれフランスで没した作曲家で、現在では特にピアノ練習曲の作曲で知られています。

ブルグミュラーは、ドイツ・デュッセルドルフ市の音楽監督を務めていたヨハン・アウグスト・フランツ・ブルグミュラー(1766〜1824)の息子として、レーゲンスブルクで生まれました。

1832年からは1874年の2月13日に没するまでフランス・パリを中心として活動し、ピアノ曲や少数のオペラやバレエ音楽を作曲しました。特にバレエ音楽では、アドルフ・アダン作曲のバレエ《ジゼル》の第1幕後半に『村娘のパ・ド・ドゥ』と呼ばれる部分を追加作曲もしていて、この部分はブルグミュラーのオーケストラ作品を聴ける貴重な場面となっています。

ブルクミュラーが作曲したものの中でもとりわけ有名なのは、なんと言ってもピアノ練習曲です。特に《25の練習曲 作品100》は日本の音楽教室でピアノ教則本として採用されていて、大体中級クラスくらいでは作品100の中の『アラベスク』や『貴婦人の乗馬』といった曲を練習曲としています。

さて、そんな有名どころを拙ブログで紹介しても面白くないので(オイ…)、今日はブルグミュラーのちょっと変わった作品を紹介しようと思います。それは、アルペジョーネのために作られた《3つのノクチュルヌ》です。

以前にも載せたことがありますが、アルペジョーネとは1824年頃にウィーンのギター製作者ヨハン・ゲオルク・シュタウファー(1778〜1853)が開発した



6弦の擦弦楽器で、その形態と奏法からギターチェロとも呼ばれたものです。この楽器のためにシューベルトが有名な《アルペジョーネソナタ》を遺しましたが、音量の乏しさや演奏の煩雑さから残念ながら絶滅してしまいました。

それでも開発当初にはそれなりの人気を博したようで、様々な曲や教則本が出版されていました。ブルグミュラーもアルペジョーネのための教則本や練習曲を出版しましたが、その中にあるのが《3つのノクチュルヌ》です。

聴いていただけると分かると思いますが、この作品はブルグミュラーの一連のピアノ練習曲にも見られるような優しい雰囲気に満ちた愛らしい小品となっています。当時の愛好家たちも、好んで演奏していたようです。

そんなわけでブルグミュラーの命日である今日は、珍しいアルペジョーネのための作品《3つのノクチュルヌ》から第1番をお楽しみいただきたいと思います。チェロでもヴィオラ・ダ・ガンバでもないアルペジョーネ独特の音色を、ギター伴奏と共に御堪能ください。


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