今日は1月8日、初薬師の日です。毎月8日と22日は薬師如来の御縁日で、特に年が明けて初の御縁日であることから、この日は初薬師とされています。
そんなわけで、今日は久しぶりに伊勢原市にある霊山寺宝城坊、通称日向薬師(ひなたやくし)に参詣することにしました。
日向薬師はかつて日向山霊山寺といわれ、元正天皇の霊亀2(716)年に行基菩薩によって開創されたと伝えられています。こちらの日向薬師は、愛知県新城市の峯薬師(鳳来寺)、高知県長岡郡大豊町の柴折薬師(豊楽寺)と共に日本三薬師の一つとされています。
伊勢原駅から日向薬師行きのバスに揺られること20分あまり、終点で下車して急角度の石段を登ると
仁王門が姿を表します。こちらでは
天保4(1833)年に作られた3m半の阿吽の仁王像が、聖域を守護すべく睨みをきかせています。
そこから更に自然石で作られた石段を息を切らせながら登っていくと、
幟旗が並ぶ石段の向こうに茅葺きの大屋根が見えてきます。
石段を登り切ると
青空の下に茅葺き屋根の本堂が姿を表します。こちらは山の中腹にあって標高が高いこともあって、境内や
手水舎の屋根には先日の雪がまだ残って、陽の光に照らされてキラキラと輝いていました。
立派な茅葺き屋根の本堂の前には
御本尊の薬師如来坐像の指から繋がる五色の糸が結ばれた御結縁柱が立てられています。訪れた参拝客は順番に柱に触れて、御本尊との縁を結んでいました。
その隣には
鉄筋コンクリート造の宝物殿があります。こちらの御本尊は
平安時代中期の鉈彫の名品として名高い秘仏の薬師三尊像です。 その他に薬師三尊を収める御厨子やそれを守護する四天王像や十二神将像、丈六の薬師三尊像や阿弥陀如来像など、25点の国の重要文化財があります。
今日は初薬師ということで、秘仏薬師三尊を収めている御厨子が御開扉され、
御導師様によって法要が挙行されました(上の写真は2016年に行われた法要の様子)。ただ、例年なら上の写真のように参拝客も参列しての法要となるところ、新型コロナウィルス蔓延防止の観点から今年は法要中の同席は叶いませんでした。
その他にも境内には
本堂と同様に茅葺き屋根の鐘堂があります。通常こうした鐘楼の柱は四隅に四本ですが、こちらの鐘堂の柱は
一隅に三本の柱が建てられています。一節には四隅合わせて十二本の柱が、薬師如来の眷属である十二神将を表しているともいわれています。
一通り境内の冷たく澄んだ空気を満喫してから、ゆっくりと山を降りました。毎年ある薬師粥のお振舞いがコロナ対策で中止になってしまったのは残念でしたが、それでも御縁日ならではの厳かな雰囲気を味わうことができて、幸せな気持ちになることができました。