昨日ほどではないにせよ、今日も日中は30℃を超える暑さとなりました。今日から小学校が夏休みに入りましたが、このタイミングで昼間に出かけなくて済むのは助かります。
4月から新たな学校での就業でバタバタでしたが、今日からしばらくはゆっくりと休養できそうです。これから40日ちょっと、私はダメ人間になります!(オイ…)
ところで、今日7月21日はアイザック・スターンの誕生日です。
アイザック・スターン(1920〜2001)はユダヤ系のヴァイオリニストで、20世紀から今世紀初頭にかけての時代を代表する名演奏家のひとりです。
アイザック・スターンはポーランド(現ウクライナ)のクレメネツで、ユダヤ人の家庭に生まれました。1928年には8歳にしてサンフランシスコ音楽院に入学し、1931年まで学びました。
1936年2月18日、15歳の時にピエール・モントゥー指揮のサンフランシスコ交響楽団とサンサーンスの《ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調》を演奏してデビューしました。1940年にはロシア出身のピアニストのアレクサンダー・ザーキンと演奏を始め、1977年まで名コンビとして共演していました。
1960年代には『カーネギーホールを救う市民委員会』を組織し、ニューヨークのカーネギーホールを取り壊しから守るために大きな役割を果たしました。カーネギーホールがニューヨーク市に買収された後に『カーネギーホール・コーポレーション』が設立されるとその初代社長に選ばれ、亡くなるまでその職を務めました。
1960年代から70年代にかけてピアニストのユージン・イストミン、チェリストのレナード・ローズと室内楽トリオを結成し、その録音ではグラミー賞を受賞しました。また1980年代から90年代にかけては、ピアニストのエマニュエル・アックス、ヴィオリストのハイメ・ラレド、チェリストのヨーヨー・マらとモーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、フォーレなどのピアノ四重奏曲を録音し、1992年にはブラームスのピアノ四重奏曲でグラミー賞を受賞しました。
他にも、1971年に公開された映画《屋根の上のバイオリン弾き》のサウンドトラックにヴァイオリンのソリストとして参加し、作中のヴァイオリン演奏の吹き替えも行っています。また、1999年には映画《ミュージック・オブ・ザ・ハート》に出演し、イツァーク・パールマンやジョシュア・ベルをはじめとする有名なヴァイオリン奏者たちと共に、メリル・ストリープ率いる青少年オーケストラと共演しています。
アイザック・スターンが録音した作品にはバッハ、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームス、シベリウス、チャイコフスキー、ヴィヴァルディなどの協奏曲や、バーバー、バルトーク、ストラヴィンスキー、バーンスタイン、デュティユーなどの現代作品があります。室内楽でもバッハの無伴奏ソナタ・パルティータやモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、フォーレ等のヴァイオリン・ソナタを精力的に録音しています。
そんな中で、今日はスターンの演奏で個人的に大好きなフランクのヴァイオリン・ソナタをご紹介しようと思います。
セザール・フランク(1822〜1890)の《ヴァイオリン・ソナタイ長調》はフランス系のヴァイオリンソナタの最高傑作といわれ、同郷の後輩であるヴァイオリニストのウジェーヌ・イザイの結婚祝いとして1886年に作曲・献呈された作品です。このソナタの特徴としてはピアノとヴァイオリンとの音楽的内容が対等で、単なるピアノ伴奏付きのヴァイオリン・ソナタというよりもピアノとヴァイオリンのグランデュオとでも呼ぶべき大曲です。
スターンによるフランクの録音といえば、1959年にザーキンと録音したものが名盤とされています。ただ、今日はそれよりも下った1985年のライブ映像をご紹介しようと思います。
この時スターンは65歳、正に円熟の境地にあって尚、瑞々しい音色と豊かな表現には圧倒されます。スターン愛用のグァルネリ・デル・ジェスの響きも見事です。
そんなわけでアイザック・スターンの誕生日である今日は、フランクの《ヴァイオリン・ソナタイ長調》から終楽章の演奏動画を御覧いただきたいと思います。還暦を過ぎてますます冴え渡る、圧巻のライブ演奏をお楽しみください。