今日小学校で、個人的に初めて保護者からのクレームの現場に出くわしました。その内容に私も関わっていたため、その現場に同席することになったのですが…。
今日、一年生の時間割の中に音楽があり、そこで
鍵盤ハーモニカを使った授業をしました。その際、私が実演と指導を担当して、鍵盤ハーモニカをケースから出すところから、吹込みホースをつなぎ、実際に吹きながら音を出し、片付けるところまでの一連の手順を指導しました。
今は新型コロナウィルス対策のために、楽器を片付ける際には吹込みホースと唾抜きに使うガーゼ、楽器の下に敷くタオルは楽器とは別のジップロック的な袋に入れて、使う度にそれらを持ち帰って洗ってくることになっています。今日の音楽の時間では、そこまでを全員にやらせて、持ち帰るものは各々のランドセルの中に仕舞って終わりました。
ところが、子どもたちを学校から送り出して教室の除菌作業を済ませた頃に、職員室から連絡がありました。何でも、一人の子が違う子の持ち帰りセットを持って帰って来たがどういうことなのか?…ということで、親御さんが説明を求めに学校に来ているというのです。
本来なら、その時点で私の今日の契約時間は終了していました。しかし、他ならぬ私が関係した内容のことだったので、話し合いの場所に顔を出すことにしたのです。
既に教頭と音楽専科講師、担任教諭(いずれも女性)と、間違えたセットを持って帰ってしまった子のお母さん…と思いきやまさかのお父さん(!)が対峙しているところに後から私が入室すると、一瞬やり取りがフリーズしました。そこで改めてお話を伺うと、自分の子が違う子の道具を持ち帰ったことについて、どういう経緯でそうなったのかを知りたい…ということでした。
しかし…
他の先生方は氣づいておられなかったようですが、私(男)が入室した途端、明らかにそのお父さんのクレームのトーンが下がったのです。よく見ると、ほぼスキンヘッドに黒無地のポロシャツ、バミューダパンツに素足にツッカケという、およそ普通の会社勤めの方にはお見受けしない風貌でした。
そんなお父さんからしばらく奥歯にモノの挟まったような御意見が続きましたが、他ならぬ我が子自身が間違えて持って帰ってしまったことですからお父さんとしても学校側を糾弾するだけの材料に乏しかったのでしょう、最終的には
「ウチの子もボ〜ッとしてるから、どこかで勘違いしたのかもですね〜。」
と、頭を掻きながら笑って帰っていきました。
これは個人的な穿った見方ですが、あのお父さん、あの目の光り方からするだに、もしかしたら恫喝しにわざわざ学校まで来たのではないかと…。
まぁ、そんなこんなで学校側としては事無きを得たわけですが、このお父さん、帰り際に言い出したことには
「今後はウチの子どもが持ち帰る物のチェックを、必ず担任の先生にしてもらいたい。」
ご冗談を…
新一年生は1クラスに25〜26人もの子どもたちがいます。そして、彼等の判断能力や理解度は必ずしも一定ではありません。
ましてや今年度は平時と違って、新型コロナウィルスの影響で丸々2ヶ月授業が出来ていない状況なわけです。今は7月ですが、実質的には5月くらいの感覚と言えば分かって頂けるでしょうか。
そうした特殊な状況の中でも担任は決められたカリキュラムを消化していかなければならないため、個々と関わることよりどうしても全体の流れを見ながらクラス運営を進めていく必要があります。それなのに
「ウチの子どもの動向に目配りしろ」
なんて、どんだけ学校側に仕事をおっ被せようとしているのでしょうか。
実際の教育現場に入ってみると、担任の先生の仕事量がいかに膨大かが分かります。聞くところによると日本の学校教員は世界的に見ても就業時間が圧倒的に長いと言われていますが、実は授業以外の雑務が多いことにも驚かされています。それに加えて今年度は新型コロナウィルス対策という、今までに誰も経験したことの無い特殊な教室運営を迫られているのです。
なので、学校にお子さんを通わせている全ての親御さんにお願いです。そんな多忙を極めている先生に、家庭内や保護者同士で解決出来そうなつまんない余計な仕事を増やさないでもらえないでしょうか…。