今日はいよいよ真夏日となりました。まだ5月だというのに、こんなに暑くてはたまったものではありません。
今日は、日中はとにかく自宅に引きこもっていました。夕方になって強烈な日差しと猛烈な暑さが一段落した頃に、ちょっとした買い物をしに近所のホームセンターに出かけました。すると、その道すがらのお宅の垣根の下から
愛らしいバーベナの花が顔をのぞかせていました。
ヒマワリでも咲いてしまいそうなあまりの暑さに忘れかけていましたが、そういえば今はまだこの花が咲くような時期なんだな…と再確認させられました。5月にこんなに暑くなるなんて、本当にやめてほしいものです…。
ところで、バーベナの花を見ると思い出すのがプッチーニの歌劇《蝶々夫人》のアリア『ある晴れた日に』です。オペラの第二幕でアメリカに発ってしまった夫ピンカートンを待つ蝶々さんが、帰ってくることを訝り嘆く侍女のスズキに
「あの人は必ず帰ってくる」
と自分の思いを語る名アリアですが、その歌詞の中に、帰ってきたピンカートンが蝶々さんを探して
"Piccina mogliettina,olezzo di verbena"
「かわいらしい妻よ バーベナの香りよ」
と呼びかけるのだ…と、バーベナの花が登場する場面があるのです。
悲劇的な最後を迎える蝶々さんを象徴するような花として登場するバーベナですが、こうして実物を目の前にすると何とも言えない切ない感情が去来します。果てしなくチャラいピンカートンですが、どんなつもりで蝶々さんにバーベナを重ねて呼んだのでしょうか。
そんなわけで、今日は歌劇《蝶々夫人》の名アリア『ある晴れた日に』をお聴きいただきたいと思います。大村博美による歌唱を、美しいセットや衣装とともにお楽しみください。