今日で1月が終わります。2022年も、残すところあと11か月となりました(その言い方ヤメレ…)。
ところで、今日1月31日は歌曲王フランツ・シューベルト(1797〜1828)の誕生日です。
つい先日はモーツァルトの誕生日でしたが、意外と近いところでまたしてもビッグネームの誕生日がありました。
シューベルトについては今までにも何度かふれてきたので、改めてここで説明する必要もないでしょう。膨大な数の作品の中でも、特に歌曲は31年の生涯で600曲以上もの作品を遺したことから『歌曲王』の異名をとるまでになりました。
有名どころだけを挙げてみても
- 野ばら(1815)
- 魔王(1815)
- 死と乙女(1817)
- 子守唄(1816)
- 糸を紡ぐグレートヒェン(1814)
- 楽に寄す(An die Musik)(1817)
- ます(1821)
- 歌曲集《美しき水車小屋の娘》(1823)
- 歌曲集《冬の旅》(1827)
- 歌曲集《白鳥の歌》(1828)
と、枚挙に暇がありません。そして、そんな中でも特に有名なのは《アヴェ・マリア》(1825)ではないでしょうか。
シューベルトの《アヴェ・マリア》と呼ばれているこの曲は宗教音楽だと思われがちですが、歌詞は
Ave Maria gratia plena…
というラテン語の典礼文ではなく、実はイギリスの詩人ウォルター・スコット(1771〜1832)の名高い叙事詩《湖上の麗人》のドイツ語訳詞に基づいて最晩年に作曲された歌曲集《湖上の美人》の一部を成しているドイツ歌曲です。それでも、そのメロディの美しさ故にラテン語の歌詞をあてて歌われることもあるため、宗教音楽だという誤解を生んでいるところもあるかも知れません。
またメロディ単体でも非常に美しいため、歌以外にも様々な楽器での演奏もされています。フルートやクラリネット、ヴァイオリンやチェロなどが有名ですが、我がヴィオラでもよく演奏されています。
そんなわけで、シューベルトの誕生日である今日は
20世紀を代表するソロヴィオラ奏者であるウィリアム・プリムローズ(1904〜1982)が自身でアレンジした《アヴェ・マリア》を演奏している動画を転載してみました。華やかなヴァイオリンや朗々たるチェロとはまた違った、渋い響きのシューベルトをお楽しみください。