今日は小田原の放課後子ども教室がありました。
以前にも書きましたが、この教室ではいつも帰る前に子供達に歌を歌わせています。月毎に曲を変えているのですが、今月は《冬の星座》を採り上げています。
この曲は元々はアメリカの作曲家ウィリアム・シェイクスピア・ヘイス(1837~1907)が作曲した 《いとしのモリー(Mollie Darling)というポピュラーソングで、後にそのメロディに日本の作曲家であり訳詞家でもあった堀内敬三(1897~1983)がオリジナルの日本語の詞をつけ、昭和22年に文部省(当時)の編集教科書で発表されたものです。現在は中学校の音楽の教科書に掲載されており、2007年には『日本の歌百選』にも選出されています。
因みに堀内敬三はドヴォルザークの交響曲第9番《新世界から》の第2楽章のメロディを歌った 《遠き山に日は落ちて》やチェコのオペレッタのメロディを元にした《鎌田行進曲》の日本語作詞、《ラジオ体操の歌》の作者でもあります。
この《冬の星座》の魅力は流麗なメロディもさることながら、堀内の充てた美しい日本語の歌詞にあります。
木枯らし途絶えて 冴ゆる空より
地上に降りしく 奇(くす)しき光よ
もの皆憩える 静寂(しじま)の中に
煌めき揺れつつ 星座は廻(めぐ)る
ほのぼの明かりて 流るる銀河
オリオン舞い立ち 昴はさざめく
無窮(むきゅう)を指差す 北斗の針と
煌めき揺れつつ 星座は廻る
昔の人の詞というものは、何とも詩情に溢れているではありませんか。これが、元曲はアメリカのものながら、すっかりと日本の名曲たり得た要因であろうと思います。
昨今は文部科学三流省のつまらん意向により、こうした叙情性に満ちた文部省唱歌が教科書から駆逐されつつあります(『文部省唱歌』なのに!!)。やつらに音楽教育を任せっきりにしていたら、そのうち《ふるさと》すら歌えない日本人が出来上がりかねません。それを何とか打開すべく、小田原の地から美しい日本語歌曲復興の烽火を挙げようと思います。
そんなわけで、今宵はその《冬の星座》を、元音楽座の土井裕子さんの美しい歌唱でお楽しみ下さいませ。
~冬の星座~土居裕子