
熱海の海岸沿いの街並み
長い歴史のある町は歴史を生かしながら町を美しくすることができると思います。
ところが戦後大きな産業構造の変化が起こった結果、経済に心を奪われて政府も人々も歴史観を失いました。
つまり歴史を生かした美しい町づくりという考えを忘れ、事業や仕事に熱中しました。
観光を考える場合でも、町を美しくするより、観光事業に熱中しました。
その結果、町は何でもありの雑然とした町になってしまいました。
鎌倉を考えるとよくわかります。
神社仏閣と一部の保全地区は何とか保存されていますが、それ以外は、乱開発が進み、普通の都市部のようにいろいろな建物の密集地になっています。
歴史を生かした美しい町づくりという考えが失われていることを示しています。
熱海ですが、温泉という天然資源に恵まれていながら、観光事業に熱中するあまり、集合住宅のようなホテルや美意識を欠く建物ばかり密集して林立し、ゆっくりと温泉や景観を楽しむ雰囲気はなくなりました。
町の人々だって熱海を美しいと思わないでしょう。
まして観光客は、風情がないと熱海に足を運ばないでしょう。
幸か不幸か、日本は経済成長が終わり、政府も人々も経済主義を見直すべき時を迎えました。
経済は横這いでも、生きてよかったと思えるような人生とは何かと考えるべき時が来たと思います。
日本の貧相な住宅や雑然とした町から海外の美しい町を見に行く日本人より、自分の住宅や町を美しくする日本人になった方がいいと思います。
日本を愛する日本人になった方がいいと思います。
かねの使い方を変えて人生を変えるといいと思います。