日本の山林には未利用の大木がいっぱいあります。害虫のせいで枯死する大木が増えています。戦後植林を熱心に行ったが、高度経済成長期、まだ植林した木が大木になっていないということもあり、外材輸入を重視したので林業が崩壊してしまいました。
現在、外材輸入が次第にむずかしくなってきたこともあり、林業を復活させる動きが出始めましたが、まだ勢いがありません。林業重視の考えが人々の心に戻ってきておりません。資本家も林業への投資を躊躇しています。
しかし、たとえば都市部の代表である東京の経済は将来性がないと思います。人々は第三次産業に群がって過当競争を演じていますが、苦労する割には「いい生活」が送れません。東京の貧困層はどんどん増えていくと思います。その上、東京は住環境としては最悪、災害に非常に弱い都市になっています。今は砂漠のように無機質、大地震が来たら地獄と言っていますが、環境改善、防災は容易ではありません。防疫も弱く、新型コロナウイルスに対しても感染拡大防止ができません。あまりにも複雑になってしまいました。快適な都市への改善、安全化が不可能です。関東大震災や太平洋戦争で荒廃を経験したように、いつとは言えませんが、近いうちに荒廃するでしょう。まさに東京砂漠、東京地獄です。
唯一の対策は、国の機関、会社、人々が、東京から脱出することです。東京を捨てることです。2020年は東京の屈曲点になりました。わずかですが人口が減ったそうです。しかし、脱出し、地方に行ってもまだ仕事がありません。
国、地方、資本家、事業家、仕事人の間に林業重視の思考が育つことを祈ります。現代は林業に使われる機械などは高度に発達しており、決して苦しい肉体労働ではありません。日本の山は非常に急峻ですが、観光道路になってよく整備された昔の林道がたくさんあります。新たに林道建設がむずかしい地形の場合はロープウェイなどの技術もあります。製材も高度に機械化されています。やはり苦しい肉体労働ではありません。職場環境も細かい木粉が飛ぶ悪い環境ではありません。合板、集成材技術も高度に発達しており、木材の利用価値は飛躍的に上がっています。今後都市部の縮小が進むと、地方では戸建住宅が増えます。木造が愛されます。住宅も部材が工場で機械で生産されます。現場では機械を使って組み上げます。決して苦しい肉体労働ではありません。家具産業も拡大するでしょう。
近代的な発想で、投資、会社組織、創造的な人材、情報技術、機械技術などを駆使すれば日本にとって国内資源を利用した有望な産業になります。
(注)私は木工大好き人間です。会社で化学技術者、材料技術者として現役を終えましたが、今は、子孫が家業として木材を利用した事業・仕事に挑戦するといいと思って家業構想を練っています。