Home Schooling（自宅学習）

★　ある問題集に「Home Schooling」に関する入試問題が出ていた。２００３年度の同志社大学文学部で出題されたものだ。

★　概要は、イギリスでは自宅で子どもの教育を行う人が増えている。その割合はまだ学齢人口の１．５％ほどだが、増加傾向にある。

★　自宅学習を選択する理由として、公教育の質の劣化（不平等、大人数授業、いじめ、校内暴力、授業の水準、試験の圧迫）や親たちが（過保護な育児により）子どもの面倒を見る時間の増加、簡単に自宅学習が始められる教育制度が挙げられる。

★　自宅学習には弊害もある。子どもの成長に伴って高度な内容を親が教えられない。社会性（集団活動）の欠如、それに、親がくたくたになってしまうこと。実際は（自宅学習といっても）親が子どもの教育を見られる短期間に限られるものが多い、というもの。

★　School often fail to respond to the individual needs of childeren.（学校はしばしば子どもたち一人ひとりのニーズに応えることをおろそかにしている）

★　the erosion of classroom discipline means that many schools resemble a “war zone”.（教室の規律が衰退し、多くの学校が「戦争地帯」のようである）

★　it is now group pressure rather than teachers that dominates the classroom.（今日、教室を支配しているのは先生というよりはむしろグループの圧力である）

★　国は変われど、先進国は共通の困難に直面しているようだ。

★　日本でも２０１６年に「教育機会確保法（義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律）」が成立し、学校以外の多様な学習機会が認められるようになった。これが公教育改革の一石になるのか、それとも緊急避難的措置に留まるのか。

★　学級（生徒集団）が不条理なヒエラルヒーから解放され、戦闘状態が解かれない限り、避難所は必要なのだろう。

★　価値観の多様化に伴って高まる個々のニーズに公教育がどこまで応えるべきかも課題だ。経済的な負担を除けば、「塾」というのは日本特有のバイパスなのかも知れない。

★　自宅学習は階級社会イギリスの伝統もあるように思えた。　

★　まさにthe pros and cons（賛否両論）の課題だ。