じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

松本清張「西郷札」

2019-06-30 21:44:53 | Weblog
★ 松本清張さんの「西郷札」(宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短篇コレクション下」文春文庫所収)を読んだ。

★ 西南戦争の際、薩摩軍が発行した軍票「西郷札」。結局、薩摩軍が敗れ、紙くず同然となる。

★ その「西郷札」を政府に買い取ってもらい一獲千金を目論む人々。そこに兄妹の人情話や、男の嫉妬などが絡んでくる。

★ 資料から事実を読み解いていくのはノンフィクションのようだ。それにイマジネーションで味付けをしている。

★ 処女作だというがすでに凄みがある。
コメント (2)

加藤幸子「夢の壁」

2019-06-30 13:58:12 | Weblog
★ 加藤幸子さんの「夢の壁」(新潮社)から表題作を読んだ。

★ 戦中そして戦後間もない中国が舞台。前半は午寅(ウーイエン)という少年を中心に描かれている。国民党軍、日本軍、そして八路軍(共産党軍)と入れ替わり蹂躙されていく村。そこで暮らす人々の様子が少年の視線で書かれている。

★ 後半、午寅は北京に行く。父が車夫として働く日本人家族とともに暮らす。そこで2歳年上の佐智と出会う。後半は佐智の視線で描かれている。佐智の家族はやがて日本への帰路につく。

★ 「夢の壁」とは万里の長城のことだろう。15歳になった男の子はそこに登って夢を見るという。将来を指し示す夢を。

★ 「壁」とは民族の壁のようにも感じた。

★ リアルな描写は、自ら幼少期を中国で暮らした作者ならではのものだろう。

★ 「午寅は言葉の剣で串刺しになったような気がした」(170頁)など表現が豊かだと思った。
コメント

京極夏彦「巷説百物語」

2019-06-30 00:10:03 | Weblog
★ 京極夏彦さんの「巷説百物語」(角川文庫)から「小豆洗い」を読んだ。

★ 「小豆洗い」と言えば「妖怪大戦争」でナイナイの岡村さんが演じていた。

★ 川が増水し足止めを食った人々が小屋に集まり、百物語を始める。それぞれが自らに所縁のある怪談を話していくのだが、いくつか話し終わったところで円海という僧侶が乱心。小屋から飛び出ていった。朝方、彼の遺体が増水した川で見つかった。

★ 妖怪話かと思いきやアガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」のようだった。
コメント