じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「意味づけ」病

2019-06-10 16:27:08 | Weblog
★ 鷲田清一さんの「わかりやすいはわかりにく? - 臨床哲学講座」(ちくま新書)を読み始めた。NHKラジオの連続講座「シニアのための哲学」を加筆訂正したものだという。

★ 大澤真幸さんは「社会学史」の中で、パーソンズは「自分は理論病である」と言っていたと紹介されている。人にはいろいろな性向、こだわりがあるものだ。

★ 鷲田さんの本の第一章は「問いについて問うー意味について」というもの。「意味づけ」病というのは面白い。確かに身に覚えがある。「人は(自分は)何のために生きているのか」と私もよく考えたものだ。

★ サルトル流に「実存が本質に先立つ」と言ってわかったような気分になったりはするが、理屈で分かった気分になっても、納得したかといえば疑わしい。還暦を超え最近やっと「生きること、ただ生きていることに意味があるのだ」と少し思えるようになったが、煩悩から解放されることはない。

★ 本来は人生を左右するような問いも、結局は食欲、性欲、睡眠欲には勝てず、「まぁいいか」で終わってしまう。

★ 何よりも生きて直面する問題には模範解答がない。答え自体がないのかも知れないし、どの答えも正解なのかも知れない。そもそも正誤を誰が判定するのか。それでも問い続けることは必要だろうし、やめようと思ってもやめられないもののようだ。

★ 鷲田さんはどのように問えば良いのかヒントを与えてくれる。
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福音

2019-06-10 14:02:18 | Weblog
★ 「エヴァンゲリオン」というと「残酷な天使のテーゼ」が流れてきそうだ。1990年代に流行ったテレビアニメだね。

★ 松田央さんの「信仰の基礎としての神学」(新教出版社)を読んでいる。クリスチャンでないとなかなか縁遠い領域だが、読んでいるといくつか発見がある。

★ 本書は大学の教科書として書かれたもので副題に「キリスト教神学への道案内」とあるように、初学の者でも教養として楽しめる。「人生について」「神について」「人間について」「信仰について」「救済について」「祈りと黙想について」と章立てられ、どれも平易な表現で書かれている。自分自身を振り返り(中には悔い改める人もいるかも)、生き方を考える糸口になる。

★ ところで「エヴァンゲリオン」というのはギリシャ語で「福音(良い知らせ)」の意味だという。そう言えば、英語の「ゴスペル」も「福音」だ。ゴスペルは、辞書によると God+spell あるいは Good+spellで「良い知らせ」を言う意味らしい。

★ そして何が「良い」のかというと「時は満ち、神の国は近づいた」(108頁)ことだという。

★ 私のような無神論者あるいはちょっと仏教に興味があるレベルの者には「神の国」といってもピンとこないが、「神の国とは」と考える契機となるだけでも読む価値があったと思う。
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