じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

地方改良運動期の小学校

2019-06-05 17:42:09 | Weblog
★ 少し時間ができたので専門書を読んでみた。笠間賢二著「地方改良運動期における小学校と地域社会ー「教化ノ中心」としての小学校ー」(日本図書センター、2003年)。

★ 日露戦争によって疲弊した地方。国民が一体となって勤勉倹約に努め国力増進の基礎を築け(戊申詔勅)という方針を受けて、内務省が推進した地方改良運動。その過程で小学校や小学校教員の役割がどのように変容したのかを実証研究したもの。

★ 研究者には本文の内容が重要だが、読書を楽しむ者には「あとがき」がうれしい。研究に至った経緯、研究の苦労が感じられる。

★ 実証研究がどれほど大変かは少しでも研究というものにかじればわかる。旧宮城県図書館に収蔵されていた「宮城県文書」を検討するところ、「埃で手を汚しながらそれを1枚1枚繰っていくと」(290頁)の一文に、それがしみじみ感じられる。

★ (その苦労ゆえに、先行研究としての吟味、評価もなくただ都合の良い部分だけをつまみ喰いした平井貴美代論文への苦言があったのだろう。平井貴美代「明治後期『模範』小学校運営に見る学校経営の成立状況」<日本教育経営学会紀要第38号、1996年>を読んでみたが、笠島氏の「日露戦後期における教職意識進行策」を参照のこと、とそっけない。ちなみに「進行策」は「振興策」の誤りだ。当時、平井氏は大学院生だったから、若気の至りというとことろか)

★ ところで文部省は明治41年度と42年度に優良小学校の選定を行った。選ばれた小学校は「模範小学校」として広められた。

★ 私は京都府の教育を調べたことがあるが、京都府でも明治39年と41年に「京都府初等教育優良事蹟」というものが作られ公刊されている。編纂の趣旨に、明治2年の全国に先駆けた小学校開校を誇り、37年間の学校教員の研究成果を誉め、しかしその記録が乏しいことを遺憾とし、それを編纂したと書かれている。印刷が困難な時代のことなのでその記録は箇条書きや概要に留まるが、実践記録の嚆矢と言える。

★ 日清、日露の戦争を経て、近代国家としての基礎ができたとはいうものの、急速な近代化は地方の疲弊をもたらし、更に帝国主義が台頭する中で、今一度、財政的にも教育的も国の形を整える必要があったのだろう。

★ 歴史研究の面白さは、そうした時代に生きた人々の息吹を感じることができることだ。
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開店休業

2019-06-05 11:38:37 | Weblog
★ 今日は宇治の「あがた祭り」。その上、中学3年生は修学旅行。ということで、開店休業になりそうです。

★ 最近は主に中国からの観光客で賑わう宇治橋界隈。今夜も相当な人手になりそうです。「あがた祭り」というのはもともと深夜の祭り(梵天渡御)で、この夜はフリーセックスが解禁だったとか。田植えの後の骨休みってところでしょうか。

★ 今はそんな謂れはともかく、子どもたちが多くの夜店を楽しんでいます。宇治川の花火大会がなくなったので、さびれゆく宇治としては年に1度の大きな祭りです。

★ 修学旅行の方は従来のスキー学習からアドベンチャーツアーのようなものに変わりました。黒部の辺りに生き、川下りやマウンテンバイク、ロッククライミングを体験するそうです。雨が降らなければ良いのですが。

★ ということで、今日は断捨離、整理整頓の1日になりそうです。
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