★ 原民喜さんの「夏の花・心願の国」(新潮文庫)から「美しき死に岸に」を読んだ。
★ 愛する妻の臨終を看取る話だった。辛い話だが作者の筆は冷静だ。作品の中で妻に永遠の命を与えているようだ。
★ 前半は詩的な描写が流れていく。妻が大学病院から退院し自宅療養するところから物語が動き出す。
★ 弱っていく妻の姿。食事の細さがそれを物語る。やがて何も受け付けなくなり、腹にそして胸に苦痛を訴えるようになる。危篤に陥り、深い昏睡の中でうめき声しか聞こえなくなる。そして最期の時が訪れる。
★ 死を目前にした家族にとって夜は苦痛だ。早く夜が明けないかと祈らざるをえない。朝が来ると、仕事に行く人、学校へ行く子どもたち、町はいつもながらの音を響かせる。そんな朝、帰らぬ人を抱えた家族は日常とは違った数日を過ごすことになる。私も母が亡くなった時に感じたことだ。
★ 原民喜さんといえば原爆体験を綴った「夏の花」が有名だが、文章表現が実に美しい。原さんは45歳で自ら命を絶つ。その深い理由は本人しかわからないのであろうが、妻を失った孤独感が深かったのではないかと慮られる。
★ 愛する妻の臨終を看取る話だった。辛い話だが作者の筆は冷静だ。作品の中で妻に永遠の命を与えているようだ。
★ 前半は詩的な描写が流れていく。妻が大学病院から退院し自宅療養するところから物語が動き出す。
★ 弱っていく妻の姿。食事の細さがそれを物語る。やがて何も受け付けなくなり、腹にそして胸に苦痛を訴えるようになる。危篤に陥り、深い昏睡の中でうめき声しか聞こえなくなる。そして最期の時が訪れる。
★ 死を目前にした家族にとって夜は苦痛だ。早く夜が明けないかと祈らざるをえない。朝が来ると、仕事に行く人、学校へ行く子どもたち、町はいつもながらの音を響かせる。そんな朝、帰らぬ人を抱えた家族は日常とは違った数日を過ごすことになる。私も母が亡くなった時に感じたことだ。
★ 原民喜さんといえば原爆体験を綴った「夏の花」が有名だが、文章表現が実に美しい。原さんは45歳で自ら命を絶つ。その深い理由は本人しかわからないのであろうが、妻を失った孤独感が深かったのではないかと慮られる。